渋谷区松濤の豪邸に住む開業医の末娘として生まれ、カトリック系の名門女子校を出て、豪商の名家に生まれた慶応内部生出の企業法務弁護士の青木幸一郎と結婚する榛原華子と、地方小都市出身で慶応大学に入学したものの親からの仕送りがストップしてドロップアウトし水商売からなんとか東京で職を得て生き抜いている時岡美紀が、青木幸一郎をめぐって邂逅し交流するという小説。
一見階級差がないように見える日本社会が、実は厳然たる階級社会で東京の上層はその中で、地方出身者はその中で、互いに近い生まれの者としか交わらず出会わないという状況を描いています。
その階級/グループを超えて邂逅した華子/逸子と美紀が、近松門左衛門の「心中天網島」を題材に、女同士の義理を語り、女同士を分断する社会と価値観、女同士を分断して闘わせる男を批判する下りが、この作品の真骨頂に思えます。
映画の方を先に見たのですが、映画はそこが薄められ、美紀の格好良さ/魅力を損ねているように思えました。原作の方がテーマが明確だし、美紀がカッコいいと感じました。

山内マリコ 集英社 2016年11月30日発行
「小説すばる」連載
一見階級差がないように見える日本社会が、実は厳然たる階級社会で東京の上層はその中で、地方出身者はその中で、互いに近い生まれの者としか交わらず出会わないという状況を描いています。
その階級/グループを超えて邂逅した華子/逸子と美紀が、近松門左衛門の「心中天網島」を題材に、女同士の義理を語り、女同士を分断する社会と価値観、女同士を分断して闘わせる男を批判する下りが、この作品の真骨頂に思えます。
映画の方を先に見たのですが、映画はそこが薄められ、美紀の格好良さ/魅力を損ねているように思えました。原作の方がテーマが明確だし、美紀がカッコいいと感じました。

山内マリコ 集英社 2016年11月30日発行
「小説すばる」連載