ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

3 ナツメグ料理の帝王 35ページ目

2009-10-05 22:57:14 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【35ページ】


シェフ   幻覚ですか?

和音    いいえ、これから厳格なテイスティングを始めます。


そう言いながら、和音は盲目のソムリエとのテイスティング対決を思い出してい

た。「心眼」と和音はつぶやいた。

目を閉じて、テーブルを見ると、襲い掛かって来た猫が急におとなしくなり、急に

走り出した羊も立ち止まった。飛び跳ねたカンガルーも地面に座った。

和音は、ワイングラスを手に取った。そして、左手の手の平にワイングラスを置い

た。心眼と集中力で幻覚を封じ込めたのだ。


和音   こうして目を閉じて、ワイングラスを手の平に置くと、このワインの

     ラベルが見える。

     リュショット・シャンベルタン?

シェフ  和さんの答えはリュショット・シャンベルタンですか?

和音   おや?軍隊が見えてきた。

     これは、ナポレオンの軍隊だ!

     と言うことは、このワインはナポレオンが愛飲したシャンベルタン? 

シェフ  和さんの答えはどちらですか?

和音   目を閉じると、嗅覚が鋭くなるのですよ。

     このアロマとブーケはシャンベルタンですね。

シェフ  参った!

     和さんの正解です。     



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