安倍がオリンピック招致で発言、国際公約が内外で話題、政治問題化しています。もともと視察する日程であったと語っていますが、オリンピック東京開催決定を受けて、汚染水問題が政治的に浮上し、自らが何らかの形で触れないわけにはならない結果としての視察が政治的な真相だと思います。とにかく、彼らにとって原子力発電所の再稼動、プラント輸出、核兵器開発能力の保持は本音であり、何が何でも離したくないのだと思います。
安倍、自民党政権がこれだけ明白な事実(福島第一原発事故の収束が出来ていないこと、汚染水が大量に太平洋に流出していること)を知りながら、内外にうその政治報告を行う異常さは必ず、安倍、自民党政権に政治的批判、信用の失墜という形で返ってきます。衆参多数議席がこのような安倍、自民党政権の横暴を支える構図となっていることは残念なことです。しかし、安倍、自民党政権による政治常識(うそを押し通す)、不誠実さ(事実の隠蔽と公平さの欠如)が国民、諸外国での非常識として批判、断罪されること状況を作り出すこと。また、時間がかかってもそのような政治的な批判、国民的な運動が沸き起こることは確実ではないかと思います。
<社説>
安倍晋三首相は、東京電力福島第1原発を視察し、汚染水問題について、原発港湾内で「完全にブロックされている」とあらためて言明した。しかし、実態は首相の認識とはかけ離れている。政府の試算でさえ、毎日300トンの汚染水が港湾内に流れ込む。それが船舶の出入り口を通じて外洋に流出し、薄められているにすぎない。
政府が公費を投入して建設する凍土遮水壁の効果も未知数で、事故収束に向け手探りに近い作業が続いている。首相の言葉とは裏腹に、状況がコントロールされていないことは誰の目にも明らかだ。今回の視察では、被災者や漁業者と直接対話する機会もなかった。東京五輪開催で汚染水の影響を懸念する海外に向けた演出が露骨ではないか。根拠の薄い安全宣言を重ねても疑念は拭えまい。この時期にあえて、運転停止中の5、6号機の廃炉を東電に要請した首相の意図も不可解だ。もともと廃炉は事故直後から不可避とみられ、ほぼ既定路線だった。首相が挙げる「事故対処に集中するため」という理由の聞こえはいいが、緊急性に乏しい。現状は、1~4号機の廃炉の前提となる汚染水処理でつまずいている。福島第1原発では約3千人が過酷な作業を強いられており、手を広げる余裕があるか疑問だ。本気で5、6号機の廃炉に着手するのであれば、人員、予算の手当てをした上で、廃炉計画全体を練り直す必要がある。新たな仕事を加えることで、事故を起こした原子炉と汚染水という最優先課題の解決に遅れや支障が生じるとしたら、本末転倒だ。綱渡りのような現実を直視せず、最高指導者が楽観論をふりまく現状に危うさを覚えざるを得ない。
不測の事態が起きれば、国際的な信用は失墜してしまう。
それ以上に憂慮すべきは、事故処理を担う東電や政府関係者がトップの見方に合わせ、事態の過小評価や、不都合な情報を伏せるといった行為に走りかねないことだろう。原発をめぐっては、電力会社の隠蔽(いんぺい)体質と政府による情報操作まがいのやり方をいやというほど見せつけられてきた。福島の事故後も、改善されたとは言い難い。
政府と東電は汚染水対策に全力を挙げなければならない。同時に、汚染水の経路を突き止め、海洋モニタリングを強化し、国内外への情報公開を徹底すべきだ。国民が何よりもまず知りたいのは、首相の見通しではなく、福島第1原発の現状と汚染の実態である。
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