人生はつまらないし、自分も含めて周囲は全員つまらないヤツだが、自分以外の人間は自分が特別であるかのように勘違いして生きていて、自分だけは人生がつまらないことを意識し、特別なできごと、人生を変えてくれるようなできごとを求めて生きていると自己認識して、周囲とのコミュニケーションを拒絶している田舎町の高校生16歳の鈴木香弥が、廃止されたバス停の待合室で異世界に生きている光る目と爪の先しか見えない18歳女性と交信することになりそれが自分を自分の人生を変えてくれるんじゃないかと期待してのめり込んでいくというファンタジー色を持つ青春小説。
自分は自分がつまらないヤツだと認識していると思いながらそれ故に他人を見下し自分が特別だと思っているねじくれた傲慢さを持つ主人公の身勝手さと苛立ちに、読んでいて不快感と、読んでいる自分がまたこの人物を見下すという罠にはまっているのかという苦笑感というのかシラケた感じを持たされます。
主人公の周辺には特に影響はないが日本で最近戦争が始まったという設定が用いられています。その戦争がどうなっているのかへの言及はなく、15年後を描く後半ではその戦争にはまったく言及されないので、何のための設定だったのかよくわかりません。近年の日本の政治と社会への危機感だったのか、主人公の閉塞感と苛立ちを印象づける道具だったのか、週刊誌への長期連載なので後半ではそれを忘れてしまったのか…
住野よる 新潮社 2020年10月20日発行
「週刊新潮」連載
自分は自分がつまらないヤツだと認識していると思いながらそれ故に他人を見下し自分が特別だと思っているねじくれた傲慢さを持つ主人公の身勝手さと苛立ちに、読んでいて不快感と、読んでいる自分がまたこの人物を見下すという罠にはまっているのかという苦笑感というのかシラケた感じを持たされます。
主人公の周辺には特に影響はないが日本で最近戦争が始まったという設定が用いられています。その戦争がどうなっているのかへの言及はなく、15年後を描く後半ではその戦争にはまったく言及されないので、何のための設定だったのかよくわかりません。近年の日本の政治と社会への危機感だったのか、主人公の閉塞感と苛立ちを印象づける道具だったのか、週刊誌への長期連載なので後半ではそれを忘れてしまったのか…
住野よる 新潮社 2020年10月20日発行
「週刊新潮」連載