■1999年 日本 92分
■2007.9.24 wowow
■監督 小泉堯史
■出演
寺尾聰(三沢伊兵衛) 宮崎美子(三沢たよ)
三船史郎(永井和泉守重明)
原田美枝子(おきん) 仲代達矢(辻月丹)
檀ふみ(奥方) 井川比佐志(石山喜兵衛)
松村達雄(説教節の爺) 隆大介(犬山半太夫)
《story》
「武芸の達人だが仕官がかなわない浪人、
三沢伊兵衛とその妻たよ
この映画は主人公とその妻の物語である」
旅の途中、雨で川が渡れず安宿で過ごす浪人井沢とその妻。同じく川を渡れず同宿する貧しい人たち。井沢は彼らのために、賭け試合をした金で馳走を振る舞う。剣の達人でありながら、優しさのためか思うように仕官が叶わない井沢。城下で斬り合いをしている若い武士を止めたことから、殿の目にとまる。そして剣の指南役を勤めてほしいと頼まれる。そこで、剣の腕を確かかめる御前試合が行われることになった。町の道場主が来ないため、殿自信が相手をすると出てくる。井沢は、つい本気となり殿を池に落としてしまう。その後、なかなか役の決定の知らせがなく、仕方なく宿を立とうとした日、町で賭け試合をしたことで、指南役が叶わなくなったことを聞く。しかし、妻のたよは、大事なのはしたことではなく、何のためにしたかだと言い切る。二人は、川をわたり旅に出る。たよの言葉を聞いた殿は・・・
あったかくなれる
こんなに人をあたたかく包みこむことができたら、どんなにいいだろう。でもね、ただやさしいだけだったら、たとえ武士でもバカにされて終わり、貧乏でお金もなく、ただ言葉だけしかかけられない。剣の腕があるからこそ、しっかりした土台を持ち、優しくなれる。馳走をふるまわなければ、人々はついて来ない。しかし、そんな夫を見守る妻はもっと優しい心の持ち主だと思う。たよ自身も、夫の土台、支えになっているからこそ、大きく包める優しさだ。
貧しいながらもみんなで楽しんでいる庶民の姿が、生きている実感と活力を感じさせてくれる。たよは一日中正座して座っているのだろうか。あの部屋から出ることはないのだろうか。大河ドラマを見ていて思うこと。じっと座り続ける姿や上を向いて姿勢正しく寝ている姿など、体がいたくなりそうなことを本当にしていたのだろうか。
ラストは、何とか指南役になれそうな感じだったが、うまくいくかな。なんだか旅が似合っている二人。各地でさまざまな問題にぶつかりながらも、解決に力を貸し、でも追い出される、そんな運命を感じて不安になる。景色を見下ろす二人は晴れやかに見えるのだけど、不安がよぎって仕方ない。