最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

オークションに出品される署名入り本

2018年07月04日 | 署名本





ネット・オークションには結構な数の「署名入り本」のが出品されています。好きな作家でしたら、その肉筆署名が入っていれば、とてもありがたいと思うものですが、その気持ちに付け込んだニセモノが横行しています。

アイドルの偽サインも多いようですが、署名があるだけで、ふつうの初版本の数倍の値が付くわけですから、ボロイ儲けになるとでも思うのでしょう。署名入り本ばかりを出品している何人かの中には、署名を偽造したものが多数含まれているケースがあります。

専門家ではありませんが、署名本を多く見てきていると、明らかにニセモノであることがわかるものがあります。三島由紀夫、川端康成、安部公房、開高健、村上春樹、庄野潤三、星新一……。特に好きな最後に名を挙げたの二人の作家のものは、一目でニセモノとわかります。こんな字は書かないと。

こんな例が実際にありました。先日終了した川端康成氏の署名入り本。この本は落札されましたが、奥付を見れば明らかですが、川端さんが亡くなった後に出版されたもの。出品した人はどうやって天国まで川端さんに署名を貰いに行ったのでしょう。


私のコレクション 種村季弘著 『晴浴雨浴日記』 署名本

2014年11月20日 | 署名本





種村季弘さんの著書『晴浴雨浴日記』の装幀は井上洋介さん。




遡ることン十年、編集部に異動して最初の仕事は、前任者からの引継ぎで絵本を形にするものでした。すでに文と絵は依頼済みでしたが、どちらもまだ仕上がってはいませんでした。文は詩人の谷川俊太郎さん、絵は門司港にお住いの川原田徹さんでした。
谷川さんの肉筆原稿がいただけると楽しみにしていたら、谷川さんは早々とワープロを導入なさっていて、プリントアウトしたものがファクスで送られてきたのには、ちょっとガッカリした思いをしました。

テキストと絵が出来あがり、それを絵本の形にしようとした時、1枚の絵を見開きにするとノドにかかる部分の絵がどうしても見えにくくなります。そこで考えたのが合紙製本という製本方式でした。手製本を趣味にしていたので、子どもが描いた絵を1冊の本に製本するような場合、中表に半分に折ったものの裏側同士を糊付けして本に仕立てるというやり方がありました。そうすることで真ん中に折り目は付くものの、ページが全開できるのです。
その製本方式で見積もりを取ってもらい、会社からなんとかOKをもらうことが出来ました。

刊行後、制作課の担当者に、合紙製本は糊入れが手作業で手間がかかることおびただしいので、重版は勘弁してほしいと言われました。それが『かぼちゃごよみ』でした。重版はしましたが2刷どまりで、長いこと「品切れ・重版未定」という状態が続いていました。
昨年4月に復刊ドットコムで再刊され、現在も入手可能です。




『かぼちゃごよみ』が刊行された時に「打ち上げ」を青山のかぼちゃ料理のお店で開いたのですが、谷川さんは戦時中の食糧難の時のかぼちゃの思い出があって、あまりお好きではなかったようでした。

この本が小学館絵画賞を受賞し、1991年11月14日、横浜中華街でお祝いの会を開きました。その時に川原田さんのご友人の種村季弘さんも招待したのです。種村さんとはそれまで面識はありませんでしたが、手元にあった、この『晴浴雨浴日記』にご署名をいただきました。

井上洋介さんには、一緒に下町歩きをした時にご署名をいただき、おふたりの署名が向かい合う形で、イラストもいれていただきました。















私のコレクション 木山捷平 『石垣の花』(署名入り)

2012年03月21日 | 署名本





全著作の収集を目指した作家には何人かいますが、完蒐に至ったのは「第三の新人」といわれる作家のひとり、庄野潤三だけです。
井伏鱒二のように著作が多いと、最初から無理だと諦めてしまうところもありました。

井伏鱒二や庄野潤三とも交流があった木山捷平という作家をご存知でしょうか。生誕の地、笠岡市が木山捷平文学賞を設けています。
戦前の作品は数は少ないとはいえ、残存数が少ないために、手に入れるのはかなりむずかしいのです。ですから、途中で戦前の作品を手に入れるのは諦めて、戦後の作品だけを蒐めてきました。そんなにむずかしくはないのですが、すぐにゾッキ本になってしまったものもあり、きれいな状態のものを手に入れるのにはむずかしさがあります。



本自体はよくありますが、帯が付いているものは少ないです。
この本は神保町の某有名店で入手しました。ふつうの初版本の値段でした。

ところが、この本は献呈署名入りでした。


良く見えないと思うので、署名部分だけを拡大します。


この本には、こんな8ページの折込が挟み込まれています。


この折込は表紙と見返しの間に挟まれていて、本を開いたときに折込で署名部分がちょうど隠れてしまうので、古書店主も気づかなかったようです。
そんなこともあるんですね(^o^)






私のコレクション 井上洋介(5) 『乙女風景』

2011年10月01日 | 署名本





井上洋介版画集『乙女風景』。版元は村松書館。昭和53年2月10日初版発行。

 箱入り本。


 これは表紙。 


 この本は、すべてにオリジナルのゴム版画が一葉入っています。対向ページにサインをいただきました。


 サインページを大きく。


帯には、こんなふうに書いてあります。
「井上洋介初の画き下ろし連作版画集。収録作品数41点。オリジナル版画1点を口絵として添付
(3種類のうちの1点、本によって版画は異なる)。井上洋介の世界が版画のなかで圧倒的に展開する。跋文は草森紳一「版画の〈自由〉」


 所蔵は2冊。違う絵柄の版画が入っていました。


 サインは版画挿入ページの折り返し部分にいただきました。




私のコレクション 井上洋介(3) 『井上洋介漫画集ナンセンス展』

2011年09月28日 | 署名本





『井上洋介漫画集ナンセンス展』刊行は1966年、思潮社から。45年も前ですから、本文用紙もかなりヤケてしまっています。

 その表紙。




 その目次。




 見返しページに、見開きにわたってサインをいただきました。


定価900円は、当時としては高めの設定だったようです。




私のコレクション 井上洋介(1) 『サドの卵』(私家版)

2011年09月26日 | 署名本





絵本作家、イラストレーターとして、ユニークな活動を続けている井上洋介さんの漫画集『サドの卵』(1963年)私家版。

 その表紙。


 その奥付。


 表紙の折り返し部分に、サインをいただきました。     


内容に合わせたサインをしてくださいます。
これから後、いくつかの作品を紹介していきますので、その実際をお確かめください。