最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

庄野潤三の書簡 

2021年10月09日 | コレクション

作家の没後、生原稿だけでなく、手紙や葉書が古書店やオークションに出品されることがあります。

もう手に入ることのない、心酔していた作家の肉筆を、手元に置きたいと思ってしまいます。

自分とは無関係の内容であっても、です。

 

作家 庄野潤三が某画家に宛てた、著書をいただいた礼状(便箋3枚)です。

差し障りのある部分は、画像を消してあります。

 

 

消印は昭和56年2月20日です。

 

 

 


私のコレクション 気になる雑誌 「愛書家手帳」1~13号

2018年05月03日 | コレクション





「愛書家手帳」1~13号 古書店だったか古書展でまとめて購入したもの。
「愛書家くらぶ」や「本の虫」を刊行してきた斎藤夜居が、昭和51年8月~昭和55年3月にかけて発行した「書物愛好家趣味雑誌」で、合併号があるため、全部では12冊。愛書家くらぶ発行 限定350部 12冊すべて若い同一番号。
現在の古書相場は1万円以下で全冊揃いが入手できるようです。



  創刊号~第3号。



  終刊号。



  表紙にオリジナルの銅版の書票を貼り込んだ5号。


簡易製本なので、傷まないようにクロスの貼り函を作り、帙(裏貼りはティニ・ミウラ作のマーブルペーパー)も作り、見た目、1冊の本のように仕立てて保管しています。






  貼り函の背。タイトルはトレースした手書きです。
       





寄贈本 『Anonym〈匿名者〉』 山下寅彦写真集

2016年09月18日 | コレクション







『Anonym〈匿名者〉1971』
彩流社 2016年8月31日発行 A4判 80ページ 定価3500円+税

彩流社のHPは → こちら  購入方法の案内もあります。 


本書は1971年4月20日に羽田をたち、パリ、ジュネーブ、ボローニャ、ローマ、メッツ、アントワープ、ブリュッセル、アムステルダム、ミュンヘン、パリ、レーヌ、パリ、アムステルダム、ロッテルダムと巡り、8月23日に羽田に帰着する間に撮影されたモノクロ写真を集めた作品集です。
略歴から計算すると、著者が30歳の時です。それぞれの場所で切り取った、山下さんの心に響いた「瞬間」なのだと思います。
1972年に銀座のニコンサロンで開いた「アノニム アノニム」展で発表した作品のオリジナルプリントをベースに構成されているそうです。
本書は山下寅彦さんの奥様から送っていただきました。


*****     *****     *****     ***** 

本書の著者、山下寅彦さんは2012年2月24日に亡くなられました。1941年生まれですから、71歳になったかという若さでした。
2012年の5月に、「星新一公式HPに駄文が載りました」という知人・友人にあてた一斉メールを軽いノリで送信した返信として、奥様からお知らせをいただき、愕然としました。

山下寅彦さんと一緒に仕事をしたのは、1989年後半から1999年前半までの、ほぼ10年間でした。
全5巻で一応の完結を見たシリーズ本の編集に携わっていた時、お願いしていた写真家が1巻目の刊行後、突然違う仕事を始めることになり、代わりにと紹介してくれたのが、山下さんでした。

ほぼ四半世紀、編集の仕事をしましたが、その半分以上はその全5巻のシリーズの準備と編集作業に費やすほどの時間がかかった企画でした。膨大な量にのぼる図版を用意するのが私の主な仕事で、美術品などの所蔵先から掲載許可を取り、写真の借用依頼を出す一方で、自前で用意する写真の撮影を山下さんにお願いしていました。
しかし、撮影があまりに多岐にわたるのと、細部へのこだわりを求める写真が多く、空けていただく時間の調整と指示の複雑さに手間取るのと、お支払いする報酬が、割いていただいた時間に見合うものにならないことから、自分でも撮影するようになりました。写真の原板借用や大学図書館等での撮影に出張した先で、足を伸ばして取材・撮影し、その中から実際に見開きページに使われた時の嬉しさは今も心に残っています。

山下さんとの最初に出張したのは、1990年夏(たぶん)に四国の四万十川流域の取材撮影だったと思います。
高松空港でレンタカーを借りて、1週間、四万十川とその支流沿いをあちこちを走り回りました。その時に撮影した膨大な量の中から、2巻目の巻頭として重要な意味を持つものが選ばれました。
別の巻で和歌山・熊野を取材地に選んだときは、マイカーの4駆をフェリーで串本港まで運び、ご一緒していただきました。
私は揺れる船が苦手なので、帰りは絶対陸路と決めていがましたが、熊野ではイメージ通りのものがどうしても撮れず、悩み悩んで取材場所を大台ケ原にまで広げ、疲れ果てて帰りも結局、フェリーでした。このときは編集長のお眼鏡にかなう巻頭の重要な1枚というのが撮れず、結局別の場所で撮ったものと合わせて構成しました。

――― 当時はデジタルではなくフィルム式のカメラで、バッグに交換レンズを何本も詰め込んでいて、構図を決めたらレンズを選び、露出とシャッタースピードを設定して撮影するというスタイルでした。出張中に少しは助手のような働きをしなければと思っても、大切なレンズが詰まったカメラバッグを持たせてくれることはありませんでした。

今この歳になって、野鳥や昆虫撮影に夢中になっているのは、その時の山下さんのカメラマン・スピリッツを肌で感じたからかもしれません。あの時に撮影技術についてのレクチャーを少しでも受けていたら、もう少しマシな写真が撮れるようになっていたのではと悔やまれます。


☆☆☆ 山下寅彦さんが撮影したネコの写真に、猫好きアナウンサーの渡辺真理さんが詩文を寄せたポストカード・カレンダーも発売中です ☆☆☆
「低血圧なネコ カレンダー 2017 年 」山下寅彦 × 渡辺真理  ← AMAZON


星新一の著作をコレクションする(14) 最終回 付:変更点のまとめ

2016年05月25日 | コレクション





次から次へとぽろがぽろと出てきて、キリがなくなってきた感がありますが……。

これで最後にすると公言した手前、追加は文末にまとめ、そこから元記事にリンク出来るようにします。



『きまぐれロボット』日本標準 あおぞら文庫4-3(中学年向き)
発行年月日の表示なし 150円
 


角川文庫『きまぐれロボット』より、「きまぐれロボット」「火の用心」「ネコ」の3編を収録した副読本。 



この表紙デザインのものはビニールケースに入った「あおぞら文庫」(中学年向き)セットの中の1冊で、発行年月は不明です。




紙製のセット函に入った、こちらの方が古いと思われるもの。
紙製の函。表示は「あおぞら文庫」になっています。


表紙デザインは上のものとは少し違っていて、漢字で「青空文庫」と表示されています。
4年-№2 学校納入定価100円。






本ではありませんが『作家 自作を語るというCDブックがありました。
『CD-ROM版 作家自作を語る一』新潮社 1998年3月30日発行 2500円(税別)




ウラ面。星さんは『たくさんのタブー』について語っています(赤丸印部分)。


動作環境は Windows95 です。




『やっかいな関係』青龍社 1991年6月20日発行 2400円








単独著作ではないので、今回の記事の趣旨から外れますが……。
作品が収録されているアンソロジーの中で、コレクションに苦戦した1冊。

『あたらしい日本の童話 4年生』実業之日本社 昭和42年7月15日発行 350円




ウラ表紙。収録作品は「ネコ」。





『おーい でてこーい』講談社青い鳥文庫 2001年3月15日発行 620円(税別)
この本にはSLシリーズのハードカバー版があります。(SLとはSchool Libraryの略)
所蔵本は2007年7月31日発行 3刷 1000円(税別)



右が市販本、左がSLシリーズ版。


『きまぐれ星のメモ』角川文庫 昭和46年5月30日発行 260円
この本にはハードカバー版があります。
所蔵本は昭和50年10月20日発行 15刷 定価記載なし



右が市販本、左がハードカバー版。



同じ角川文庫には『きまぐれロボット』のハードカバー版もあります。
所蔵本は昭和54年5月30日発行 39刷 定価記載なし


ミリオンセラーを記念して著者にプレゼントされた総革装本は、前にも紹介しているので、表紙見開きの画像を載せます。



所蔵本は昭和57年9月30日発行 51刷で、1983年10月1日に星さんの署名をいただいています。





『月の光』ギャラリー・イヴ 2007年6月1日発行 限定1000部 
限定番号記載あり 3500円






最後は星新一ファンクラブ「エヌ氏の会」の特製本を、画像を追加して再録します。
星新一さんを囲む会(星コン)の参加者に配ったものです。

市販の文庫本『気まぐれ体験紀行』をハードカバーにしたもの。星さんの署名・落款入り。
過去記事で紹介済みですが、何種類かある表紙を並べます。前に紹介した1種と合わせると、4種類になるのかな? 記憶がちょっとアヤシイです(-_-;) 
函を作る時間的余裕はなかったので、パラフィン紙を巻いただけでした。










市販本の『凶夢など30』をハードカバーにして、函に収めたもの。星さんの署名・落款入り。
過去記事で、ほとんどを紹介済みです。この本も、紺と白の2種類のクロスを使用したことを思い出しました。




本の背と函の背。箔押しに用いる「凶」というベントン活字が無かったので、本の背の箔押しは「星新一氏健筆25周年記念」にしました。(鉛活字で箔押しをすると、熱と圧力で次第に活字がつぶれてしまうのです)函は手作りの貼函で、背文字は写植を使用。

          



特別付録として、銅版画家の深沢幸雄氏に依頼し特別に作っていただいた星新一書票(蔵書票)が挟みこんであります。



(深沢氏に作成していただいた書票を1冊にまとめたものを前に紹介しました。 →こちら 



お遊びで作った売上カード。ISBNコード部分は星コン開催日にしてあります。

          



執筆開始から25年という節目の年の星コンだったので、気合を入れて作りました。

星コンの参加者全員にエヌ氏の会特製本を配ったのは、この2回だけでした。




ショートショート1001篇達成後の星コンでは、早川書房の世界SF全集の『作品100』を解体して綴じ直し、お遊びで3部だけ作った『作品千分の百』なんていうのもありました。



元本は↓。 手元に1冊しかないのは、この時に3冊バラしてしまったからですね。






最後だったらと、あれもこれもになり雑然とした内容になってしまいました。
目配りが出来ずにモレているものがあるかもしれません。お気づきの点がございましたら、コメント欄でご指摘ください。
随時、追加、加筆、訂正をしていきます。
 

【5/27 追記 変更点をまとめておきます】
※「星新一の本をコレクションする(1)」で紹介した『人造美人』に、その初版ウラ、10刷のオモテとウラの画像を追加しました。
※「星新一の本をコレクションする(6)」で紹介した『夢魔の標的』の「初版と紛らわしい奥付の後版」について、発行年の訂正と画像の追加をしました。
※「星新一の本をコレクションする(12)」で紹介した『星新一作品集』の署名部分の画像を4枚追加しました。
※「星新一の本をコレクションする(12)」に「小金井氏家譜」の画像を追加しました。


※これまでに紹介したもので、ここにまとめておいた方が良いものを、以下に挙げておきますのでご参照ください。

※『人造美人』特装本 
※紙芝居「あーん あーん」
※私家版『花とひみつ』は記事が2つありました。こちら と こちら 





 
 


星新一の著作をコレクションする(13) 拾遺その2

2016年05月24日 | コレクション




12回の記事で漏れたものを並べておきます。順不同です。


新潮社 新潮 pico文庫 平成8年3月15日発行 150円


この本のように販売期間が短く、発売されたときに買っておかないと手に入らなくなるものもあります。




『おのぞみの結末』いんなあとりっぷ社 昭和50年2月15日発行 530円
 この本には色違いの帯があります。

黒帯




青帯


青帯の方が数が少ないように思います。




翻訳絵本『トマニ式の生き方』(文)クリスチーネ・ネストリンガー/(絵)ヘルメ・ハイネ
 エイプリル出版 1978(昭和53)年10月20日発行 980円

アクリルカバーが付いています。



ウラ表紙。「訳者のことば」はアクリルカバーに印刷してあります。



アクリルカバーを外すと、ウラは白です。




絵本を紹介したついでに、
フレーベル館発行『はなとひみつ』も紹介しておかないといけないですね。

①キンダーおはなしえほん 昭和53(1978)年3月1日発行 団体購読価格200円 ソフトカバー版




②キンダーおはなしえほん傑作選46 1979年10月発行 700円 ジャケット付ハードカバー版




③キンダー名作選 1989年3月1日発行 団体購読価格250円 ソフトカバー版




④おはなしえほんベストセレクション 2001年1月1日発行 330円 ソフトカバー版




⑤おはなしえほんシリーズ17 2009年4月発行 1200円+税 ジャケット付ハードカバー版




翻訳つながりで、 
『フレドリック・ブラウン傑作集』サンリオ文庫 1982年2月15日発行 580円

ウラ表紙にある著者紹介文が2刷から変更になっているのだそうです。折々、コメントをいただく高井信さんからの情報です。→ こちらをご覧ください




英訳の「おーい でてこーい」が掲載された
 "FANTASY and SCIENCE FICTION" 1978年11月号 $1.25

"HE-Y COME ON OU-T!"というタイトルになっています。



英文つながりで、
"THE SPITEFUL PLANET AND DTHER STORIES" The Japan Times,Ltd. 1978年3月 1300円
30編のショートショートが収録されています。




そういえば……ハードカバーで発売されたものが、途中でソフトカバーに変更されたものがありました。変更時期と変更理由は不明です。

『おかしな先祖』講談社 昭和47年10月20日発行 500円




これは変更後のソフトカバー版の表紙
『おかしな先祖』講談社 昭和53年8月4日発行 第15刷 690円

帯がかかっていたのかは不明。

【情報を求む】
このソフトカバー版・重版をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「何年何月何日発行の、何刷か、帯が付いているか」をコメント欄からお知らせいただけると大変にありがたいです。コメント欄は管理人の承認後でなければ公開されない設定になっています。





これでは並べきれないですねぇ……。

――というわけで、引っ張るようで申し訳ありませんが、もうひとつ記事が続くことになります(-_-;)










星新一の著作をコレクションする(10) 『妄想銀行』『進化した』『続・進化した猿たち』『花とひみつ』

2016年05月21日 | コレクション





今回は昭和42、3年に発行されたものを紹介します。2冊ずつ紹介してきましたが、今回は4冊です。


 『妄想銀行』新潮社 昭和42年6月30日発行 320円



日本推理作家協会賞を受賞したので、受賞後の重版分から「日本推理作家協会賞受賞」と書かれた帯に変わっています。



 『進化した猿たち』早川書房 昭和43年2月29日発行 650円





刊行順にはなりませんが、続編があるので一緒に紹介しておきます。

『続・進化した猿たち』早川書房 昭和46年3月15日発行 850円





 
 『花とひみつ』日本標準テスト研究会・図書出版部 小学生文庫3年第1集 
昭和43年4月1日発行 50円
 



前に紹介した『気まぐれロボット』(理論社)の収録作品から、「花とひみつ」「べんりな草花」「あくま」(本書の表記)の3編を集めた32ページの薄さの副読本。
この本は星さんご本人から「こんなものもあります」といただいたもので、この本を見つけるのはかなり難しいと思います。








寄贈本 第1回日本SFファンジン総展示会 『ジンテン1』

2016年03月04日 | コレクション





時々コメントをお寄せいただく高井信氏から送っていただいた 
第1回日本SFファンジン総展示会 『ジンテン1』

出版社から発行された本ではなく、高井信氏個人のオンデマンド出版、
中綴じ40ページで収録図版はオールカラーです。


表紙。


目次です。

購入方法は こちら

本書の他に2冊(『SF雑誌99の謎』『ベムAGAIN+』)オンデマンドで販売中です。



出版形態の多様化は歓迎すべきことですが、商業出版社にとっては厳しいことになるのかもしれません。










【ご案内】 新刊『タローカード入門』ウラヌス星風 

2015年04月13日 | コレクション




著者の「ウラヌス星風」とは、SF作家として知られる「式貴士」、あるいは『ミステリ百科事典』の著者の間羊太郎……マドンナメイト文庫やフランス書院文庫でおなじみの「蘭光生」……ワセダ・ミステリクラブ創設当時のメンバーのひとり、清水聰氏の別名だということを知ったのは、つい最近のことでした。


「式貴士」という名前を知ったのは、著書『カンタン刑』や『イースター菌』(ともにCBSソニー刊)を星新一さんが推薦したことでした。


『カンタン刑』重版の帯から星新一さんの推薦の言葉が入りました。
     


『イースター菌』の帯にも星新一さんの推薦の言葉が載っていますが……内容は週刊文春に載った『カンタン刑』の書評からのものでした。
     



式貴士さんが亡くなった後、私家版の『式貴士生誕80周年 未収録作品集 死人妻』が出版されたことを知り、
購入したことで今回の『タローカード入門』の出版のご案内をいただきました。


『未収録作品集 死人妻』の表紙。虹星人叢書 2013年12月18日発行。138ページ、並製本。
          




『タローカード入門』の表紙。虹星人叢書 2015年4月20日発行。212ページ、並製本。
          

雑誌「奇想天外」1980年6月号に掲載された、ホロスコープ作家診断 SF作家の星(1)として星新一さんを取り上げた記事が再録されています。


購入を希望される方は、式貴士研究サイト「虹星人(こうせいじん)」をご覧ください。

 → http://www008.upp.so-net.ne.jp/siki/









市販されていないのは勿体ない SUMISEI Best Book スミセイ ベストブック

2015年03月22日 | コレクション





SUMISEI Best Book 2015年5月号をご担当者から送っていただきました。




以前、ここの記事で紹介した「本の雑誌」創刊号の書影をご覧になった担当者から連絡をいただき、画像データを提供しました。


椎名誠さんのインタビュー記事のところで使われていました。




この雑誌、創刊30周年を迎えられたそうですが、住友生命とはこれまでご縁が無かったので、
その存在すら知りませんでした。


5月号の目次です。




出版文化を支えるためにも、このような雑誌が存在している意義は大きいと思います。

目を通した後、中で紹介されていた本を2冊、注文してしまいました。

この雑誌、市販されていないのが、なんとも勿体ないです。









寄贈本 『日本ショートショート出版史~星新一と、その時代~』

2015年02月28日 | コレクション





思いがけず、SF作家の高井信さんから、『日本ショートショート出版史~星新一と、その時代~』が届きました。

「下書きというか初稿というか、要するに未完成品」というのが、ご本人の弁です。

商業出版ではなく、すべてご自身の手造り15部のうちの1冊をご恵送賜るという光栄に浴しました。


         


ルリユールを趣味にしていた私が驚くほどの出来栄えです。

高井さんは以前から、身近な材料で手づくり豆本を作ったり、ジャケットをシリーズ本に似せた「もどき」を作ってみたりと、楽しませてもらっています。

『日本ショートショート出版史~星新一と、その時代~』は編年体で書かれていて、星新一の作家生涯と重なっています。
載っている書影の多さはにびっくりしますが、それがすべてご自身の蔵書というのは……驚異です。

144ページに載っている書影は、すべてカラー。個人オンデマンドのようなパソコンによる少部数印刷だから出来たことで、これを商業出版するときにはオールカラーになるわけですから、かなりコスト高になるでしょうね。

この労作を出版しよう! と名乗りを上げる出版社はいませんか?





私のコレクション 井上洋介(6) 『木版 東京百画府』

2014年11月23日 | コレクション





文庫本サイズの京都書院アーツコレクションの1冊として出版された『木版 東京百画府』は、井上洋介さんからお送りいただきました。この本が出版されたのは1998年1月15日で、京都書院が22億円の負債を抱えて倒産したのは翌年の1999年6月のことでした。


ジャケット。




この本のジャケット袖には100冊のアーツコレクションのラインナップが並んでいます。
井上洋介の「木版東京画府」ゲニウス・ロキの喜怒哀楽 と題した種村季弘さんの解説が載っています。




 ジャケットを取った表紙。




 この本には見返しがないので、本を開くといきなり標題紙で、署名する場所がありません。




 ジャケット袖の裏側に署名がありました。




郵送していただいた封筒に入ったまま保管してあり、封筒の消印は2000年6月27日。





寄贈本 『序文検索 2箇目 序文跋文あれこれ』

2014年07月24日 | コレクション




今回は寄贈していただいた本を紹介します。

拙宅に届いた本は……。
『序文検索 2箇目 序文跋文あれこれ』かわじ もとたか 編著 2014年7月15日 発行/杉並けやき出版 
発売/星雲社 本体4500円+税

 
624ページの労作です。「古書目録にみた~」シリーズの第5弾で、2010年10月に発行した前著『序文検索 古書目録にみた序文家たち』の続編にあたるそうです。



著者の川地素崇さんは「最終回文庫」をガリ版やコピーで発行していた時の会員です。
会誌発行が46号で途絶えたのが1993年5月ですから、それから21年!も経つのに、こうして忘れずにお贈り頂けるのは、とても嬉しいことです。

本と一緒にお手紙をいただきましたが、私より2つ歳上の方でした。会員組織の時に知っていたのは、「住所・氏名・蒐集分野」だけでしたから、年齢は把握していませんでした。本冊をもって最後になさるそうです。

本書は書名に「検索」と入っているのに、624ページもあるのに、巻末に「索引」というものがありません。著者名のアイウエオ順にも並んでいません。目次を見ると、古書展の販売目録で目にした事のある著者名が躍っています。本文では書名の後に古書目録から拾い上げた販売価格が「800~2000」というように書き添えられています。もちろんその値段で今も手に入るわけではないものもあれば、今は値崩れしているものもあるけれども、それにしても、多くの古書目録から拾い上げていく、気が遠くなるような作業が繰り返されているのです。

この本の著者の川地さんが、本書の冒頭「はじめに」で「昔の古本屋の棚に似せた」とおっしゃるように、これは古本屋のガタつく硝子戸を開けて、足を踏み入れたところの棚から順に背文字を追っていくが如く、頭からか開いたところからかは好きにして、とにかく読み始めて、興味の湧かない所は飛ばしていけば良いということなんでしょう。
どんな本かと尋ねられても、ひとことで表現できません。検索という書名に惑わされてしまいますが、「引く」のではなく「よむ」本で、著者の付箋があちこちに付けられている……そう表現しただけではまだ足りない感じがします。

興味が湧いた方は、AMAZONで著者名のひらがな表記「かわじ もとたか」で検索してください。
これまでに出版した5冊のうちの3冊がヒットしました。
本書は「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です。」と表示されますが、
以下の3冊は新刊もしくはマーケットプレイスで古本として入手可能です。

★『古書目録にみた「すごろく」』(2003年)
『装丁家で探す本―古書目録にみた装丁家たち』(2007年)
★『序文検索―古書目録にみた序文家たち』(2010年)

日本の古本屋(http://www.kosho.or.jp/top.do)のサイトでも著者名をひらがなで検索すると、
上記のうち★を付けた2冊と、最初に出版された『追悼號書目―古書目録にみた追悼號書誌―』(1991年)が出てきました。
いずれも古書ですから、売り切れてヒットしなくてもご容赦ください。
   
(2014年7月24日現在)