最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

寄贈本 星新一『きまぐれ体験紀行』(角川文庫)

2019年01月17日 | 星新一





1月25日改版初版発行の新刊『きまぐれ体験紀行』(角川文庫)を星マリナさんからお送りいただきました。

     




初刊の『きまぐれ体験紀行』は1978年10月に講談社から刊行されました。

     




その後、同じタイトルで講談社文庫の1冊として1981年6月に刊行。

     



その後、角川文庫から1985年11月に刊行され、ながらく品切れになっていました。

        


それが今回、角川文庫 創刊70周年企画〈みんなで選ぶ、復刊総選挙〉で日本のエンタテイメント部門上位5作品に選ばれ、復刊されることになったのです。



星新一ファンクラブ「エヌ氏の会」が主催した「星新一氏を囲む会」の1981年9月開催の会の参加者に配った『きまぐれ体験紀行』という私が25部だけ製本したものも存在します。(画像再録)



本書に収録されているエッセイ「断食へのトリップ」は「別冊小説新潮」1978年夏号に掲載されたものですが、ある時の「星新一氏を囲む会」に、運営費の一部にと星さんご自身が提供して下さった自筆原稿の中に、「断食のトリップ」の下書き原稿がありました。参加者でオークションにかけたのですが、これはぜひとも入手せねばと、落札価格は覚えていませんが、手元にあるのです。2011年に記事としてここに載せました。 ⇒ こちら



こうして見ると、1冊の本の歴史に重なる自分の歴史があって、感慨深いものがあります。







オークションに出品された『雨亭歌集』

2019年01月15日 | 私家版





この年末年始のネット・オークションに、ここで紹介したことがある本が3冊出品され、その動向に注目していました。

1冊は和田誠さんが私家版絵本として出版した7冊のうちの5冊。
その中には星新一『花とひみつ』、谷川俊太郎『しりとり』が含まれていました。
単品での出品で、『花とひみつ』は終了直前に高値更新が繰り返されて、最終的には151,000円で、『しりとり』も46,010円で落札されました。

この私家版絵本は『和田誠 私家版絵本ボックス』として7冊セットが復刊ドットコムから完全復刻されていて、現在でも入手可能(分売は不可)なのですが、やはりオリジナルが人気なのです。

そしてもう1点、坂本一敏さんに頼まれて、私が作成した限定17部の私家版家集『雨亭家集』も開始価格1,000円で出品され、こちらの落札価格は驚きの5,060円でした。歌人としては素人同然、製本したのも素人なのに高値が付いた訳は?


出品されたものは坂本さんの手元に残してあった著者本で、手書きの正誤表が入っているものでした。
しかし、これが高くなる理由というのは考えにくいのです。

17部作製したうちの他の16冊とは違っている点がありました。それは、この著者本には人間国宝の芹澤銈介氏作の二葉の書票(蔵書票)が貼ってあったのです。
それが、落札価格が高くなった理由と思われます。
本から書票をはがしてしまえば、書票としての価値があると判断されたからなのでしょう。

だとすると、ちょっとガッカリです(-_-;)



  表紙裏に貼られた一葉。





  奥付の上部余白部分に貼られた一葉。