最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

【ご案内】 限定特別復刊 星一 著『三十年後』 購入方法など 

2015年09月08日 | 限定本



(前記事と内容が重複する部分が多かったので、一緒にして前記事は削除しました)


何度かここでお知らせをしてきた星一『三十年後』(限定特別復刊)が、手元に届きました(^o^)

定価は本体1001円(税別)、作成部数は限定3000部(重版予定はありません)、判型は新書判、頁数は160ページです。


     帯がついた表紙。カバーイラスト:YOUCHAN (トゴル・カンパニー)
     

カバーを外して並べました。表紙は元版のモノクロ画像になっています。元版の姿は  →こちら  をご覧ください。


裏表紙もカバーを外して並べました。


     背。
     


     奥付。
     

ネットおよび新潮社での販売取扱は終了しました。
現在、一部の書店でのみ販売していて、在庫が無くなり次第、販売終了になります。


読売新聞2015年9月15日朝刊「記者ノート」で紹介されました。



私のコレクション 『日本の書物』庄司浅水著 限定版

2014年08月05日 | 限定本





著者の庄司浅水という名前は、子どもの頃からなじみがありました。というのも、小学生の時に友だちの家に遊びに行くと、近くに「庄司浅水」という表札がかかったお宅があったのです。そのときは変な名前だと思ったので、特に印象に残っているのです。

今から思うと、家の近くには『肉体の門』で知られる作家の田村泰次郎やシャンソン歌手の石井好子の家があり、小学校高学年の時にはちょっと離れた、自転車で遊びに行く公園の池のほとりに、有名歌手の家が建ち、話題になったことがありました。東京の杉並区での話です。


『日本の書物』庄司浅水著 美術出版社 1978年6月刊には市販本の他に限定本(限定部数225部)があります。


総革装の表紙。
画像では、デザインが飛び出しているように見えますが、実際は金箔押しで窪んでいます。



デザインはケルスティン・ティニ・ミウラ女史で、見返しマーブル、総革装、天金、函帙に収められています。


函帙。表紙と同じデザインの空押し。



マーブルの見返し。



識語署名のページ。



「225部のうち200部に1~200の番号を入れ、25部は「非売」としてⅠ~XXVの番外数字を記入した」とあります。


当時はおそらく予約満席で手に入らなくて残念がった人もいたのでしょうが、

刊行から36年経った今、調べてみると、当時の販売価の半額以下で入手できるようです。








私のコレクション 1枚の書票をめぐって

2012年10月14日 | 限定本





「書票」というのは、「蔵書票」もしくは「書票」と呼ばれることが多くなっている「自分の本」ということをあらわしている紙片のことを言います。日本では「蔵書印」を押すほうが一般的かもしれません。ラテン語の「Ex-Liblis」や、英語の「Bookplate」と表記されることもあります。

このブログでも、前に深沢幸雄氏や水谷昇雅(昇昌)氏の書票作品を紹介していますが、書票(ここでは、そう呼ぶことにします)や、それを集めた書票集もコレクションの対象にしていました。「していました」と過去形なのは、このところ書票の制作依頼もせず、コレクター同士ので交換もせず、書票の全国大会にも参加せず、書票集もほとんど買っていないからです。

自分のコレクションの中で、書票関係のもので一番古い日本のものは……と探していたら、こんな雑誌が出てきました。(「一番古い」かどうかは、まだわかりませんが……。)

「愛書趣味」第5号(大正15年5月25日発行)


表紙に書票が貼り込んであります。編輯兼発行者は齋藤昌三。持っているのは、この1冊だけで、前後の号はありません。
巻末近くに「表紙のエキス、リブリスは、夢二氏の『三味線草』から採った」と説明があります。

「採った」というのは、どういう意味なのでしょう。「夢二」というのは、あの竹久夢二のことでしょうが、その著書に『三味線草』というのがあるようなので、その中にこの絵があり、それを模刻したということ? それとも、竹久夢二本人の作品? どちらなのでしょう。

それは識者にお尋ねすればすぐにわかるのでしょうが、この書票、別のところで見たことがあると思って、関係ありそうな本を探してみました。
そうしたら、『日本の古蔵票』(齋藤昌三著 昭和21年9月20日 書物展望社刊 限定300部 造本:内藤政勝)の中にありました。この本の古書価はけっこうするのに、なぜか手元に2冊あるのですが、どちらも函がありません(^_^;) そのうちの1冊は誂えた帙入りです。本文は陸前白石産和紙に印刷され、書票というものの歴史を詳解しています。

その表紙。表紙だけ『日本古蔵票』と「の」が漢字になっています。標題紙も奥付も『日本古蔵票』です。


著者、齋藤昌三氏(少雨荘)の署名ページ。


巻末に「現代票を拾ふ」というページがあり、古いものは墨1色で色彩が乏しいので、色彩豊かな昭和の時代に作られたものも紹介しておくと、実物が数葉貼り込んであります。


その奥付。



いや、これだけではなかったような気がして、さらに書棚を探すと……ありました。
"BOOK PLATES IN JAPAN"(昭和26年3月15日 青燈社刊 限定70部)の表紙に実物が貼り付けてありました。この簡単な造りの本には、書票の実物が17葉貼り込んであります。

その表紙。


その奥付。


奥付部分だけを拡大。


ちょっと調べてみました。
竹久夢二(没年は昭和9[1934]年)著の小曲絵本『三味線草』は、大正4(1915)年に新潮社から出版されていて、木版が7葉入っているので、初版に限らず古書価はけっこうします。木版の画像を探したところ、あるお店が7葉すべての画像を載せていました。その中にこの書票と同じものがありました。ただ、提供されている画像が小さいので、まったく同じものなのか、それを模刻したものなのかまでは判断が付きません。
『三味線草』の刊行から四半世紀を経て(大正15年発行の「愛書趣味」5号より前にも実物が貼ってあるものがあるかもしれませんが)実物を貼るということは、大量に刷ってあったと考えるよりは、版木がきちんと保存されていて、昭和の時代に刷り増ししたと考える方が妥当かもしれません。

たったこれだけのことを書こうとするだけで、いかに自分の書票の知識が浅薄で、断片的だということがわかりました(^_^;)



【10/17追記】
夢二の『三味線草』はノーベル書房から復刻版が出ているのがわかって、元版は高価で手が出ないので、安価な復刻版を手に入れてみました。
その本で確認すると、この書票と同じ挿絵がありました。ところが、細かな点で差異がありました。
女性の指が違っていたり、女性の髪と背景に輪郭線があったり……

このノーベル書房版の奥付はこんなふうになっています。

昭和 五十 年十二月十二日 印刷
昭和五十一年十一月 一 日 発行

これはどう考えてもおかしいです。印刷してから1年ほど寝かしてあった計算になります。
この本、正確な意味での復刻版ではないようで、挿絵を比べるのも意味がなかった気がします。



















私のコレクション 谷川俊太郎 限定版

2012年10月01日 | 限定本





限定部数は記載されていませんが、稀少部数ではないようです。

表紙。市販本と同じですが、表紙、本文用紙とも石州和紙を使っています。


奥付。活字を使わずに、挿絵・本文と同じ瀬川康男さんの手書きです。

(無理に開けないので、スキャナーにかけられません。撮影なので多少歪んでいます)

初めから署名が入っているわけではなく、新刊書店で谷川俊太郎さんのサイン会の時にいただいたご署名。




私のコレクション 庄野潤三『旅人の喜び』(限定500部)

2011年11月20日 | 限定本





庄野潤三『旅人の喜び』の市販本はソフトカバーのペーパーバック版ですが、別にハードカバー函入りの限定500部本があります。

函。グラシンをかけたままなので、ボケています(^_^;)


口絵ページは著者近影。そこにペンの署名があります。

せっかくの限定本なのに、署名ページがこれでは、ちょっと残念です。

奥付ページ。ピンボケでした。


社会人になりたての頃、神保町の古書店の店主が座る背の書棚にあるのを見つけて値段を聞くと、眼ン球が飛び出るほどの値段でした。
最初のボーナスをもらったときに買いに行くと、少しおまけしてくれました(^o^)

……それが今となっては、半値ほどになっています(T_T)
 
この本、帯の背がヤケているものが多く、極美本は少ないです。




私のコレクション 神沢利子『林檎の木のうた』(私家版 限定44部)

2011年11月18日 | 限定本






詩・神沢利子、絵・大島哲以『林檎の木のうた』には童心社刊の市販本(1979年)のほかに、総革装の私家版があります。


表紙はシンプル。


奥付。中身は市販本と同じです。


見返しに、おふたりの署名が入っています。大島哲以さんは1999年に亡くなられているので、今となっては貴重。


私家版であることを示す紙片が貼られています。


神沢利子さんとお会いしていた時、亡くなられたお母様の遺稿句集をまとめたいという話で、それなら一緒に作ろうということになりました。
それから材料をそろえてお宅に何度か通い、和装本の作り方を指南して、お嬢さんと3人で仕上げました。
この本は、そのお礼にいただいた、思い出深いものです。


その遺稿句集『朴の木抄』も紹介しておきます。
何部作製したのだったか……。三人で手に余るほどの部数ではなかったと思います。
左は手漉き和紙の筒状のケース。


ケースの題簽は神沢利子さんの自筆。


お母様がお召しになっていた着物を裏打ちして表紙にしました。四つ目綴じ。
題簽は神沢利子さんの自筆です。


奥付。手描きの朴の葉を貼りつけたのは、神沢さんのアイディア。(一部修正しています)


指南したのは製本だけで、ほかは神沢さんのセンスとアイディアです。
清楚な仕上がりになっています。