■2006年 アメリカ/イギリス 144分
■原題「Casino Royale」
■2007.1.5 TOHOシネマズ緑井
■監督 マーティン・キャンベル
■出演
ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)
エヴァ・グリーン(ヴェスパー・リンド)
マッツ・ミケルセン(ル・シッフル)
ジュディ・デンチ(M)
ジェフリー・ライト(フェリックス・レイター)
ジャンカルロ・ジャンニーニ(マティス)
サイモン・アブカリアン(アレックス・ディミトリオス)
カテリーナ・ムリーノ(ソランジュ)
イワナ・ミルセヴィッチ(ヴァレンカ)
セバスチャン・フォーカン(モロカ)
イェスパー・クリステンセン(ミスター・ホワイト)
クラウディオ・サンタマリア イザック・ド・バンコレ
《story》
「最初の任務は、自分の愛を殺すこと」
2人の殺しが「00」への昇格条件。クリアーしたボンドの最初の任務は、テロリストの資金源の謎の男の正体を突き止めること。マダガスカルで爆弾男を追い込み射殺、彼が持っていた携帯に残された発信元のバハマ諸島に向かう。そこでも爆弾男の飛行機爆破を阻止する。そして、Mはついに謎の男がディミトリオスであることを突き止める。カジノで彼を破産させる使命を受ける。リンドとともにカジノに向かう。国家予算1500万ドルを賭けた一大イベントの幕が開く。
今までとちがうボンド
007って何度かテレビで見たことあるけど、積極的に見ようとは思わなかった。でも、これはちょっとちがった。まず、友だちに連れられて、いやいや見に行った息子がおもしろかったよと言ったことがきっかっけで、機会があったら見に行こうかなと思うようになった。レイトショーで空いている時間があった。見始めて、自分が座席に座っていることを忘れてしまうほど、中に入っていった。映画館だから・・かもしれないけど、次はどうなるのだろうという興奮があった。確かにおもしろい。今までとはちがうと思った。爆弾男を追いかけるシーンは、工事現場も飛行場も迫力があった。カジノのシーンもすんなりいくことなく、さまざまなアクシデントにわくわくしてしまう。愛を殺すこと、それは自分からではなかった。007となることは、必然的に自由な愛はなくなるという、悲しさがあった。現実的にはありえないことだけど、リアリティーがあり、かっこいいだけのボンドでなく、ワイルドな一途な新鮮なボンドを見ることができた。
頭がよくなければ007も務まらない
今はコンピュータ-が使えなければ何もできない時代だ。それはどんな職種も同じ。たとえスパイの世界でも、秘密諜報部の世界でも。どこでもコンピューターを使って、どこかのコンピューターに侵入できるくらいの腕前が必要だ。さらに経済についても知識がなくてはならない。歴史、文学、地理などさまざまな多くの知識が必要だ。もちろん運動神経も抜群でなくては務まらない。心の制御も必要になってくる。人の心理を見抜く力、自分の心の中を表に出さず、いつも冷静でいられる強い精神力。つまり、万能な人間でなければできないということだ。そう、スーパーマンなのだ。こんな人間が、世界の人々のために働いてくれていることが、何よりの救いだ。
公式サイト「007/カジノ・ロワイヤル」
『うつくしいこども』石田衣良 【BOOK】
「弟は、なぜ殺したんだろう?」
『羊たちの沈黙』にあるような猟奇殺人。数年前に実際にあった酒鬼薔薇事件。確かに報道では見えない部分がある。マスコミは、まるで正義の使者のように、さまざな角度から報道する。見る側も、ある意味おもしろく興味をもって見る。私もその中の一人だ。原因はなにか。社会か、家庭か、学校か、地域か・・・・・。それらにも原因はあるだろう。でも、影響しあう人間の結ばれた端に、見えない何かがある。テレビの画面や雑誌などの一面だけで、物事をとらえてはいけない。鵜呑みにしてはいけないんだ。
加害者の家族の苦悩も、この本で改めて感じることができた。私たちは、黒い点があると、そのある場所すべてが汚れているように思ってしまう。殺人者がいる学校、地域、家族・・・。同じように思われたくない人もいる。多くはそうなのだろう。その中でも、逃げてはいけない、むしろその渦中の人を支えなければならない人がいる。冷静に考えれば、そうあるべきなんだとわかるんだけど、思われたくない人の中で、そうすることは大変なことなんだということがよくわかった。
ひどいのは、そう思われたくない人たちや、だれかに八つ当たりをしたいだけの人たちが、いやがらせをすることだ。まさにいじめだ。自分がやっていることが、どれだけひどいことなのかわからないのか。殺人よりましだ、なんて思っているのだろうか。自分が、この場所にいたとしたら、どんな冷静な考えで動けるだろうか。