詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

ジャウム・コレット=セラ監督「トレイン・ミッション」(★★★)

2018-04-11 19:21:13 | 映画
ジャウム・コレット=セラ監督「トレイン・ミッション」(★★★)

監督 ジャウム・コレット=セラ 出演 リーアム・ニーソン

 走る列車だけが舞台、というのはいろいろある。この映画の成功は、その列車を「通勤列車」にしたこと。いわゆる「ハイテク」とは無縁。「人間」が動かしている。それでも最後は「暴走」するんだけれどね。
 で、それに加えて、主演がリーアム・ニーソン。「アクションスター」かもしれないけれど、もうお年寄り。スピーディーなアクションはできない。狭い列車のなかに限られているから、まあ、許せる。
 さらに、リーアム・ニーソンが「大柄」なのがいい。トム・クルーズみたいに体が小さいと、いくら狭いとはいっても速く動かないとアクションが持たない。体が大きい場合、まわりが狭いと「視覚的」に速く見える。これが、なかなかいい。
 映画ならではの「小細工」(小道具)がきいているのもいいなあ。
 トイレに隠された25万ドル。通風向の「風」の変化から、そこが隠し場所だと気がつく。風が出ていることを知らせる「吹き流し」がほんとうにつかわれているかどうかわからないけれど、まあ、いい。
 チェックずみ乗車券を座席の背もたれにさしておく。乗車券にパンチされた穴を見ながら人探しをするというのも、うーん、アップが可能な映画ならでは、だね。
 基本的には、配電盤を壊して冷房を止め、乗客を一つの号車にあつめたり、床下に隠れたり(隠したり)、連結を手動で外したりと、どこかで見たことがあるぞ、というシーンばかりなのだけれど、それもなんとなく「人間臭い」感じがしていい。
 クライマックスの「犯人探し」。目撃者は実は目撃していなくて、「音」を聞いただけ。でもその「音(ことば)」が手がかりになって急展開するところは、映画というより「芝居」なんだけれど、ここはここで「芝居」の鉄則を踏まえている。
 「プリンは誰だ」という質問に、乗客が次々に「私だ」と名乗りを上げる。これもまあ、「定型」なんだけれど、ここから乗客がリーアム・ニーソンの「味方」になり、観客を「味方」にしてしまう。なんというか、単にリーアム・ニーソンの「活躍」を見ているだけではなく、「事件」そのものに映画をみている観客もまきこまれていく。(芝居だと、こういう効果はとってもきいてくる。)
 「新しい」映画ではないけれど、映画としてとても落ち着いている。久々に「落ち着いた」映画を見た、という感じになる。
 リーアム・ニーソンの、ゆったりした声もなかなかいいなあ、と思った。
(2018年04月11日、ユナイテッドシネマキャナルシティ、スクリーン11)


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設計図を書いたのは誰?

2018-04-11 18:27:40 | 自民党憲法改正草案を読む
設計図を書いたのは誰?
             自民党憲法改正草案を読む/番外205(情報の読み方)

 2018年04月11日の朝日新聞(西部版・14版)に加計学園獣医学部に関する愛媛県作成文書の「全文」が掲載されている。「首相案件」と発言したとされる柳瀬は愛媛県の関係者に会ったという「記憶はない」と言っているのだが、公開された文書を読むと「会った、会っていない」以上におもしろいことが書かれている。
 文書によると、愛媛県側は2人に会っている。
 藤原地方創世推進室次長と柳瀬首相秘書官。
 藤原とは平成27年04月13日の11時30分に、場所は内閣府で会っている。
 柳瀬には平成27年04月13日の15時00分に、総理府官邸で。
(疑問1)
 柳瀬は会っていないと言っているが、藤原はどうなのか。藤原は、どう言っているのかわからないが、藤原が「会っている」と記憶しているなら、柳瀬の「記憶間違い」が明確になるだろう。
 一方に会ったことは正確で、もう一方は間違いということは、考えにくい。愛媛県の文書は04月13日に作成されている。日にちはそんなにたっていない。間違えるはずがない。
 内容で特におもしろいと思ったのは
藤原文書「要請の内容は総理官邸から聞いており」
柳瀬文書「本件は、首相案件となっており」
 と素人目には「共通点」としか見えない表現があること。
(疑問2)
 「要請の内容は総理官邸から聞いており」と「首相案件となっており」は、どう違うのか。どういうときに「総理府官邸から聞いており」というのか。「首相案件」とは具体的にはどういうときにつかうのか。どちらも、私には「総理府=総理が認識している(問題にしている)」としか理解できない。
 さらに次の部分の類似性も非常に興味深い。
藤原文書「獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書き込んでほしい」
柳瀬文書「獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、(後略)」
 「獣医師会対策」として「真っ向勝負」「直接対決」を避ける。そのために「既存の獣医学部と異なる特徴」「既存の獣医大学との差別化を図った特徴」を出す。さらに「卒後の見通し」を明らかにする。
 これって、同じことではない?
(疑問3)
 愛媛県側に語った内容が「酷似」しているということは、藤原と柳瀬が打ち合わせをしたのか。一人だけが語ったのでは、「伝達漏れ」があるかもしれないと考えて事前に相談したのか。
 あるいは、誰が対応しても、こういう具合に答えることが、すでに「定型化」しているのか。
 それとも、「要請内容」を把握している「総理府=首相」が、問題をスムーズに処理するために、「回答文書」をあらかじめ用意し、それを藤原と柳瀬に伝えたのか。
 私の考えでは、誰かが「回答文書」をあらかじめ作成し、それを伝達するために愛媛県側と会ったとしか思えない。

 で、この「疑問点3」から、「首相案件」であることが鮮明になると思う。「獣医師会」をどう納得させるかは、獣医学部新設の大きな「問題点」だった。そのことを改めて念押ししている。「問題点」をはっきり「共有」している。
 「設計図」を書いているひとが、いるのだ。
 柳瀬がほんとうに「記憶していない」のだとしたら、その「誰か」の指示に従って、「誰か」の書いた「文書(内容)」を伝達しただけだからということも考えられる。自分で考えたことなら、これだけ具体的に「文書化」されていれば、絶対に思い出す。「記憶にない」ではなく、「私はこういうことばづかいをしない」と言える。


#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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松井久子監督「不思議なクニの憲法」上映会。
2018年5月20日(日曜日)13時。
福岡市立中央市民センター
「不思議なクニの憲法2018」を見る会
入場料1000円(当日券なし)
問い合わせは
yachisyuso@gmail.com
憲法9条改正、これでいいのか 詩人が解明ー言葉の奥の危ない思想ー (これでいいのかシリーズ)
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