「川柳歳事記

駅
コンビニで便利さも買う駅の中
駅前の土地はいつでも一等地
一日が始まる朝の駅ホーム

「川柳歳事記

浮く
餌の無い浮きで大魚を待ちわびる
大臣の過去を野党があぶり出す
ロボットの職場で浮いている社員

「川柳歳事記

家
古民家に住む流暢な日本語
平成の家に昭和がなじめない
あやかりたいサザエさんちの暮らしぶり

「川柳歳事記

あいにく
約束のある残業ははかどらず
アリバイがなくて最初に疑われ
譲られた外車燃費を無駄に食べ

「川柳歳事記

ワイン
熟すまで耐えたワインの琥珀色
赤ワイン喋り上手で崩れない
不器用な嘘ねワインが揺れている

「川柳歳事記

浪費
汗が無駄よくそんなこと言えますね
無駄すべて削り不幸になりました
地球からポタポタ落ちているローヒ

「川柳歳時記

礼儀
イケメンで礼儀もよいが才がない
文面は礼儀正しく誤字ばかり
気を遣いすぎて礼儀が届かない

「川柳歳事記

陸
俺んちの土地だと主張する戦車
ムー大陸から伝わったもんじゃ焼き
陸橋で釣り糸たれるソクラテス

「川柳歳事記

落
限りある命に落日まぶしすぎ
視力落ち歩いた道が見えてくる
信頼の壁ひと言でくずれ落ち

「川柳歳事記

世
大吉を引いてお前と半世紀
つぎの世も貴方と添うて飲むワイン
浮世には未練残さず黄泉へ