内田魯庵『讀書放浪』斎藤昌三・柳田泉/編纂 昭和8(1932)年4月3日 書物展望社/発行
最初は、昭和7年6月に「限定版」として1000部を刊行。それが僅かの間に売り切れたので、改訂増補を兼ねて、「普及版」として1000部を刊行したとあります。
限定版は天小口が藍染で、布袋に入っていたようですが、手元の「普及版」は函もジャケットも無い「裸本」です。
古書店の販売目録に載っている普及版は、ほとんどが「裸本」です。その訳は、普及版の本体は「輸送函」に入っていたために、函は捨てられてしまい、結果、裸本が多くなったと推測できます。
本書の装幀に使われたのは日刊新聞。

せっかくなので表紙全体を。

新聞紙そのものだと耐久性に乏しいので、工夫して、布以上の耐久性があるという加工法を発見して応用したという記述があります。
見返しは、内田魯庵の蔵書票2種で、右上は本名の「内田貢」、左下は木村荘八が描いた土俗玩具だそうです。

表題紙

目次の一部

奥付

刊行順で言うと、以前の記事で取り上げた『紙魚繁盛記』(昭和7年2月)と、前の記事、『續紙魚繁盛記』(昭和9年4月)が刊行される間に出版されました。