そよかぜから-映画

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夏の庭 The Friends

2008年05月05日 | 人間/社会派ドラマ

1994年 日本 113分
■2008.4.28 日本映画専門チャンネル
■監督 相米慎二
■出演
   三國連太郎(傳法喜八)  坂田直樹(木山諄)
   王泰貴(河辺)  牧野憲一(山下勇志)
   戸田菜穂(近藤静香)  根本りつ子(木山ともみ)
   笑福亭鶴瓶(葬儀屋)  寺田農(谷口コーチ)
   柄本明(長友)  矢崎滋(勝弘)
   淡島千景(古香弥生)

 《story》

「その夏、ぼくらは捜しに出かけた。
              『死ぬ』ってことを」


小学校6年の、木山、河辺、山下の三人は、ふとしたことから、「死」について興味を抱いた。そこで、近所に死ぬかもしれないと噂されている老人を見張ることにした。その老人の家は荒れ果て、庭は背丈以上の草で覆われていた。初めは警戒していたその老人と子ども達三人は、草抜きをしたり、障子を貼り替えたり、交流が始まる。毎日のように通い、家は見違えるほどきれいになった。老人との関係も深まっていった。ある日、その老人から、昔結婚し別れた人の話や、戦争で人を殺した話を聞く。三人は、別れた女の人を捜し始める。そしてとうとう見つけ、三人の担任の先生の母親であることがわかった。三人は、その人に間違いないと確信したが、老人は否定した。サッカーの試合の帰りに老人の家に寄ったとき、老人は倒れていた。帰らぬ人となった。葬儀の日、その女の人がやってきて、「おかえりなさい」と告げる。

 死への恐怖
子どもの頃、「死んだらどうなるのだろう」と悩んで怖くなったことがあったなあ。胸がチクッと痛くなって病気で死ぬんじゃないかと不安になったり、家族がいつか死んでしまうことに悲しくなったり、「死」というものに興味を抱いた時期があった。でもそれは多くは自分が死ぬことへの恐怖だった。他人が死ぬことへの興味ではなかった。今でも「死」への恐怖はある。きっと小心者の違いなんだろう。

人間は知らない人に対しては冷淡になれる。でも知ってしまえば情が芽生え、理性が働く。おじいさんがいつ死ぬかと観察している場面は冷ややかな感じだ。まるで観察日記をつけているみたいだ。でも、観察しているうちに、名前をつけ語り合うようになると愛おしくなる。生きることへの応援が始まる。それが人間の心の誕生かもしれない。心のないものは非常に冷たい。心があることで、「死」への恐怖も、「愛」も生まれる。

「夏の庭」が、人と人との触れ合いで変わっていった。草が荒れ放題の庭が、きれいになり、あったかな雰囲気がただよいはじめた。庭とは、人の心を映し出すものなんだ。「家庭」という言葉が表す通り、あったかい「家庭」、さみしい「家庭」など、庭が人の心模様を映し出す。夏の庭にはコスモスは植えられ、楽しい家族の思いが映る。


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