ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 60ページ目 3本のコルトン・シャルルマーニュのトリック  

2013-03-07 21:29:49 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【60ページ】


 和音は、顔をバラの花に近づけた。

そして鼻で息を吸い込むと、ワインの香りが広がった。


「このバラの花の香りはコルトン・シャルルマーニュですね?」

「和さんもですか? 私もそう感じます。」


 白庭社長は、和音をトラップにかけることに成功したと思った。


「それでは、ブルゴーニュのワインを飲むことにしましょう」

「今夜は、ブルゴーニュの赤ワインということでとても楽しみにしていますよ!」

「ええ、ブルゴーニュの赤ワインの当り年である1999年、2002年、2003年の

シャンベルタンを用意しています。」


 白庭社長は、ナポレオンの愛したシャンベルタンを飲んでいない。

しかしお気に入りだった頃には、多くのシャンベルタンをコレクションして、ワインセラー

に貯蔵していた。

今は、そのシャンベルタンを知人が家に来たときに開けているのである。

今夜の和音とのプライベートワイン会では、それらのシャンベルタンの中でもとっておきのワイン

を選んでいる。


「料理も運ばれて来たので、シャンベルタンを開けさせます。」


 専属ソムリエの草木がシャンベルタンを抜栓し、グラスに注いだ。


「私がワインに興味を持ち始めた頃、シャンベルタンとジュヴレ・シャンベルタンとの違いが

判りませんでした。」