雑詠

軒下に恩を忘れずくる燕

　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

親友の絵馬を書き換え裏返す

勝ち取った姓が近ごろ邪魔になる

当店の前は他店の客の列

「川柳歳事記」

コンパスが長いね生き急いでいるね

サイダーしゅわしゅわコンパスに職がない

象のコンパスゆっくりと歩く地球

「雑詠」

歳のせい自問自答に日が暮れる

                   　　　美和山吹

「老いて新鮮」松ひさし

弱くなって分かったぞ

友人と駅前の居酒屋で午後４時に会う

この約束は覚えている

出かける途中のポストに葉書を入れる

この簡単なことを忘れる

頭のはたらきが弱くなって納得　分かったぞ

 

遠くの看板や広告の文字はよく読める

近くで見る新聞や地図の文字がよく読めない

目が弱くなって納得　分かったぞ

 

離れていても聞き耳を立て聞く気になっていると話が分かる

近くからでも突然話しかけられると話が分からない

耳が弱くなって納得　分かったぞ

 

酒が大好きな者と大嫌いな者も酒の匂いには気づく

ケーキやチョコレートの甘い香りは好きな者が感じる

鼻が弱くなって納得　分かったぞ

 

濃い味よりあっさりした味や風味のあるものが口に合う

ミョウガやウドにシソなど妙な味が好きになる

癒したが弱くなって納得　分かったぞ

「戯れ言」（続く）

 

 

「映像川柳」

今まで載せて来た「映像川柳」も、描いたものがなくなりました。

今後、このブログに載せるものがあまりないので、どうしようかと思って居るところです。

「川柳歳事記」

彼氏来てコントロールの利かぬ親

人の世の荒野に駻馬乗りこなす

ハイハイと孫には弱い鬼である

「映像川柳」

お試しの誘いにまたも乗せられる

　　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

ゴシップはまたいで通る猫の鈴

ゴシップはハンドソープで落とせない

ゴシップにポキポキ折れていくもやし

「映像川柳」

病状をそらんじてみる受診前

　　　　　　　　　　　　美和山吹