ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 155ページ目   ロックは味の七変化

2014-10-07 23:02:26 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【155ページ】



「そうかもしれない」


佐藤は、相槌をうちながら、加水したロイヤルロッホナガーを飲み干した。


「別の飲み方をされますか?」

「ロイヤルロッホナガー1991 16年カスクストレングス56.1度をロックで

飲んでみたいなあ。

ストレートとストレートに加水する飲み方を教えてもらったが、ストレートとロック

では味の違いはあるの?」

「ロックは、氷でウイスキーを冷やすので、ストレートに比べて香り立ちが弱いです。

ウイスキーマニアの方の中には、ロックは邪道な飲み方だと断言する人がいますが、

私はそうだとは思いません。ロックは味の七変化を楽しむことができるのですよ」

「味の七変化?」


 佐藤は思わず聞き返した。

「そう、ランタナの花のように」


ランタナ/ミラクルボール 育てやすい常緑花木
クリエーター情報なし
ガーデンタウン




 ママの陽菜は、手際よく氷をナイフで削り、丸く仕上げてグラスに入れる。

メジャーカップで30ml図り、グラスに注いだ。


「さあ、どうぞ味の七変化を楽しんでください。

氷が少しづつ解けだすにつれ、ロイヤルロッホナガーのアルコール濃度が56.1度

から変化していきます。

飲むタイミングによって、アルコール濃度が変化するので、今夜飲むロックと次の機会

に飲むロックでは、味が変わると言えます。」

「ロックとは奥深いものだね?」