最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

復刻 本の雑誌 創刊号~第10号

2015年04月22日 | 気になる雑誌






以前、ここで取り上げた「本の雑誌」の創刊号から第10号までの復刻版が刊行されることになりました。
創刊号は発行が500部と「限定本」並みの発行部数ですから、所蔵者も限られているので、今回の復刻版の刊行となったようです。

完全復刻版「本の雑誌」創刊号〜10号 BOXセット(分売不可)は、2015/5/21 発売予定。5400円です。


オリジナルの表紙を並べます。



AMAZONでつい予約注文しそうになりました。
オリジナルを持っているんだから、復刻版を買うことはないと思いとどまりました。あぶない、あぶない。








私のコレクション 気になる雑誌 「本の雑誌」 創刊号~第10号

2014年11月08日 | 気になる雑誌





今でこそ「本の雑誌」はメジャーですが、1976年5月の創刊当時からしばらくは、アルバイト料はナシだけれども飲み代はタダという配本部隊を組織して、個別交渉した書店に置いてもらっていたといいます。創刊号の発行部数は、わずかに500部だったそうです。

「本の雑誌」創刊の頃は神保町の古本街を毎日のように歩いていたので、ある時に存在に気がついて、かなり早い号から発売を楽しみにするようになったという記憶があります。その時には既に創刊号を含めて初期の号は品切れになっていて、2号から10冊ほどの揃いを古書展で手に入れ、あとから古書店で創刊号を見つけて買ったのだったのではないかと思います。

幻の創刊号。その表紙。
副題:書評とブックガイド●1 奥付には季刊「本の雑誌」とあります。100円


その裏表紙。



副題:書評とブックガイド第2 表紙。1976年7月。
巻末に販売している書店名が挙げてありますが、12店舗だけです。200円


その裏表紙。



副題:書評とブックガイド●3 '76秋号。 
この号からは表紙だけを並べます。200円。



副題:書評とブックガイド●4 '77春号。200円



副題:書評とブックガイド5 '77夏号。200円



副題:書評とブックガイド6 '77秋号。200円



副題:書評とブックガイド7 '77冬号。200円



副題:書評とブックガイド8 '78春号。200円。
販売している書店は46店舗。巻末に1~3号は品切れ、4~7号は残部僅少とあります。



副題:書評とブックガイド9 '78夏号。巻末に定期購読の案内。



副題:書評とブックガイド10 '78秋号。記念号で増ページのため250円。
巻末に「もしかすると来年から隔月刊になるかもしれない」とあります。



手元に50号まで残してあるので、隔月刊になったのがいつからなのか、月刊になったのはいつなのか、それも調べが付いたら報告します。





私のコレクション 気になる雑誌 「書窓」 特輯号

2014年06月05日 | 気になる雑誌






「書窓」第5巻第4号 通巻28号昭和13(1936)年 アオイ書房発行。



この号は創作蔵書票の特輯で、巻頭に4葉のオリジナル蔵書票が貼ってあります。


アオイ書房蔵票(武井武雄/作)


松村市太郎蔵票(平塚運一/作)


西川満蔵票(逸見享/作)


志茂太郎蔵票(恩地孝四郎/作)



奥付ページを見ると、創刊号から27号までの発行年月と定価の一覧が載っています。
昭和10年4月の創刊号が50銭、号によって定価が変わり、一番高かったのは23号、紙の研究特輯で2円50銭。

オリジナルの書票や和紙の見本を貼り付けた号は、手間がかかる分、定価を変えていたのでしょう。


この「書窓」28号は、1986年12月24日に神保町の田村書店で12000円で購入したというメモが挟んでありました。


※文中、「蔵書票」「蔵票」「書票」と用語が混在しています。使用された使い方そのままに表記したり、現在、多く使われるようになった「書票」と表記したり不統一ですが、同義ですのでご了承ください。






私のコレクション 気になる雑誌 「雨亭通信」 から

2014年05月02日 | 気になる雑誌





前記事で坂本一敏さんの個人誌「雨亭通信」を紹介しました。その第2号に掲載されている坂本さんの「古書道楽 ―署名本と献呈本―」と題する一文を紹介しようと思います。
その前に、いくつか言葉の意味をご理解いただきたいと思います。青字は『新明解国語辞典』第4版 三省堂刊からです。

献呈」は、「儀礼として著書などを他人に贈ること」とあります。
恵存」(けいそん・けいぞん)は、 [保存してくださればさいわいです、の意]自分の書いた書籍などを贈物とする時、相手の名前のわきに書き添える言葉。

いずれも自著をどなたかに差し上げるときに使われる言葉で、「謹呈」も同じように使われます。
「○○○○様 恵存」と署名がある本を古書展などでは良く見かけます。宛名が有名人だったりすると古書価は高く、私のような無名人宛だと、安くなる傾向があります。「謹呈」と印刷された短冊が挟まっていることもあります。謹呈紙に署名がある場合もあります。

以上を踏まえて、ご覧ください。




(中略)


これは笑えない話ですね。
坂本さんは「目の前が真っ暗になった気がした」とお書きになっていますが、それにめげずに「この上は再び、初版極美本を手に入れて、ご署名だけをしてもらうより仕方がないと思った。」
そう思うところが、真の愛書家と言われる所以なのでしょうね。









私のコレクション 気になる雑誌 「雨亭通信」

2014年05月01日 | 気になる雑誌





「雨亭通信」(昭和60年4月~昭和63年3月)は坂本一敏氏が晩年に発行した書物に関する私刊の小冊子で、10号まで発行されました。
「発刊のことば」として、坂本一敏さんは次のように書いています。



坂本さんにご厚誼をいただくようになったのは、その少し前だったように思います。

「雨亭通信」の発送名簿をワープロで管理し、宛名シールに印刷するようにしたのは第2号からで、封入とシール貼りを終えたものを郵便局に搬入するまでをお手伝いするようになりました。


裏表紙に雅印を押したのは第2号だけでした。私への謝辞は名前を消してあります。


雅印の拡大。



4号からは秋山勝保氏がご厚意で作成してくれた栞を挟み込むという作業が加わりました。両面に絵柄があるものもありました。 クリックすると大きな画像でご覧いただけます。

終刊となった10号に挟み込んだ栞は、かなり大きなものでした。


寄稿者はそうそうたるメンバーが顔を並べで、興味をそそられる内容がほとんどです。表紙に目次があるので並べてみます。























「雨亭通信」の発送作業日だか、巻末の古書目録への注文品の発送日に、友人を援軍として連れて行ったこともありました。お昼は九十九里海岸近くの蕎麦処で、ご馳走になるのが常でした。







私のコレクション 気になる雑誌 「書物展望」

2014年04月30日 | 気になる雑誌






雑誌の旧号を集めて、創刊号から揃えるまでに至ったことはありません。
次第に興味が薄れてきたり、面白味の少ない号が続いたりすると、興味が湧いた号だけ買えばいいやと思ったり、好きな作家の作品が掲載されている号だけでいいやと思い始めると、中途半端になっていきます。

新刊書店で出合って定期購読するようになり、さかのぼって創刊号から集め始めた雑誌に「季刊銀花」「版画藝術」「SFマガジン」などがありますが、どれも途中で集めるのを諦めてしまいました。

作品の初出誌を集めるというのも、星新一氏のように作品が多い作家は、とても集めきれないとすぐに挫折しました。ご本人に教えてもらわない限り、企業誌に書いたもの、匿名で書いたものまで、とても集めきれるものではありません。だからといって、著作だったら集められるだろうと思っても、市販されなかった著作もあるので意外にむずかしいのです。

そんな言い訳はさておいて、今日は数多く世に送り出されている「本に関する定期刊行物」について書いてみることにします。
書評が好きというわけではなく、今でいえば「本の雑誌」(本の雑誌社)のように「本の周辺の事」まで含めたものが好みなのです。
「本の雑誌」は手元に創刊号から揃っていました。2号から新刊書店で買っていましたが、創刊号はかなりたってから古本で買った覚えがあります。創刊号は500部しか作らなかったそうですから、限定本並ですね。どこかにまとめてあるはずなのですが、現物が行方不明なので、出てきたら画像を載せます。

以前、3号で終刊になった「書物と装釘」 (昭和5年5月~11月)を紹介しましたが、その流れから生まれたといっても良い「書物展望」(昭和6年7月創刊)を紹介します。手元にあるのは10冊ほどですが、中には表紙に蔵書票の現物が貼ってある号があります。

八木福次郎著『書痴斎藤昌三と書物展望社』(2006年1月 平凡社刊)によると、「書物と装釘」に執筆していた庄司浅水と斎藤昌三、東京堂の岩本和三郎、資本主として佐々木幸四郎、柳田泉の五氏で「書物展望」を創刊したものの、ひとりふたりと去り、5巻8号(昭和10年)からは齋藤昌三ひとりになったようです。


手元には表紙にオリジナル書票が貼ってあるものが2冊あり、古い方は第7巻第1号[通巻67号](昭和12年1月)。この年は丑年。貼付の書票は干支にちなんだもの。


編輯兼発行人は斎藤昌三、発行所は書物展望社となっています。
貼付の書票の作者は山内神斧、蔵書印は硯友社。

目次に名を連ねている三十数名の中で、名前を知っている方だけ挙げると、片山敏彦、土岐善麿、矢野峰人、小塚省治、恩地孝四郎、斎藤昌三ぐらいでした。タイトルで興味をひかれるものは「書物と印刷の話」「むかしばなし」「丑にちなむ蔵書票」「装本現在未来」「昭和拾一年度限定版顧望」「装釘界大観」「装釘匠の夢」。

現在では「装丁」「装幀」と表記されることがほとんどですが、この時代は「釘」の字が使われています。実際に釘を使って綴じていた時期があるために、この字が使われているようですが、使用例を年代で調べると面白そうです。
※ 手元にある「書物展望」の別の号の目次を見ると、昭和7年8月の第2巻第8号に「詩集の装幀」と題した長田恒雄の文章と「歌集の装幀」と題した熊谷武至の文章が載っていました。昭和18年3月の第13巻第3号[通巻141号] には木村荘八の「装幀異変」と題する一文が載っているので、「装釘」や「装幀」という使用する漢字は書き手(版元も)に委ねられていたと言えるのかもしれません。


表紙にオリジナル書票が貼ってあるもののもう1冊は、第12巻第5号[通巻131号](昭和17年5月)。


貼付の書票の作者は池田木一、蔵書印は山縣有朋。斎藤昌三の連載「続銀魚部隊(15)」に、上に出てきた小塚省治が亡くなったことが書かれています。小塚省治は日本蔵書票協会の会長で、40歳を超えたばかりでした。


その2冊より古い号で、蔵書票の特輯が組まれたものがあります。
第5巻第3号[通巻45号](昭和10年3月)。


オリジナル作品の貼付はありませんが、特輯記事は16本あって、壽岳文章、田中敬、斎藤昌三、織田一磨、恩地孝四郎、式場隆三郎、さとうよねじろう、中田一男、小塚省治などが蔵書票について語っています。









私のコレクション 気になる雑誌 「風報」

2014年03月16日 | 気になる雑誌





神保町の古本街を頻繁に歩き回っていた時期、いつも立ち寄る古書店には「風報」のバラが置いてありました。

書籍の場合は裏の見返しに値段が書いた店のシールが貼ってあり、雑誌の場合は裏表紙の左上に鉛筆で値段が書いてありました。

手元にあるのは通巻36、48、57、91、97、100号のバラで6冊。



36号には木山捷平「五十の手習」、48号には木山捷平「暗闇まつり」が掲載されています。




57号には庄野潤三「散髪の話」、91号には庄野潤三「豆腐屋さんのお父さん」が掲載されています。




97号には木山捷平「同人雑誌」、100号には井伏鱒二「盆踊」と庄野潤三「今年のムカデ」が掲載されています。


どれにも店主が書いた200、300あるいは500という値段が書いてあります。中には200の2を3に書き直したもの、300を消して500と書き直したものの、下には300と書いてあったことが分かるものなどいろいろあります。毎号24ページで、定価はいずれも30円。100号記念号だけは40ページです。

なぜ興味を持ったのかというと、100号以外の号には表紙にその号の執筆者の名前が書いてあり、その中に木山捷平、庄野潤三という私が好きな作家の名前があったからでした。店頭には他の号も置いてあったのでしょうが、執筆者を見て、選んで買っていたので、この6冊しかありません。


調べてみると、「風報」は1947年9月に尾崎一雄と尾崎士郎によって創刊され、創刊の前段階では坂口安吾が深くかかわっていたようです。


通巻100号は記念号でありながら、100号を以て休刊するという終刊号でもありました。
その目次。




昭和37年10月の終刊号に木山捷平の名前がないのは何故でしょう。その年は彼の代表作のひとつ『大陸の細道』(第13回芸術選奨文部大臣賞)を発表した年で、寄稿できたはずです。


















私のコレクション 気になる雑誌「書物と装釘」

2014年03月02日 | 気になる雑誌





年間6回、隔月発行を謳ってスタートした装釘同好會の会誌ですが、手元にあるのは創刊号~第3号(1930.5~1930.11)の3冊です。古書店の値札シールが残っていて、3冊で10000円だったようです。
創刊号の編集後記には、装釘同好會は昭和4年に発足し、翌昭和5年4月末に会誌の創刊号発行を目指していたものの、予定が遅れてしまったお詫びが掲載されています。
以後は隔月の15日に発行するという約束も、第2号は原稿の遅れで1ヵ月遅れの8月になり、第3号も原稿の遅れと会費滞納による資金不足で11月にずれ込み、同人誌によく見られる「3号雑誌」として幕を閉じたようです。

「書物と装釘」創刊號 昭和5年5月20日装釘同好會発行 400部限定 表紙と目次。




マーブルペーパーの記事があるのにひかれて購入したのか、




はたまた書票(エクスリブリス)の記事があったからか……


「書物と装釘」第二號 昭和5年8月20日装釘同好會発行 400部限定 表紙と目次。





「書物と装釘」第三號 昭和5年11月25日装釘同好會発行 400部限定 表紙と目次。




 手元にある3冊には同一記番があるので、同じ人が読んでいたんでしょう。



図書館で同誌を検索すると、ゆまに書房が発行した『文献・書物と装釘』(1993年7月15日)に創刊号から第3号までの複製が掲載されているようです。