伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

メンズヘルスナースがこっそり教える教養としての射精

2023-11-30 00:06:30 | 実用書・ビジネス書
 泌尿器科フリーランス看護師の著者が男性の性の悩みについて解説した本。
 学生のときに読んだ「マンズボディー」(鎌倉書房、1981年)のような趣旨の本ですが、よりコミカルなタッチで下半身・局部集中の本です。
 「実は、健康な男性は必ず睡眠中に勃起していることをご存じでしょうか?」「レム睡眠中は自律神経の働きが活発になり、そのメカニズムの流れで夜間勃起現象が生じます。つまり、レム睡眠のタイミングで目覚めてしまうと、朝勃ちをした状態になってしまうというわけです」(113~114ページ)とされているのですが、「必ず」って…何ですか? レム睡眠中は、つまり夢を見ているときはどんな夢を見ていても勃起しているというんですか。自分では確かめようがない話(眠っている最中のことですから)ですが、本当なんでしょうか。気になる。


看護師マッキー ライフサイエンス出版 2023年9月30日発行

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

葬式・お墓のお金と手続き 弁護士・税理士が教える最善の進め方Q&A大全

2023-11-29 23:10:52 | 実用書・ビジネス書
 葬式やお墓を巡る手続き等について、150のQ&A形式で弁護士と税理士が回答する形で説明した本。
 すべてのQに対して、弁護士2名と税理士3名の名前で回答されていますが、多くのQは、果たして弁護士・税理士に聞きたいことかは疑問があり、実際問題として葬儀の手順とか作法の類いを弁護士・税理士が回答することが適切か、疑問です。埋葬に関する法規制や墓地を巡る権利関係など、後半の方は弁護士が回答すべきだと思いますが、例えば、墓じまいして手元供養したい場合に受入証明書がないので改葬許可証が交付されないことがあるとしつつ、手元供養は法律違反ではないと説明しています(187~188ページ)が、改葬許可証が出ないときに一体どうすればいいのかというようなまさに弁護士に聞きたいことについて「まずは、市町村役場に散骨や手元供養を希望していることを相談してみてください」(188ページ)としか書かれておらず、別のところでは墓じまいして手元供養するときの手続きでも「改葬先の墓地を購入し『受入証明書』を受け取る」という手順を踏むように説明しています(172~173ページ)。読んでいる側はいったいどうすればいいのかと考え込んでしまいます。
 葬儀から墓の管理についていろいろなことが書いてあって勉強になりますが、あまり突っ込んだ記載はなく、重複が多いなぁという感想を持ちました。


わかさ出版編集 文響社 2023年9月12日発行
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023-11-28 20:42:12 | 小説
 荒木村重の謀反と有岡城落城後姿を消した村重の行方、捗々しく行かぬ毛利攻めから本能寺の変、山崎の戦いに至る織田家中と諸大名のバタバタぶりを描いた時代小説。
 有名どころの武将たちと千利休の他に、元甲賀の抜け忍の芸人曾呂利新左衛門、秀吉の軍勢に入り込んだ無名の百姓難波茂助を比較的重要なプレイヤーにしたところに特徴があるのだと思われます。百姓が武将の軍勢や野武士に殺され犯され略奪される様子、茂助が野武士に妻を殺され娘を犯されて殺されて復讐を試みる様子が描かれ、通常であれば、踏みつけられる民の痛み、武士たちの傲慢さがテーマと見えるところですが、茂助自身が弱い者を見つけるや略奪と強姦に明け暮れているところが、作者の方向性を示しているように思えます。


北野武 角川書店 2019年12月20日発行
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不整脈 知って解消不安と疑問

2023-11-27 22:34:30 | 自然科学・工学系
 不整脈の種別、症状、原因、治療等について解説した本。
 不整脈は大きく2つに分類されますとして、頻脈性不整脈と徐脈性不整脈を挙げ(8ページ)、徐脈性不整脈は、1分間の心拍数が60回未満となるものとしつつ、徐脈でも運動時に心拍数が増えて必要な量の血液を送り出すことができれば問題はなく、問題となるのはふだんから心拍数が少なく運動をしても心拍数が十分増えない状態と説明しています(60ページ)。これに対し、頻脈性不整脈については、何らかの原因で1分間の心拍数が100回以上となるものとして、強い動悸やめまいや失神が起こったりするが、タイプによっては自覚症状が現れないこともあるとしています(34ページ)。頻脈性不整脈については「特に治療が不要なものから突然死を招くものも」と書かれ、日常的に頻脈(1分間100回以上)で自覚症状がない場合に気にしなくていいのか、どういう場合に「突然死の原因となる」というのか、読んでいてわかりません。日常的に1分間100回以上で増えていないならそれは「不整脈」じゃないということなのかもしれませんが、徐脈性の場合はもともと少なくて運動時も増えない場合こそが問題とされていることからすると、日常的に頻脈の場合が問題ないのかは判然としません。そのあたり、もっとはっきりと説明してもらわないと、不安と疑問が解消されないように思えます。


副島京子監修 別册NHKきょうの健康 2023年9月25日発行
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人はどう死ぬのか

2023-11-26 20:46:16 | 自然科学・工学系
 外科医、麻酔科医として勤務した後外務省の医務官として海外勤務し、在宅医療クリニックで勤務した著者が、自己の経験に基づいて死の実情について語る本。
 下顎呼吸(顎を突き出すような呼吸)が始まると蘇生措置を施しても元に戻ることはまずなく(17~18ページ)、最後の段階では点滴は効果がないだけでなく心臓と腎臓に負担をかけ肺にも水が溜まり徒に患者を苦しめるだけ(46~47ページ)、酸素マスクも実際ほとんど意味はなく単に家族を安心させるためだけのパフォーマンス(47ページ)だそうです。「長生きを求めて病院にかかると、治してもらえる病気もある代わりに、何度も病院に通わされ、長時間待たされ、いろいろ検査を受けさせられ、不具合を見つけられ、その治療のためにまた病院からは解放されず、不安と面倒な毎日が続く危険が高いでしょう。病院にかかっても、死ぬときは死にます。そもそも医療は死に対して無力です。それなら自分の寿命を受け入れ、好き放題に残り時間を過ごしたほうが、よほど気楽」(132ページ)というのが著者の意見です。私も社会人になって以来、生命保険加入の際と歯医者以外病院にも検査にも行ったことがなく、著者の意見に共感します。単に聞きたい意見だけ聞く耳持つ状態というべきかもしれませんが。
 老衰死について、決して楽ではないと著者は釘を刺しています。それまで元気でいて急に衰えるわけではなく、死のかなり前から全身が衰え、不如意と不自由と惨めさに、長い間耐えたあとでようやく楽になれる、視力も聴力も衰え味覚も落ちて楽しみはなく、食べたら誤嚥して激しくむせ誤嚥性肺炎の危険にさらされ、関節痛に耐え寝たきりになって下の世話や清拭、口腔ケアなどを受け、体は動かせず呼吸も苦しく言葉も発するのも無理というような状況にならないと死ねないのが老衰死だというのです(134ページ)。言われてみればごもっともです。
 そういうことから癌で死ぬ方がましという話にもなるのですが、ここでも興味深い説明があります。癌の判定は最終的には生検(鉗子で腫瘍の一部を採取)して顕微鏡で見て行う(病理診断)のですが、癌細胞の塊をつついたらそのときに癌細胞が血流に乗って転移するんじゃないかという疑問を、私はずっと持っていました。医師である著者も同じ疑問を持ち、「何人かの医師に聞いてみましたが、いずれもその話には触れたくないと言わんばかりでした。いわばがん診断界のタブーです」(156ページ)というのです。まぁ、X線検査等も放射線被ばくによるリスクがあることがわかっていてもそのリスクよりメリットがあるという評価でやっているわけで、それと同様にリスクよりメリットがあるという評価なのでしょうけれども。もっとも、その検査被ばくについても、日本は検査被ばくによる発がんが世界中でダントツに多く欧米は全がん患者の1%前後であるのに対し日本は3%もある(150ページ)というのですが。また、病理検査で癌かどうかは判定できても進行の速さや転移するかどうかは顕微鏡では見分けられない(155ページ)とのことです。
 医療知識の点でも、死生観でも、さまざまに刺激を受ける本でした。


久坂部羊 講談社現代新書 2022年3月20日発行
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南極アトラス 最新の地図とデータで見る過去・現在・未来

2023-11-24 23:07:18 | 自然科学・工学系
 南極の地理、気象、生態系、観測・居住の実情、探検の歴史、未来予測などをカラーの地図と写真を駆使して解説した本。
 地図も美しいのですが、衛星写真、特に「はじめに」の3枚などが息をのむほど美しい。
 知識としては、南極大陸周辺での結氷と融氷が海洋深層水の流れ:熱塩循環の原動力となっていること(99ページ)、南極海の「極前線」で冷たい海水と温かい海水が混ざり合う海域が地球上で最も生産性の高い(植物プランクトンの多い)海となっていること(102~103ページ)、南極海が温室効果による熱と二酸化炭素を吸収する世界最大のシンク(産業革命が始まってから人類が大気中に放出した余分な二酸化炭素の最大43%、温室効果で生じた熱の75%を吸収したと推測されるとか)であること(104~105ページ)など、南極海に関する部分が、私には興味深く感じられました。
 記述が、地図にしやすい分野に限定されています(例えば氷床コアの採取は、私としてはその分析結果の方が関心がありますが、採取場所と深さしか触れていない:42~43ページ)が、それでもさまざまな領域について知ることができ、勉強になりました。


原題:ANTARCTIC ATLAS
ピーター・フレットウェル 日本語版監修:渡邉研太郞、訳:藤井留美
柊風舎 2023年10月15日発行(原書は2020年)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

粒子線治療がしっかりわかる本

2023-11-23 21:56:32 | 自然科学・工学系
 癌の放射線治療のうち電磁波(X線)以外の粒子線による治療、現実には、陽子線(水素原子核)治療、重粒子線(炭素原子核)治療、ホウ素中性子捕捉療法について説明し、積極的利用を促す本。
 粒子線治療は精度の高い照射により癌を根治する一方で周囲の正常細胞に影響を与えず臓器を維持でき体への負担も少ないとされますが、癌が局所的で遠隔転移がない場合に行われ、その場合は手術の方が癌の制御の点で有効性が高いため、結局は癌が局所的で遠隔転移がなく手術が困難な場合か術後に取り残した癌の治療に利用され、保険適用がそのような場合や一部の癌に限定されているということのようです。消化管が放射線感受性が高いため腹部等での実施は慎重に行う必要があるようでもあります(66~67ページ)。
 保険が適用されない場合は、先進医療となる場合で「300万円前後」とさらっと書かれています(19ページ)。先進医療にもならない場合はさらにかかるということです。106ページから、日本で粒子線治療が受けられる26施設の紹介があり、各施設ごとに治療実績と治療費について書かれています(書いていない施設もあります)が、やはり先進医療の適用がある場合に300万円前後の数字が書かれています。治療実績が書かれている施設では、それぞれの施設により違いはありますが、前立腺癌が多くを占めている傾向にあります。前立腺癌では「限局性、及び局所進行性前立腺がんへの根治照射」に保険が適用される(72~75ページ)ことからでしょう。
 この治療に従事している人が積極利用を呼びかけたいという気持ちはわかりますが、現状では進行が遅く死亡率も低い前立腺癌で威力を発揮しているというのでは、そう言われてもねえと思ってしまいます。いくら癌だと言われても保険適用されなければ300万円以上と言われては庶民には手も届きません。保険の方、なんとかしてもらえないと…


公益社団法人日本放射線腫瘍学会広報委員会/粒子線治療委員会編著 法研 2023年9月26日発行

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

観月 消された「第一容疑者」

2023-11-22 23:41:37 | 小説
 大分県杵築市で中秋の名月に合わせて行われる「観月祭」に七島藺工芸の実演を行う予定の七島藺マイスター波多野七海が、しばらく前から怪しい男につきまとわれていたところ、波多野母子が20年来親しくしてきたパン屋の妻が別府公園で殺害され、多摩川ガス橋付近で元警察官が殺害された事件が関連してくるという展開のミステリー小説。
 厚さの割にスルスル読めるところは心地よいのですが、今どきのご時世で極左をことさらに悪者にして危機感を煽るセンスはいかがなものかと思いました。


麻生幾 文春文庫 2023年8月10日発行(単行本は2020年12月)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

データ思考入門

2023-11-21 22:55:31 | 実用書・ビジネス書
 著者が東洋経済オンラインで作成提供していた新型コロナ関係のデータを一覧できるダッシュボード(複数のグラフや地図を一元化して見られるツール:9ページ)等のコンテンツを例に、データの可視化について解説した本。
 「データの可視化は、その気になればいくらでも手間と時間をかけることができてしまいます。コンセプトを明確にしないまま手を動かし始めると、無駄な作業が発生したり、伝える要素が多過ぎてかえってユーザーに何も響かないことがあります」(69ページ)とか、「意見をフィードバックしてくれるユーザーは全体の中でもデータに関心が強く、知識量も多い。そのため、どうしても応用的なデータや高度な機能の追加に要望が偏りがちです。しかし、こうしたユーザーの要望に従ってデータや機能の追加を繰り返していると、それだけ初見のユーザーに対して壁を作ってしまうことになります」(175ページ)などは、まさに作り手としての経験から来る悩みでしょう。「子どもにもわかる」をコンセプトにして裁判などを説明するサイトを作り始めたけれども、正確さを気にし、内容の充実のために追加を繰り返すに連れ、作る手間も増え、難しくなってしまった自分の経験に照らしても「実感」です。
 東洋経済オンラインなどネット上で見せることを想定しての解説なので、テクニカルにはさまざまな見せ方や動きも含めたもの(「優れたインタラクションの参考として、私はいつもテレビゲームやスマートフォンゲームをお手本としています」:137ページ)が書かれていますが、私としては、ユーザーに誤解を与えないように気をつけるべきことを著者がそこここで繰り返している点の方を見ておきたいと思いました。


荻原和樹 講談社現代新書 2023年2月20日発行
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

卒業生には向かない真実

2023-11-20 23:54:37 | 小説
 前作(「優等生は探偵に向かない」:邦題)でレイプ犯であることを暴いたマックス・ヘイスティングスに無罪判決が出て、マックスの代理人弁護士から名誉毀損だと調停を起こされたピップが、匿名の者から脅迫を受け、その犯人を捜すうちに…という展開のミステリー小説。「自由研究には向かない殺人」(邦題)シリーズの第3巻にして完結編。
 作者は「謝辞」で自らの経験に基づく刑事司法への失望と怒りを述べていますが、それを前提としても、この結末に爽快感や共感を持つかには疑問があります。最初の作品の明るさから、遠くダーク・ノワールのトーンになってきたことと合わせて、そのあたりの価値観で作品の評価が分かれるだろうと思います。
 この作品でピップがマックスから申し立てられた手続が「仲裁」と訳されている(20ページ)のですが、仲裁は仲裁人の判断に従う手続で不服申立もできませんので、この内容だったら「調停」じゃないかと思います。原書がどう書かれているのか確かめる余裕はありませんが、英語の arbitration が日本語では仲裁とも調停とも訳され、混乱を来すことが多いのが実情です。法律ものを訳すときには翻訳者は気をつけて欲しいと思うのですが。


原題:AS GOOD AS DEAD
ホリー・ジャクソン 訳:服部京子
創元推理文庫 2023年7月14日発行(原書は2021年)
「自由研究には向かない殺人」は2023年9月12日の記事で紹介しています。
「優等生は探偵に向かない」は2023年9月13日の記事で紹介しています。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする