最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

私のコレクション オーデュボン『アメリカの鳥』から(3) ケアシノスリ 

2013年11月19日 | オーデュボン





復刻版『アメリカの鳥』のシートは3枚しか持っていませんので、これが最後です。

描かれているケアシノスリは日本にも少数が飛来するのですが、まだお目にかかったことはありません。

以下の3枚は冬のフィールドでよく目にする、ごく普通のノスリです。






オーデュボンが描いたケアシノスリ。

日本に飛来するケアシノスリとはちょっと違うのかな?
部分拡大。





















私のコレクション オーデュボン『アメリカの鳥』から(2) アビ

2013年11月17日 | オーデュボン





日本の鳥類分類が昨年大きく変わりました。変更になる2012年以前の図鑑ではアビ類から始まっていました。世界には5種類いて、日本では4種類が見られるのだそうです。でも、4種類が飛来する場所は「海上」ということで、海に鳥見に行くことがほとんどないので、縁の無い種類だと思っていました。

それが今年の6月、内陸部の水路にアビ類の仲間のオオハムがいるのを見つけました。

それで急にアビ類に親しみを感じるようになったという訳です。
単純ですね。

オーデュボンが描いたアビ。この作品もタテ670×ヨコ1000ミリと大きな作品です。

左は冬羽、右の頸に赤褐色の部分があるのが夏羽。オシャレですね。

この作品も復刻版からの1枚です。(復刻版については、前記事を参照)

























私のコレクション オーデュボン『アメリカの鳥』から(1) サンカノゴイ

2013年11月14日 | オーデュボン






野鳥に少しでも関心がある人は「オーデュボン」という名前を一度は聞いたことがあると思います。
そのジョン・ジェームズ・オーデュボン(1785~1851)が1827年から1838年までに刊行した画集、『アメリカの鳥』(全4巻)がロンドンで開催されたオークションで、730万ポンド(約9億6000万円)の超高値で落札されたことは記憶に新しいことです。
この本はアメリカの鳥類が435枚の彩色銅版画でほぼ原寸で描かれているので、本自体が本の概念を超える大きさです。本を解体してシートで販売もされていますが、1枚で数十万円から1千万円を超えるものもあるそうです。

オーデュボンの生誕200年を記念して、復刻版の出版が企画されたのは、今から30年ほど前のこと。復刻版を出版するにあたり、オーデュボン鳥類学会所有の初版本(オーデュボンの手書きのタイトルページ入り)が原本として使われました。復刻本のデザインから原本の解体、修理、再製本を手掛けたのはケルスティン・ティニ・ミウラ女史でした。原本には6億5千万円の保険が掛けられ、日本に運ばれてきました。その原本を一旦バラバラに解体し、スキャナにかけて製版し、印刷、製本すると共に、原本を修理して元通りに再製本するという大変な作業でした。復刻版の見返しに使うためのマーブル紙約6000枚を作成するだけでも、1年かかったそうです。

当時、ティニ女史は日本にアトリエを構えて活動していて、幸いにもご交誼をいただいていたので、原本を実際に間近で見ることが出来ました。1986年6月に横浜高島屋で開かれた女史の新作展のパンフレットに、この復刻版を紹介している箇所がありました。
以下2枚の画像はパンフレットからの転載です。

「原本」を解体しているティニ女史。


印刷用紙は、共同企画のニューヨークのアヴェイル出版社とオーデュボン鳥類学会の透かし入りの特漉き中性紙(モホーク社製)を使い、最大色数18色を使用したオフセット印刷(凸版印刷㈱)で、製本は凸版製本㈱が担当。本冊4巻150部と解説書7巻は総革装で、本冊の無綴じも200部用意されました。総革装の1セットあたりに使用した革は大型豚革16頭分、その表紙に施された金箔押し作業は1セット当たり57回。当時の販売価格は510万円! 200部の無綴じがいくらだったかは不明です。女史の展覧会で何度も展示されたので、実物をご覧になった方もいらっしゃると思います。

これが復刻版のセットです。

510万円もするものを買えるわけがありませんから、私のコレクションは、その復刻版の無綴じの1枚です。

アメリカのサンカノゴイ。タテ670×横1000ミリの大きな作品です。



日本にいるサンカノゴイは、わずかな場所でしか繁殖しておらず、絶滅危惧種に指定されています。


今年の6月に千葉県で撮影したもの。




多少羽の模様の違いはあっても、日本で見られる野鳥がいいですね。次はアビを紹介しようと思っています。