ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 156ページ目   AB型は天才的

2014-10-08 11:48:37 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【156ページ】



 佐藤は、ロックグラスを口に近づけ、香りを嗅ぐ。

そして、一口含んだ。


「最初、ロックの香りは弱かったが、口に入れると、口中から

鼻にかけて香りが吹き抜けた。」


 陽菜は、微笑みながら頷いた。


「さて、AB型だが、ママはAB型に対してどんな印象を持っている?」

「AB型の人は天才的とよく言われるわね」

「そう、そこなんだ!

食品偽装の調査で、天才的な偽装で私は嵌められたようだ・・・・」


 佐藤の核心的話になってきたので、陽菜は黙って、話の続きを待った。


「熊野牛専門店の『熊野八鬼山』の店員から、熊野牛でない和牛を使って

いると、マスコミに内部告発があり、私も調査をおこなっているところだが・・・」 


 佐藤は、ロックの氷をカラコロと音をたてたが、飲まずに話を続ける。


「ところが、この内部告発は、『熊野八鬼山』を宣伝するための自作自演

だったかもしれない。

『熊野八鬼山』の鬼塚社長は、会見で謝った。

会見の内容は、熊野牛は、まぼろしの牛と呼ばれ、入荷量が少ない。

たまたまその日、大人数の予約が入り、熊野牛を全員分手配できなかった。

そこで、同等に近い、神戸牛と但馬牛のA5ランクを一部使ったという内容であった。

鬼塚社長は、謝りながら熊野牛は、神戸牛と但馬牛のA5ランクより上だと印象づけた。」




熊野牛 すき焼用
クリエーター情報なし
熊野牛