Ｕターンして

『ポカポカ　ポカポカ』
朝の雲はすっかりどこかに行きました。
空は青，畑の菜の花にお日様が『ポカポカ』注ぎます。


少し速足で歩けば，汗ばみます。
水面の穏やかな，河口湖の河川敷を散歩したんです。

「君たち日向ぼっこか？」
早速見つけた，カモに声をかけ近づきますが・・・


『爺さんの相手はごめんだ』
一斉に飛び立ち，水の中へ『チャポーン　チャポーン』

“おっ，マガモのペア２組”

岸から十メートル程離れたところを泳ぐ，マガモのペアを２組見つけ，声を掛けます。

「君たち仲良くていいなあ」
「こっちへ来―い」


“来ないなぁー”
“こうなったら『マガモ語』しかないか”

「クワッ，クワッ　コーィ　コーィ，クワッ　コーィ，クワッ」

アクセントは適当，滑舌もいい加減ですが・・・
『マガモ語』らしくまねて，呼んでみたんです。

なんと！！
“びっくりポンだ，本当に来た”

私の声を聴いた雌が，岸に向かって方向を変えます。
雌が行けば，雄は従わざるを得ません。
マガモのペア２組，私に向かって近づいてきたんです。


「グワッ，グワッ　ヨーキタ　ユーキタ，グワッ　ギワッ」
二度目の呼びかけは，余計だったかもしれません。
訛りが強く，怪しまれたようです。
結局，Ｕターンして離れて行ってしまったんです。