大工道具の蒐集

骨董市で集めた大工道具類の入手の経緯、使った感想を報告

鉋刃 重勝の比較検討

2016-05-30 17:49:32 | Weblog
重勝には偽物が多いと聞いている。 この人は会津の出身で 明治20年代に3年程しか仕事をしていないそうだ。 だとすると本物に出会う事の方がまれと考えるべきだろう。 私の持つ重勝はいったい何者なのか。 比較検討して見たい。 
真中上の重勝 
この刃の銘は右に寄っており、鋼の付き具合から、刃幅の右側を切り取っていると思われる。右側が切り取られて頭は整形された可能性が高い。 頭を叩かれて出来るめくれが少ないからだ。 裏には左上から右下にかけてヤスリ目が有る。 その角度は約45度となっている。刃幅は50ミリある。銘が中央に有ると想定すると、元のサイズは59ミリ程度と想定出来る。
虎の刻印は猫の様で顔も正面を向き長い尻尾がある。明らかに他とは違う虎だ。銘は角箱に重勝と有る。普通有る登録商標は無い。 花押らしい紋は他とは若干違う様だ。刃厚は左6ミリ 右5.5ミリある。右を切り取ったからそうなったのだろう。 地金は和鉄と言いたいが 私には見分けは付かない。残念。 鋼も同様だ。
下右の重勝
これは使い過ぎで銘が消えかかっている。 刃幅62ミリある。ヤスリ目は有るがこれがオリジナルの物か不明。角度は約65度ある。 同じく左上から右下下がりのヤスリ目の様だが研ぎ過ぎて消えかかっている。 虎マークと登録商標が有る。 この虎は本物と言われる虎に良く似ている。 刻印で本物/偽物を判断するのは危険だと思うが。重勝の刻印は他より若干大きく、文字も太い。 花押は消えていて不明。地金は横長のひび割れが積み重なった様になっている。 釜地では無いらしいが、これが和鉄かは判らない。鋼の部分は最大でも7ミリ程度しか残って居ない。厚みは周辺で6ミリ 真中で5.5ミリ程度だろう。 この地金は硬くて研ぎ難いと言う印象がある。
下左の重勝
刃幅は55ミリ程度ある。 ヤスリ目は同じく左上から右下にかけて斜めに掛けてある。角度は約65度になる。 重勝の銘は右の物とは違う。 花押は本物と言われる物に近いと思う。厚みは左右5.5ミリ 真中5ミリ程度で薄い。比較的綺麗な地金だがこれが和鉄かどうか判らない。鋼と地金の境ははっきりしている。 兎に角研ぎ易い鉋だった。NSと横に刻印があるが、これは持ち主のイニシアルかも知れない。 不明。

総合して3枚見て行くとそれぞれ皆少しつつ異なる。 そこで誰が製作した物か情報も無く不明だが、虎マークは国虎が向う槌を打ったのでこのマークが付いてるとも聞いている。 敢えて言えば左下が一番本物に近い特徴を多く持つ気もする。 重勝工房に居た職人が本人の了解の基で作ったのかも知れない。 それが国虎かどうか判らないが。 更に地金の研究や鍛接方法についてもう少し知識が有れば更に深く追求出来たのかも知れない。 

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