伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

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宇宙イチわかりやすいネット起業の鉄則

2006-10-31 20:12:58 | 実用書・ビジネス書
 ネット起業というよりは、現に開業している小規模商品販売事業者がネットを利用して販売促進するためにどうするかという本。
 検索エンジン対策よりもHPの内容自体を充実しろという指摘は、今時当たり前ですが、その通り。
 でも、使用しているお客さんの声を本名付きで掲載しろとかマスコミに掲載された履歴を目立つところに書いておけとかいうのは・・・物を売るためには羞恥心を捨てろということなんでしょうけど・・・。

 HP関連は、書き込んであって参考になることもありましたが、終わりの方の新しいツール関係は、詳しい説明抜きでこのHPを見ればってなことでぶん投げてあって、「超初心者~初心者のための」というサブタイトルにはそぐわなくなっていました。


作野裕樹 ソフトバンククリエイティブ 2006年10月13日発行
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ミネハハ

2006-10-31 20:09:37 | 物語・ファンタジー・SF
 閉ざされた場所で劇団のためのダンサーとして教育された少女の生活を84歳になって振り返って書いた原稿を隣人が譲り受けたという設定のお話。

 文章は幻想的で美しいのですが、少女(と少年)をどこから集めてきたのか(孤児院か?)密室で集団生活させてダンサー専門に養成するというテーマ自体に無理があり、耽美的な少女時代の描写から劇団の現実の描写に移行したところで生じる違和感を結末をつけきれずにそこまででぶん投げてしまっていて、お話としても中途半端というか未完成。
 それを自殺した老女が書きかけだったということにするため、また男性作者がこういう犯罪的なテーマを書くことへの非難を緩和するために女性が自らの過去を振り返ったということにするため、技巧的で言い訳めいた設定が最初になされていますが、それはストーリーにはつながらず、まさに言い訳だけのためと、最後まで読めば否応なく感じます。
 こういうテーマをどうしても書きたいのなら、前半の部分だけを幻想的な童話仕立てにするか詩的な形態にすればよかったと思います。

 でも、今時こういう設定を読むと少女拉致・監禁の犯罪行為、それも組織的なものという思いが先行し、それを美しい文章で描かれても、嫌らしさを感じるばかりです。原作は1903年ということですから、作者の時代にはそういう感性はあまりなかったのかも知れませんが(前書きには「昨今盛んに取りざたされる女性運動」という表現もありますから時代の感性としては既に言い訳が必要だったことが明らかで、作者はその女性運動を嫌っていたのでしょうね)、それを今日本語現代訳して出版するセンスには私はかなり疑問を感じます。


原題:MINE-HAHA The Corporal Education Of Young Girls
フランク・ヴェデキント 訳:市川実和子
リトルモア 2006年10月19日発行(原作は1903年)
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きみを想う瞬間

2006-10-30 08:15:03 | 小説
 結婚記念日の12月23日のデートの帰りに脳内出血し、あと12時間の命と宣告された妻とその家族のクリスマス・イブの話。
 意識は鮮明で痛みもないけど12時間後には死ぬということがわかっているという希有の(小説としてとても都合のいい)状況ではありますが、自分のこととして突きつけられれば、考えさせられるシチュエーションではあります。
 ただこの小説では、主人公のローラがあまりにてきぱきとやるべき事を進めていくので、う~ん、まあそういうこともあるかなとは思いますが、私は今ひとつ感情的に入れませんでした。娘がひねくれているところとそのために妻の死後夫が苦労したと思われる(具体的な描写はあまりありませんが)ところは、かえって現実感があるように思えましたけど。

 訳者あとがきでは「究極の夫婦愛、せつない純愛の物語」と書いていますが、作者は、涙と感動の物語にはあえてせずに、ドライに進めていくことで考えさせたかったのだろうと思います。


原題:Christmas,Present
ジャクリーン・ミチャード 訳:田栗美奈子
主婦の友社 2006年11月10日発行 (原書は2003年)
(この発行日付、ひどくない?)
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水曜日のうそ

2006-10-30 08:10:36 | 小説
 教師夫婦と娘の家族が、父親が大学の助教授のオファーを受け新たに子どもも生まれることを機会にパリ郊外からリヨンに引っ越すことになったが、近くに住み毎週水曜に尋ねてくる祖父が反対することが予想されるので祖父に黙って引っ越して水曜日には戻ってくることにしたという設定の家族ドラマ。
 なんとか祖父に知られるまいと芝居を続ける父親、同級生との遠距離恋愛を続ける娘、娘の同級生と祖父との交流を軸にストーリーが展開します。

 お話は娘の語りで進められ、従って娘と同級生との話に焦点が当てられがちなのですが、メインテーマは素直に愛情表現をできずにいらだちを見せながらしかし強い絆を持つ父子(祖父と父親)関係の葛藤と、私は読みました。
 祖父が死んだ後の父親の苦悶・後悔が描かれてはいますが、同時に嘘をつかずに最初から話していればという収め方でもなく、人間関係の綾というか難しさの余韻を残して終わっているところにこの作品の味わい深さを感じました。


原題:Mercredi mensonge
クリスチャン・グルニエ 訳:河野万里子
講談社 2006年9月25日発行(原書は2004年)
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ダリ シュルレアリズムを超えて

2006-10-30 07:54:28 | 人文・社会科学系
 ダリの画集付き解説書。
 タッシェン・ジャパンのものよりさらにコンパクトで図版のサイズが小さくなり字数が少し多い。
 解説は、歴史的事実やダリの自伝的著作からの引用はほぼ同じですが、絵に対する評価はやはり著者の個性が出ていてちょっと違います。だまし絵的な作品には「ただの視覚遊び」「行きづまり」(92頁)とはっきり書いているのは好感が持てました。ダリの絵に頻出する「大自慰者」のモチーフの読み方にも違いがあったりして、続けて読むのも意味があるかなと思いました(もう1冊読もうとまでは思いませんが)。


原題:Dali  Le Grand Paranoiaque
ジャン=ルイ・ガイユマン 日本語監修者:伊藤俊治
創元社 2006年10月10日発行
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ほかに誰がいる

2006-10-29 08:17:13 | 小説
 同級生の女性「天鵞絨」に思いを寄せる少女えりの幸福・挫折・逸脱・破滅を描いた小説。
 どこか現実感のない幻想的な文章で、最初の5分の1、天鵞絨に彼ができるまでのところは幻想的な・詩的な物語として、結構美しい仕上がりでした。
 しかし、天鵞絨に彼ができてからの主人公えりの一方的な思いこみ、自己破壊から幻想よりも妄想的になり、天鵞絨の父親と考える中年男性と肉体関係を持って天鵞絨の分身を孕もうとするに至り、どろどろとした情念・執念の物語に変わります。この主人公の勝手な思いと行動のために、同級生の男性も中年男性も命を奪われますが、この主人公にはそれについての責任感も罪悪感もほとんど感じられません。
 ジコチュウ女が他人を巻き込んで勝手に滅びるという、主人公の破滅をシニカルに笑うことはできるでしょうけど、巻き込まれた人々が救われない感じで、読後感の悪い小説でした。


朝倉かすみ 幻冬舎 2006年9月30日発行
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パパとムスメの7日間

2006-10-29 08:01:09 | 小説
 家庭内で断絶状態にある47歳の事なかれ主義のサラリーマンの父親と16歳高1の娘が、交通事故の衝撃で入れ替わるという、現実にはあり得ないけどSFとしてはある種平凡な着想の小説。
 娘の小梅がいかなる事態になってもどこまでもジコチュウで(作者としては普通の女子高生として書いているのでしょうけど)、父親は娘の言いたい放題にも理解を示してしまうのが、中年男の読者にはやりきれない思いを持たせます。父親と入れ替わって会社に行っても娘が父親の苦労を理解する話ではなくて(瞬間的には理解を示す場面もありますが)、結局元に戻っても娘は基本的に前のままというのが、作者としてはありふれた安易なお話にしたくなかったからでしょうけど、やはり中年男の読者としては、読後感もよくありません。中年の父親の悲哀感ばかりが、最初から最後まで感じられます。日本のお父さんてこんなもの・・・ということなんでしょうけど、なんか救われないなあって感じでした。


五十嵐貴久 朝日新聞社 
2006年10月30日発行(この発行日って・・・明日)

追伸:朝日新聞社の(書評ではない)新刊案内(10月22日掲載だって)によると「ハートウォーミングな家族愛を描いた笑いと涙のノンストップ・エンターテインメント長編!」だそうです。私には、ハートウォーミングとは感じられませんでしたけど。
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水彩画 これ一冊でぼかしとにじみがわかる

2006-10-28 17:13:09 | 趣味の本・暇つぶし本
 水彩画でのぼかしとにじみのテクニックの解説書。
 ぼかしは水を塗った上に絵の具を塗る、薄い絵の具から濃い絵の具へと順番に置いていく、にじみは濃い絵の具を塗ってから水か薄い絵の具を置く。真ん中が濃くてまわりが薄いのがぼかし、真ん中が薄くて縁が濃いのがにじみ。
 筆者も、にじみについては「好み」でと断っていますが、どうもにじみが入っているところは(雲の一部として横長に入れたの以外は)私は何か失敗のように感じます。全部ぼかしで仕上げた方がよさそう。
 ぼかしの切れというかコントラストのあるぼかしはどうやるのかと思っていたら、ドライヤーで乾かしちゃうんですね。なるほどと思いました。


青木美和 日貿出版社 2006年9月25日発行
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スケッチ入門コツのコツ

2006-10-28 17:10:16 | 趣味の本・暇つぶし本
 水彩の静物画と風景画のビジュアル入門書。
 絵を見ているとこういう本読みたくなるんですね。
 描き方はあまり詳しく説明されていないんですが、水の動きとガラスの質感が上手ですね、この人。プロに向かってこういうのナンですが・・・


大場再生 NHK出版 2001年10月15日発行
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サルヴァドール・ダリ

2006-10-28 16:41:34 | 人文・社会科学系
 ダリの解説付き画集。
 ルーベンスのを見て、タッシェン・ジャパンの画集って値段も手頃でコンパクトでいいなと思ってダリを買ってきました。置いている書店少ないですけどね。

 ヒトラーを礼賛するかのような言動を含めた政治センスのなさ、強烈な金持ち志向など、人間としてのダリには、私は好感を持てませんが、絵画のセンスと技術には学生の頃からあこがれを感じていました。
 解説で度々引用されるダリ自身の言葉は、改めてダリの強烈な自負・うぬぼれ、周囲への過剰なまでの挑発を否応なく感じさせます(自分の周囲にこういう人がいたらしんどいでしょうね)し、作品の解説もダリの性欲や性的嗜好に結びつけすぎる嫌いがありますが、久しぶりにダリの作品をじっくりと見られたことに満足しました。改めてまとめて見ると、ダリの作品のキーワードはむしろ、浮遊感・立体感かなとも思いました。


原題:DALI
ジル・ネレ タッシェン・ジャパン 
2004年発行(それ以上に詳しい発行日記載なし)
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