江戸時代の庶民の性の営み、不貞、出産と堕胎、売買春と私娼の取締等を文献に現れた事例に基づいて解説した本。
俳人小林一茶が記した「七番日記」の記述によれば52歳で結婚した一茶がその2年後、54歳の時の妻との交合が9日間で30回(14ページ)って…「夜五交」とか6日続けて「三交」でその次の日も「四交」って…54歳ですよ。それも平均寿命が30歳代だった時代に(まぁ、乳幼児死亡率が高かったことが平均寿命を大幅に下げているので、生き残った人の寿命はそれなりに長くなってたのでしょうけど)。著者は「連日連夜の一茶の交合は、子宝を求めての交合といって間違いない」(15ページ)と判断していますので、「精をとぢてもらさず」(養生訓:151~152ページ)でもない。そして、著者はその一茶の交合をふつうのことと受け止めて流して書いています(嘘だろうとも、驚くべきこととも扱っていません)。ここにあまりこだわるのも何ですが、驚きます…え…世間ではこれがふつう?
寛政の改革期の米沢藩では人口増加政策のため、村役人が結婚を斡旋し、藩で結婚資金を貸与したり、新婚夫婦に家を作るための建築材料を与え、休耕地や耕作が放棄された土地の所有権を与え、3年間年貢を免除し、貧困者には申し出によりおむつ代として最高金1両(現在の価値は、米価を基準とすると約6万円、大工の賃金を基準とすると約35万円だそうな)の手当を出していたことが紹介されています(54~55ページ)。少子化を嘆く現在の政府よりも力を入れた政策がとられていたのですね。行政サービスは本当に昔よりよくなっているのか、まじめに考えてみる必要がありそうです。

沢山美果子 岩波新書 2020年8月20日発行
俳人小林一茶が記した「七番日記」の記述によれば52歳で結婚した一茶がその2年後、54歳の時の妻との交合が9日間で30回(14ページ)って…「夜五交」とか6日続けて「三交」でその次の日も「四交」って…54歳ですよ。それも平均寿命が30歳代だった時代に(まぁ、乳幼児死亡率が高かったことが平均寿命を大幅に下げているので、生き残った人の寿命はそれなりに長くなってたのでしょうけど)。著者は「連日連夜の一茶の交合は、子宝を求めての交合といって間違いない」(15ページ)と判断していますので、「精をとぢてもらさず」(養生訓:151~152ページ)でもない。そして、著者はその一茶の交合をふつうのことと受け止めて流して書いています(嘘だろうとも、驚くべきこととも扱っていません)。ここにあまりこだわるのも何ですが、驚きます…え…世間ではこれがふつう?
寛政の改革期の米沢藩では人口増加政策のため、村役人が結婚を斡旋し、藩で結婚資金を貸与したり、新婚夫婦に家を作るための建築材料を与え、休耕地や耕作が放棄された土地の所有権を与え、3年間年貢を免除し、貧困者には申し出によりおむつ代として最高金1両(現在の価値は、米価を基準とすると約6万円、大工の賃金を基準とすると約35万円だそうな)の手当を出していたことが紹介されています(54~55ページ)。少子化を嘆く現在の政府よりも力を入れた政策がとられていたのですね。行政サービスは本当に昔よりよくなっているのか、まじめに考えてみる必要がありそうです。

沢山美果子 岩波新書 2020年8月20日発行