乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

38度線越え乗りバス

2015-12-16 | 韓国
 11月急に冷麺が食べたくなり、厳冬期の前に韓国に行っておくかと金浦行きの大韓航空の切符を買いました。機内食の参鶏湯風丼?はちゃんと高麗人参入りでなかなかウマく感心です。深夜の金浦に着いたら空港鉄道~デジタルメディアシティ~地下鉄6号線と乗り換えソウル北部の仏光で適当なモーテルに投宿しました。


 翌日は仏光から乗りバスを楽しみつつ冷麺を食べに行くという算段です。仏光にはソウル西部市外バスターミナルという「停留所」があります。かつてはここに古びたターミナルがあったのですがソウル西部警察署になってしまい、今は名前こそターミナルでも道路中央のバスレーンや路肩の停留所でバスが発着するただの停留所です。発着するバスにはそれなりに長い路線もありますがいわゆる市外バスではなく距離が長めの一般的な路線バスで、韓国のターミナルでない簡易な市外バス停留所によくある乗車券販売所ブースはありません。


 ここで今回乗ったのは坡州市の積城に行く30番です。


 30番は統一路という名の板門店へ向かう道(ヨンシンネ以北の統一路は国道1号線)をずっと北上します。北に向かうにつれ非常時用の道路破壊施設が点在しさすが休戦ラインの近くという感じがしました。坡州駅付近で統一路を逸れ陸軍の部隊をいくつも見ながら北東へ進みます。


 ソウル西部市外バスターミナルから50キロ以上1時間45分乗ると終点の積城共用バスターミナルです。ここまで運賃は1400ウォン均一とだいぶトクした気分になりました。各行先の乗り場がかわいらしく並ぶターミナルは共用ターミナルと言っても今は市外バスの発着はなく一般的な路線バスのみです。


 ターミナル前の橋上の停留所から出る92番バスに乗り継ぎます。車両が小さく乗客は地元のお年寄り中心になりだいぶローカルな雰囲気です。


 坡州市から漣川郡に入り38度線を越えると百鶴面の中心にある坡州市と漣川郡のバスが共用する折返場に着きます。百鶴面は休戦線で分断された面でこの折返場は休戦線まで約5キロの近さですが民間人統制線の内側でことさらに緊迫した感じはありません。


 ここで乗り継ぐバスを待つ間、もし朝鮮戦争がなかったら38度線がずっと南北の境ということになり、そうなると百鶴には来れなかったもののソウル西部市外ターミナルから38度線以南の(現実には現在北朝鮮の)開城方面へバスが頻発していたかもなどと想像してしまいました。そういえば以前民間人統制線に沿って路線バスを乗り継いでみようかと考えたもののさすがに気分が重くなりそうなのでやめたなんてこともあります。北へとバスを乗り継げない、というバカバカしい理由であってもやはり分断というのはイヤなものだと改めて思いました。
 さて百鶴で乗ったのは東の全谷に行く漣川郡58番バスです。この58番は同じ全谷行でも便によって途中の経由地が異なるのですが、そのうち最も休戦線に近い北側を走る旺澄面東中里経由に乗ったところ割に狭めの箇所がありなかなかよい乗り味でした。民間人統制線にかなり近づく箇所もあるものの越えることはなくのどかな農村を走っていきます。


 バスを降りたのは臨津江の右岸にある無等里という集落の旺澄面事務所停留所です。ここに「黄海冷麺」という有名店があるというので寄ってみました。最寄りの集落からやや外れた高麗人参畑の先に件の冷麺店が見えます。


 ひと気がないのでヘンだなとなかなか立派な店先をのぞくと11月は寒いので週末のみ営業と貼り紙があり閉まっていてがっかりしました。仕方ないので次のバスまでの時間つぶしに臨津江を見に行くと川岸近くには川魚や貝の料理を出す店がいくつか見えやや心が動いたものの東京の自宅からはるばる抱えて来た冷麺気分が勝ち別の冷麺店に行くことにします。


(こちらに続きます。)
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マヨルカ島名物エンサイマダ

2015-12-10 | スペイン
 スペインのマヨルカ島で郷土料理というのをいくつか頼んでみました。これはマヨルカ風スープ(Sopa mallorquina)です。野菜だくさんで下にはパンが入っていてこれだけで結構お腹に溜まりました。ワインもマヨルカ産と言われると単純なものでなんだかより美味しくなるような気がします。


 続いて刻んだ青菜が載ったタラのマヨルカ風(Bacalao a la Mallorquina)です。地中海周辺はタラの産地ではないのに昔から塩干しのタラが流通し各地に様々なタラ料理があるというのは面白い気がします。


 こちらはTombetというオリーブ油で揚げたジャガイモ・ナス・赤と緑のピーマンにトマトソースをかけたものです。その組み合わせからちょっと中華料理の地三鮮を思い出しました。


 さて食べるものでマヨルカ島の名物というとエンサイマダ(Ensaimada)というパンが最も目立っていたように思います。暗く静かな早朝のパルマの街中でもエンサイマダを作るパン屋さんは忙しそうでした。

 ここのエンサイマダはパルマ空港内でも売られています。ピザのような入れ物に入った大きいものはマヨルカ島土産の定番のようですが、私はマヨルカ島の先も旅程があり直接帰宅するわけではなかったので小さいものを買って食べました。ラードが入っているというだけあり見た目はふわっと軽そうでいて食べ応えがあります。


 パルマの街中の別のパン屋です。このように様々なサイズがあります。

 ここのエンサイマダも空港内(右)で売られていました。観光客の多いマヨルカ島だけにお土産用の需要が多いのでしょう。


 海も山もある島だけにレストランやパン屋をのぞくとあれこれと美味しそうなものが見えたのですがごく短い滞在であまりいろいろ食べられなかったのが残念です。
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ショパンが過ごした町

2015-12-09 | スペイン
 マヨルカ島の名所にショパンがジョルジュ・サンドとひと冬(1838~39年)を過ごしたバルデモサ(Valldemossa)という町があります。パルマのバスターミナルから210番のバスに乗って30分ほどと手軽なので行ってみることにしました。
 パルマからのバスはバルデモサの町中を抜けた辺りの停留所で停まります。ここで降りてバス通りをパルマ側に少し戻ると観光案内所があるので地図をもらっておきました。


 とりあえず町中をうろついてみます。フィアットライセンスのスペイン製セアト600は古い町に似合う気がしました。


 昔の水場です。


 町は丘の中腹に広がっているのでそれなりに起伏があります。どこもキレイに整備されていました。


 バルデモッサの名物はジャガイモ入りパン(Cocas de patata)というので適当なパン屋さんに入りひとつ頼むと粉砂糖をふるいで掛けて渡してくれます。独特の風味があり軽い口当たりで地味ながらなかなか侮れないウマさでした。


 ひと通り散歩して満足したらショパンが過ごしたカルトゥハ修道院に向かいます。


 ここの目玉はショパンが使ったプレイエルのピアノですが当然というべきか触ってはいけないのでどんな音かは聴けません。展示を見ていくとショパンはマヨルカ島まで蒸気船に乗ったなどとありちょっと面白く感じました。そういえばショパンは晩年鉄道にも乗っているそうなので徐々に蒸気機関の乗り物が発達していく時代の人なのだなあとヘンなところで感心してしまいます。


 部屋の前のテラスに出ると木々に花にとキレイでネコがころがるのどかさで、早起きして来たこともありなんだか眠くなってしまいました。


 テラスからは広い景色がのぞめ大変気分がよく、マヨルカ島は雨の日がごく少なく温暖とくれば滞在にはよさそうですがショパンが過ごした冬は不幸にも悪天候で体調を悪くしたそうです。ちなみに私もお目当ての古い電車に乗るときにかなりひどい雨に降られてしまったりマヨルカ島では天気に恵まれなかったのでなんとなくショパンに同情する気持ちがわいてしまいました。


 というわけで毎度乗り物めあてのついでとなんだかショパンに申し訳ない気もしつつポーランドの生家に行ったとき以来のショパン名所(?)見物になったという次第です。
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マヨルカ島北部のローカルバス

2015-12-08 | スペイン
 スペインのマヨルカ島北部でローカルバスに乗り継いでみたところ前回同様に予想以上に美しい景色が楽しめました。サイトのこのページと話がかぶりますが、ここではバスそのものより乗り継ぎ途中で寄り道した時の話をしていきます。

 まずマヨルカ島の中心パルマからの近郊鉄道で着いたインカ(Inca)駅の様子です。インカは革製品の産地でアウトレットショップがいくつかあり買い物もしてみたいところなのですが、私が着いたのはまだ朝の暗い時間だったのでそちらとは縁がないまま鉄道からバスに乗り換えました。


 インカで330番のバスに乗って北のトラムンタナ山脈に登り峠を越えた先の終点のユック(Lluc)で降ります。停留所は山間地にぽつんとある修道院(Santuari de Lluc)のすぐ前です。

 ここでは時間があったので修道院を見物しました。正面の大きな四角い棟の中にはホテルやレストラン、また出土品から陶器、絵画に服飾品と博物館と美術館を合わせたような様々なものが並ぶ展示室などが入っています。その前にはカフェや売店や土産屋が入った建物も並んでいてとりあえず行くあてはある感じです。

 インカからの道はかなり険しいのでこんなところにこんな立派なところがあるのかとちょっとおどろきでした。

 修道院の裏の丘には遊歩道があり大きな十字架が立つてっぺんまで上がることができます。

 上がると展望がきき気持ちはいいものの切り立った崖なのでちょっとコワくもありました。


 ユックからは1日1往復しかない355番に乗ります。途中大変美しい難路を楽しみながら終点のサ・カロブラ(Sa Calobra)で降りると目の前はすぐ海です。

 ここでは停留所から10分くらい歩いたところにある景勝地(Torrent de Pareis)に行きました。河口ギリギリまで続く渓谷が、狭い岩間の河口から海にそそぐ手前でやや広がっている、というところです。画像右側がその渓谷を下って岩間の河口へと向かう川ですが、左奥が水源の豊富な湧水が画像手前側をぐるっと回ってそこに合流するためいよいよ複雑な景観になっています。

 見物後バス停付近に戻ると周りにはセルフサービスのレストランが数軒あり、さらに海側に下るとセルフサービスでない小さめのレストランも並んでいました。

 ちょうど昼どきでバスの発車まで時間があったので後者のレストランのうちのひとつに入ることにします。海が見えれば単純に魚が食べたくなり焼いてもらって潮風を浴びながらビールを飲むといい具合に時間が潰れました。


 このあとはユックに戻り古い電車で有名なソーイェルを経由してパルマまで乗り継いだらぐるっとマヨルカ島北部を1周したことになります。なんとなくバス目当てで寄っただけながら山間部の修道院に海岸線の景勝地にと楽しい1日が過ごせました。
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