最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

「日本的フォーヴィスムにあえる展」

2024年07月04日 | 展覧会

川地素崇氏企画の〈見て、触って、購入できる〉展示会のお知らせです。 ※但し、品物のお渡しは会期終了後です。

 

「日本的フォーヴィスムにあえる展」 入場は無料

2024年7月7日(日)~7月21日(日)13:00~19:00 

月・木は定休日

場所:弥生坂「緑の本棚」(文京区弥生2-17-12-1F)℡03-3868-3254

 

 

 

 

 

 


展覧会のご案内 没後15年 庄野潤三展

2024年06月21日 | 展覧会
若かりし頃に大きな影響を受けた作家のひとりに、作家 庄野潤三氏がいます。亡くなられてからもう15年が経ちます。

場所:神奈川近代文学館
会期:2024年6月8日(土)~ 8月4日(日)月曜日休館(ただし7/15は開館)


その図録(販売価 800円)

庄野潤三夫人の千寿子さんから長女の夏子さんに送られた沢山の手紙の中から130通を選んでまとめたもの。会場で販売中。
夏葉社 2024年6月10日刊 定価(本体)2200円
    ↑  この送り仮名って、「幸せ」では?


ちょっと遠いけど、これには行かなければ! ということで、行ってきました。片道たっぷり2時間で、やっぱり遠かったです。




私のコレクション 星製薬関連資料 星一氏の講話

2024年06月11日 | 星新一
オークションで入手した、ホシレコード「星チェーン大会に於ける星先生の講話」SP盤 2枚組(78回転)。昭和14年4月録音。


 レコードには講話の全部を文字に起こした印刷物が付いているので、講話の内容は分かるのですが、星一の肉声というものを、ぜひとも聞いてみたいと思ったのです。


 レコードを入手したものの、再生出来るプレーヤーを持っていないので、買ったものか、いや、レンタルという手もあるのでは? ――そこまで考えて、費用を調べてみると、78回転のSP盤を再生、デジタル化できる機材は1万円ほどで売っているようで、それをレンタルするとなると、身分証明などの手間がかかるうえに料金もそれなりに高いので、いっそのこと、プレーヤーを買った方が、数日のうちに返さなければならないという制約が無い方がいいかもと思いました。
 いや、待てよ。使うのは1回限りで、使い終わったらメルカリかオークションで売るとしても、発送するのも手間がかかるしなぁ……と、ぐずぐずしていました。

 レコードを入手してから数ヶ月が経ったある日、「音源をデジタル化してくれるところ」があるのではないかと検索してみたら、ちゃんとあるんですね。
主にレコードでしかない音楽をデジタル化するというサービス。いくつか見た中で、ここはどうかと問い合わせてみたら、大丈夫そうなのでお願いすることにしたのが3月の始めでした。
 通常で3か月ほどかかり、別料金で出来上がりを早めることも可能でしたが、通常仕上がりでお願いし、出来上がったCD2枚が今日届きました。


 
 90年も前の録音ですから、「ノイズの中で聞き取れるかどうか」だと思っていたら、驚くほどクリアーな音質でした。
 風貌から思い描いていた声とは、ちょっと違っていましたが、星一の肉声を聞くことが出来ました。




『祖父・小金井良精の記』(私家版)を収める特注の夫婦箱

2024年04月14日 | 星新一

完蒐まで最後の1冊となった私家版の『祖父・小金井良精の記』(前記事)。星新一さんが小金井家ゆかりの方々に配った時に、本がどういう姿をしていたか分かりません(エヌ氏の会主催の「星コン」で星さんご自身が提供してくださり、オークションにかけられたので、その姿を見ているはずですが、記憶がありません)が、「小金井氏家譜」という別冊もあり、2冊を一緒に保管したいので、一緒に収まる夫婦箱の製作を個人工房に依頼して、出来上がってきました。

「手製本が趣味」と言っていた時期(ウン十年前)だったら、自分で作成したのでしょうが、時の経過とともに、視力、気力の衰えで、自分で作るとなるとけっこうハードルが高いことを自覚して、依頼できるところをネットで探しました。

岡山県の工房が、希望に沿って製作していただけそうだったので、メールで問い合わせをし、何度か作成イメージの擦り合わせをした後、お願いすることに決めたのです。

完成品が届いたので、お披露目します。

 

本を収めると、このようになります。

 

 

一回り小さくて薄い別冊を、このように収めます。

 

夫婦箱の蓋を閉じると、厚さは7センチあります。

 

※この夫婦箱を製作した工房をお知りになりたい方は、コメント欄から、メールアドレス等のご連絡先をお知らせください(公開はされません)

 

 


星新一著作 完蒐

2024年03月02日 | 星新一

星新一さんの本の蒐集を始めたのは20歳の頃からですから、半世紀以上かかったことになります。最後の1冊となったのは、星さんが自ら発行元になって、小金井家ゆかりの方々だけに配った私家版の特製本『祖父・小金井良精の記』(市販本は河出書房新社から発行)です。

以下、入手までの経緯を、これまでに記事にした内容と重複する部分もありますが、整理してみます。

その本の存在を知ったのは、1978年7月に名古屋で開催された「第1回 星コン」と呼ばれるファンクラブの大会でした。その時に、星さんが大会運営費の足しにと、それまで存在すら知らなかった本を2冊提供してくれました。1冊は最初の創作作品集の『人造美人』(新潮社刊)の市販本をバックスキン装にした特製本(20部?)と、『祖父・小金井良精の記』の私家版特製本でした。オークションにかけられ2冊でしたが、『人造美人』は落札出来ましたが、『祖父・小金井良精の記』の方は、ライバルでもあった福岡在住のM氏に競り負けました。

その9年後の1987年の第9回「星コン」にも星さんが特製本『祖父・小金井良精の記』を提供してくださり、オークションにかけられたのですが、私は1985年の第8回大会を最後にファンクラブから手を引いたので、その会は欠席しました。福岡在住のM氏は、大会前夜に電話をくれて「またあの本がオークションにかけられるけど、代理で入札しようか」と言ってくれました。喉から手が出るほど欲しい本でしたが、意固地になっていたのだと思います。「出席しないと決めたのは、縁がなかったから」とM氏のご厚意を無下に断ってしまったのです。後から、「どこの馬の骨ともわからない人の手に、本が渡ってしまうのはまずい」と、自身2冊目となるこの本を落札したことを人づてに聞きました。

M氏は2019年2月に突然お亡くなりになったのですが、それまでの間、何度もお会いし、手紙や電話のやりとりもたくさんありました。でも、この本を話題にしたことは一度もありませんでした。頭を下げて「譲ってほしい」と一言いえば、快く譲ってくれるに違いないと思い続けているうちに突然、亡くなられてしまったのです。

そんな因縁だらけの本ですが、友人の名古屋在住の高井信氏が橋渡ししてくれたお蔭で手元に届いた本は、貼り函入り、貼り題箋、総革装、天金という仕上げになっていました。1974年の発行で、本体の表紙のモスグリーンの革は背の部分が残念ながら退色し、クロス貼りの函の布地はもっと鮮やかな青だったようで、こちらも退色しています。函のタイトルは貼り題箋で、函の背角に水濡れがあり、貼ってある題箋が浮いて波打っています。題箋の文字は金色だったと思われます。本体の各所に経年のシミや変色があり、総じて、あまり大切に扱われていなかったことが伺われ、ページをめくると、天金の部分がパリパリと音を立てるので、読まれもしなかったことがわかります。

 

奥付を見ると、著者/発行者が「星新一」個人名になっていて、河出書房新社が発行した市販本の発行日は1974年2月28日ですが、この本の発行日は3月30日と違っているので、市販本とは別の本として扱わなければなりません。星新一公式HPに掲載している「ホシヅル図書館」の全著作リストに、この1冊を新たに加えました。

 

この本を譲ってくれたO氏は、古書店で見つけて購入したそうですが、この本に本来付属しているはずの「小金井氏家譜」という家系図が載った冊子は、ついていなかったということです。

ところが、今回の譲渡話を橋渡ししてくれた高井信氏が、さかのぼること8年前の2016年5月に、「星さんの本が1冊だけが集まらない」という私の嘆きに同情してか、星さんから直接頂いたという、この「小金井氏家譜」をプレゼントしてくれていたのです。(ここで記事にしています) 


なんという縁でしょうか。

蛇足ですが、「完蒐」というのは、著作が世に出た時の姿(カバー、函、帯などが付属している)で、全部の単独著作を蒐集出来た時に使用する言葉ですので、かなり難度の高いものです。星新一を集め始めてから50数年、この本が刊行されてから50年、この本の存在を知ってから37年。それだけの歳月が流れたところで、私の手元に届いた1冊なのです。

 

 

 



展覧会 神沢利子さんおめでとう100歳展 ~終了~

2023年12月14日 | 展覧会

神沢利子さんおめでとう100歳展~終了しました~

めでたく100歳をお迎えになる神沢利子さんをお祝いして、地元の三鷹市で展覧会が開かれます。

会期は2024年1月18日~2月4日です。

三鷹市立図書館のHP https://www.library.mitaka.tokyo.jp/contents?3&pid=1857

 

過去記事 「くまの子ウーフ」

 初版本

 

三鷹市芸術文化センターで開催されていた「北と星といのちと ~同じうたをうたい続けて~ 」(会期:2024年1月18日~2月4日)は、好評裡に終了しました。

 

 


訃報 甲斐信枝さん

2023年12月09日 | 絵本

ここで紹介したことがある絵本画家の甲斐信枝さんが、11月30日にお亡くなりになりました。享年93歳でした。ご冥福をお祈りします。

 

2016年11月23日にNHKで放映された「足元の小宇宙」が、追悼番組で再放送されるといいですが。

DVDになっています。

 


私のコレクション 『詩世紀詩集』特製本

2023年11月13日 | 赤江瀑

赤江瀑が、本名の長谷川敬の名前で発表していた詩が収録されている本です。

『詩世紀詩集1955年版』 昭和30年8月15日/詩世紀の會発行/あかね書房発売/定価350円 本書は「300部限定版」とあります。この本は前に紹介しましたが、移転する前の記事で画像が表示されないので、表紙と奥付ページを載せます。

https://blog.goo.ne.jp/saisyukai-bunko/e/56c2b539658ab110cf623de7acba7100

 

 

 

それが、全く同じ装幀で定価が700円の「特製本」と奥付表記したものがこちらです。

その奥付。

 

特製本の定価が加わっているだけで、他は全く同じです。

(「特製本には箱があった」という情報もありますが、未確認です)

 

「詩世紀」56号(昭和30年9月1日発行)39ページに、編輯兼発行人の服部嘉香氏が書いた「閃光録」に、『詩世紀詩集1955年版』発行時の顛末が書かれています。発売が「あかね書房」になった訳などが書かれていますが、書誌的な詳しいことには触れられていません。

 

 

 

 

 

 


星新一作品 初出誌

2023年09月15日 | 星新一

新潮文庫『つぎはぎプラネット』(2013年9月刊)所収の作品「未来都市」

その初出は「四年生の学習」(学習研究社 昭和36年1月号付録「世年始のお正月図書館」)でした。

 

表紙

 

 

目次

 

 

掲載ページ冒頭部分

 

 

奥付

 

 

未収録作品を1冊の文庫本にまとめてから、もう10年が経つんですね。

 

 


星新一原作「宇宙船シリカ」 放送台本別バージョン

2023年07月17日 | 星新一

放送台本というものが「最終稿」になるまでに、どのくらい書き直されるのか分かりませんが、前回紹介した星新一原作「宇宙船シリカ」の初回放送分の台本(わら半紙にガリ版印刷されたもの。ここでは「オリジナル台本」と呼びます)には、別のバージョンがありました。

星新一公式HPの「ホシヅル図書館」のデータを改訂増補するのに資料を探していたら、

ここでの過去記事、「星新一の大コレクター 巨星落つ」でお伝えした、2019年2月に亡くなった、大先輩の星新一コレクターから送っていただいたコピーが出てきました。30回分放送までのコピーで、初回放送分を両方比べると、その表紙からして違っています。記載された事柄から判断して、後から印刷されたものだということが分かります(ここでは「コピー台本」と呼びます)。

 

ウィキペディアで「宇宙船シリカ」を調べると、年度別の「放送リスト」が出てきます。放送開始の1960年度を見ると、1回目のタイトルは「宇宙基地」、2回目が「不思議な金属」になっています。

オリジナル台本の表紙には「宇宙船シリカ」とあるだけで、初回放送分のタイトルの記載はなく、コピー台本の表紙には「№1 不思議な金属」となっています。

台本に記載されたスケジュールも、オリジナル台本(左)では「7月25日第一稿上り(印刷)」から始まりますが、コピー台本(右)は「8月18日22:30~25:30 セリフ録音 人形と音合わせ」から始まっています。

 

このことで、放送台本には「最終稿」にたどりつくまでに、いくつかの段階があることが分かります。

 

しかし、ここで疑問が———。

どちらの台本も2回目の放送分が抜けているのです。

ここからは推理にすぎませんが、コピー台本が印刷されたあと、「最終稿」の台本に至るまでの検討を重ねていく過程で出された、「導入部が唐突なので、宇宙船シリカが置かれている状況説明を初回に入れた方がいいのでは?」という意見に従い、「宇宙基地」を初回放送にして、当初予定していた1回目放送予定の「不思議な金属」を2回目に回したので、どちらの台本も2回目の放送分が抜けている——この推理は的外れではない気がします。