『野干の手柄(きつねのてがら)』日本昔噺第十二號 英國ヂエイムス夫人編述 明治20年1月/出版 出版人/長谷川武次郎 発行所/弘文社

見返しに描かれた輿の御簾部分は、左側にめくることが出来るようになっていて、めくると輿の中から子狐が顔をのぞかせるという仕掛けになっています。


そして、本文の始まりの ONCE の O の飾り文字の中に狸が描かれ、狸の視線が輿の中の子狐に向けられています。

同じ内容で縮緬本も発行されていますが、縮緬加工をして柔らかくなった紙はこの仕掛けに向かなかったようで、縮緬本にはこの仕掛けは採用されていません。
研究者によると、本書は今や「めったに見ることの出来ない 稀覯本」なのでそうです。