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ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 133ページ目 盲目のソムリエ シャトー・マルゴーとの違い

2014-03-11 20:06:39 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【133ページ】


「心眼ですか?

まるで、盲目の剣の達人のようですね?」

「ハハハ、実は弟子の打田が、いつもテーブルの同じ場所にボトルとグラス

を置いてくれるのです。

大沢理事長、シャトー・パルメをいただきましょうか?」


 大沢と粉河はワイングラスを手に取り、シャトー・パルメを飲んだ。


「粉河さん、あまりにおいしいので一気に飲んでしまった。

もう一杯いただけますか?」

「打田君頼みます。」


 粉河の弟子の打田がボトルを手に取り、大沢のグラスに注ぐ。

粉河は、グラスに注がれた音を確認して大沢に声をかけた。


「さあ、どうぞ!」

「うーん、やはり最高のワインだ!

シャトー・パルメはシャトー・マルゴーと同じメドック地区のマルゴー村のワイン

だね。マルゴーのブドウ品種比率は、カベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロ20%、

カベルネ・フラン5%と言われている。」

「ええ、そうですね。」

「それに対してシャトー・パルメは、カベルネ・ソーヴィニヨン47%、メルロ47%

と同比率でカベルネ。フラン6%。メルロの比率が高いのでシャープさよりもしなやかさ

を感じる。」





Chateau Margaux シャトー・マルゴー 1998
クリエーター情報なし
シャトー・マルゴー

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 132ページ目 盲目のソムリエ シャトー・パルメ

2014-03-10 22:36:59 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【132ページ】        盲目のソムリエ


 
 大沢病院グループの理事長の大沢と彼の専属ソムリエ打田の師匠である

粉河とのワイン会が催されていた。


「シャトー・パルメの上物が手に入ったそうだね?」


 大沢が粉河に尋ねた。


「はい、打田君に今準備させています。」

「シャトー・パルメといえば、メドック地区格付けの3級だったかな?」

「ええ、しかし、時には1級の五大シャトーをも凌ぐと言われるスーパー

セカンドワインです。」

「それは、味わうのが楽しみだ!」        
         

 二人がそのような会話をしているところに、大沢の専属ソムリエの打田が

シャトー・パルメを持って部屋に入って来た。 


「準備ができました。」と打田が粉河の耳元で告げる。


 打田がテーブルの上に、シャトー・パルメとワイングラスを2個並べた。

粉河はテーブルに近づき、シャトー・パルメを手にとり、あざやかな手つき

で開栓し、グラスにワインを注ぐ。


「いつ見てもあざやかな手つきだね?

粉河さんには、まるでシャトー・パルメやグラスが見えているようだ!

どうしてそれらの場所がわかるの?」

「心眼ですね。」


 粉河を笑顔を見せながら答えた。








シャトー パルメ [2006] 750ml
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シャトー パルメ

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 131ページ目 ロワール川巡り④ 中央フランスで一泊

2014-03-10 07:28:46 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【131ページ】


「サンセールをここで飲むと、楽しいロワール川巡りの旅も終わってしまうわ。

明日、仕事がお休みだから、中央フランスで一泊してロワールワインをもっと

楽しまない?」


 良子は、彼女の部屋に来て、ワインをもっと飲まないかと誘った。


「ああ、そうしよう」


 和音は頷き、マスターに呼びかけた。


「マスター、持ち帰り用でワインを用意してくれる?

サンセールとミュスカゼ・ド・セーヴル・エメーヌとロゼ・ダンジュと

ヴーヴレーとシノン。銘柄は任せます。」


 和音は、良子に顔を向け、話しを続ける。


「中央フランス地区のサンセールを飲んだ後は、ロワール川巡りの思い出を

語ろう。ナント地区のミュスカゼ・ド・セーヴル・エメーヌ、アンジュ・ソーミュール

地区のロゼ・ダンジュ、美しい古城が散在するトゥーレーヌ地区の白のヴーヴレーと赤の

シノンを飲もう」

「朝まで、語り、飲むことになりそうね?」








シノン ソレイユ ド クーレーヌ シャトー ド クーレーヌ 2012 750ML 赤
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CHINON SOLEIL DE COULAINE CHATEAU DE COULAINE

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 130ページ目 ロワール川巡り④ サンセール

2014-03-09 06:41:31 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【130ページ】


 良子は、笑いながら答えたが、その表情の中にはちょっぴり口惜しさも

含まれていた。


「大使の隣の席には奥さんも同席していた?」

「ええ」

「判った!」


 和音は、笑って言った。


「ええ? 何が判ったの?」

「大使は『うっとりするほど美しい』と言ってしまった!

良子さんは、ワインの抜栓の仕草に対する褒め言葉だと最初思ったね?

しかし・・・・・」


 和音は右手の手の平を良子の前に出した。


「ここに右手を乗せてみて」


 良子は、首を傾げながら右手を乗せる。


「大使が『うっとりするほど美しい』と言ったのは、良子さんのこの手に

対してだったのでは?」

「まあ!」


 良子は、顔を赤く染めながら、手をさっと引いた。


「大使は、その言葉に奥さんが反応したのに気付いた。

それで、ソムリエナイフを見せてほしいと言ったと思うよ」


「和さん、フォローしてくれてうれしいわ!」

「さて、次はサンセールを飲もうか?」
 
 








アンリ・ブルジョワ・サンセール・ル・MD 2011 白750ml
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アンリ・ブルジョワ・サンセール・ル・MD

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 129ページ目 ロワール川巡り④ TRのソムリエナイフ

2014-03-08 22:07:23 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【129ページ】


 良子は、バッグからセパージュ・ラギュオールのブロンドホーンの

ソムリエナイフを取り出し、カウンター席のテーブルに置いた。

そのソムリエナイフは、和音から良子にプレゼントされたもので、ルビー

とサファイヤでTRのイニシャルが入っている。


「お店で、このソムリエナイフを見せてほしいというお客がいたわ」

「どんなお客?」

「神戸の美術館で、フランスの印象派絵画展が催され、そのオープニング

の前夜に関係者とフランスの大使との食事会がマリーナヴィレッジであり、

私もそのサーブをしたの」

「フランスの大使にワインを注いだ?」

「そうよ!」


 良子は、自慢げな表情を浮かべながら答えた。


「和さんからいただいたこのTRを使うようになってから、常連のお客様

から、『田辺さんがワインを抜栓する仕草が美しい』とよく褒めていただく

ようになり、それで今回その役に抜擢されたの」


「それはすごい!」

「フランスの大使は、ワインの栓を抜く時、私の手元をじっと見て、

『うっとりするほど美しい』と声をかけてくれました。」

「大使も良子さんの動作に感嘆した訳だ!」

「いえ、このソムリエナイフに!」







SEKI ソムリエナイフ マホガニー SJ501MA
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SEKI (セキ)