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ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 128ページ目 ロワール川巡り④  プイィ・フュメ

2014-03-05 22:23:01 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【128ページ】


 中央フランス地区で有名なAOCはプイィ・フュメとサンセールである。

この2つのAOCワインの生産地はロワール川を挟んで対向し、ソーヴィニヨン・ブラン

による白ワインで競っています。


「マスター、猫のおしっこのワインを良子さんに」

「マスター、草原の香りのワインにしてくだい」


 良子は、笑いながら和音の注文を言い替えた。


「プイィ・フュメのボトルにしましょうか?」


 和音が頷く。


 マスターはプイィ・フュメを抜栓し、二人のグラスに注ぐ。

良子はグラスを手に取り、香りを楽しむ。


「さわやかで、スモーキーな香りだわ!

和さん、プイィ・フュメの名前の由来を知っている?」

「ああ、火打石の香りがすることから燻製という意味のフュメと付けられた。

プイィは村名ではないかな?」

「その通りだわ! ソムリエの知識としては常識問題。

そしてプイィ・フュメとプイィ・フュイッセとの違いも。

この二つは名前が似ているので、お客様もよく誤解しているの」


 和音もグラスを手に取り、プイィ・フュメを飲む。


「プイィ・フュメはロワール、プイィ・フュイッセはブルゴーニュ」

「そうよ、そしてプイィ・フュメはソーヴィニヨン・ブラン種で、プイィ・フュイッセは

シャルドネ種だわ。」






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ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 127ページ目 ロワール川巡り④ 猫のおしっこを飲む?

2014-02-04 23:17:22 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【127ページ】


 和音は、良子とのトナカイの話のやり取りを振り返っていた。

今夜は、良子さんを2度も怒らせてしまった。これは、マスターのお奨め

ワインが悪いのだ。それらのワインに関するエピソードや話題について話

をしていて失言してしまった・・・・今夜はついていない・・・・。

常連客の丸山さんも悪い・・・・営業マンの口のうまさと比較されて・・・。


「田辺さん、和さんは仕事から帰ってきたばかりで、いつものように

穏やかにワインを楽しめていなかったようだよ」


 マスターが、和音に助け舟を出した。


「また、味覚を狂わせられるようなワイン対決をしてきたの?」

「いや、今回は大丈夫だ!」

「ごめんなさいね、いつもの和さんだと思って拗ねて見せただけだから・・・」 

「いや、私が悪かった。ロワール川巡りで、楽しく飲み直そう。」

「いよいよ、ロワール川の上流に行くのね?」


 ロワール川の上流は、フランスのほぼ中央にあたる。このロワール中央フランス

地区は、ロワール地方というより、土壌やブドウ品種はブルゴーニュにかなり近い。

少量ながら赤ワインやロゼワインも生産されているが、白ワインの生産が主体である。


「それじゃ、まず猫のおしっこを飲もうか?」

「まあ!」

 
 良子は驚いた表情を見せるが、勿論何のワインのことを言っているか判っている。


「私は草原の香りのするさわやかなワインがいいわ!」

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 126ページ目 ロワール川巡り④ 不思議な現象の正体   

2014-01-21 20:29:06 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【126ページ】


 良子が、再び和音の脇腹を軽くトントンと突く。

和音は頭に手をやりながら、苦笑いを見せる。


 良子は、シャトー・オーブリオン美味しく飲んだ後、今日のお薦め

ワインを飲んでいた。

ボードには2種のトナカイラベルのワインが記載されている。ひとつは

白ワインでトナカイラベル ル・シェ・ド・ボルドー 白もうひとつは

赤ワインでとクロ・デュ・ヴァル カベルネ・ソービニヨントナカイ赤

(アメリカナパ)である。

良子が選んだのは、和音に勧められたプレミアムワインの赤のトナカイで

あった。


 マスターは、赤のトナカイをグラスに注ぎ、良子と和音の前に置いた。

そしてマスターはトナカイと飛行機との事故の話をした。

すると良子は、

「サンタクロースのトナカイが飛行機に当ってしまったのだわ!

サンタクロースは大丈夫だったのかしら?」と心配顔で和音に話しかけた。

「不思議な現象の正体は、案外つまらないことが多いものだ。

UFOを目撃した情報も金星や月をUFOだと思ったという人間さえいる。

トナカイの肉が飛行機についていたのは、トナカイが衝突したのではなく、

トナカイの肉がついただけにすぎない!例えば、トナカイの肉を食べた鳥が

飛行機に接触したとか・・・・」

「あら、まるでガリレオの湯川博士のような言い方ね?」


 

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 125ページ目 ロワール川巡り④ トナカイが飛行機と衝突  

2014-01-20 22:27:03 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【125ページ】


「飛行機と鳥の事故でそんなに大きなニュースになるかしら?」

「小型飛行機を操縦している時、パイロットが何かと機体が衝突

する衝撃を受けたそうだ。着陸して機体を調べると、肉片がついて

いたのです。しかしどうも鳥の肉ではないような気がしたので、

それを調べてもらった」

「何の肉だったの?」

「それが・・・・・」


 丸山が今日のお奨めワインのボードを指さした。

ボードには今飲んでいる1688が記載されており、その下にトナカイ

ラベルのワイン赤と白2種が書かれていた。

「トナカイ・・・・?」

「そう、DNA鑑定の結果トナカイだったそうだ!

それで、なぜトナカイと飛行機が衝突した?と大騒ぎになった。

貝塚さんはどう思う?」


 貝塚 麻里はしばらく考えたが、急に悲しそうな表情を見せ、涙ぐんだ。


「どうしたの? 何か悪いこと言った?」


 麻里は、いいえと言いながら頭を振った。


「サンタクロースのトナカイが飛行機に当ってしまったのだわ!

サンタクロースは大丈夫だったのかしら?」

「その小さな町でも、そのように考えて、サンタが地面に墜落して

けがをしていないか大捜索をしたそうだ。」





ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 124ページ目 ロワール川巡り④ 女心がわからない 

2014-01-19 22:26:22 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【124ページ】


「私は、絶世の美女じゃないから大丈夫!」

「いや、今の貝塚さんは美し過ぎる!

俺は、和田や会社の仲間から嫉妬を受けるに違いない!」

「これからも会社では今までの私、入社して男性からデートの誘いを

一度も受けたことないわ!」


 良子が、和音の左脇腹を人差し指で軽く突くと、

「なるほど・・・」と苦笑いを浮かべながら言った。


「私は、絶世の美女じゃないから大丈夫!」

「そうだね!」

「もう、和さんったら、女心がわからないのね?」

と良子が言って、頬を膨らませて、拗ねて見せた。



 和音は、マスターに助けを求め、馴染みのお客さんにと手渡していた

シャトー・オー・ブリオンを抜栓してもらい、ちょうど良子がそれを

飲んでいたところであった。



 丸山は、マスターから聞いた今日のもう一つのお奨めのワインに関する

話を貝塚 麻里にした。


「最近、アメリカの小さな町で大騒ぎになっているニュースだけど」

「ええ、それは何?」


 麻里はそのニュースに興味を持った。


 「飛行機のトラブルで多いのは鳥との衝突と言われているが、そのニュース

もそれに関するものだ」