そよかぜから-映画

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男はつらいよ41 寅次郎心の旅路

2006年12月07日 | コメディ


1989年 日本 109分
■2006.12.3 BS2
■監督 山田洋次
■出演
     渥美清(車寅次郎)  倍賞千恵子(さくら)
  竹下景子(ウィ-ンの観光ガイド・江上久美子)
  淡路恵子(ウィ-ン在住の未亡人)
  柄本明(坂口兵馬・心身症のサラリ-マン)
  イッセー尾形(旅行代理店の営業マン)
  笹野高史(ロ-カル電車の車掌)

《story》
旅先の宮城県のローカル線に乗っている寅。列車が急停車する。サラリーマンの男が自殺しようとしたのだが、間一髪のところで列車は止まる。寅は放っとくわけにはいかないと、車掌とともに警察に行く。その後、3人で旅館で盛り上がる。そのサラリーマンの男、坂口は寅をウイーン旅行に誘う。断るはずが、寅はウイーンに行くことになってしまった。何も興味がない寅は、公園で坂口を待つ。そこに日本人のツアーを引き連れた久美子が現れ、着いていく。止まっているホテルの名前も言えない寅を、バスに乗せ、知り合いのおばさんに預ける。そのおばさんの家で、久美子と寅と話が盛り上がる。久美子は、日本で会社の仕打ちに怒り、恋人と別れ、日本を飛び出してウイーンに長く住み着いていた。寅の誘いに日本に帰ることを決意した久美子だったが。

外国に行ってみたいなあ
死ぬまでにどこか外国に旅行ができるだろうか。働いても働いても余裕のお金は貯まらない。家族を養うだけで精一杯。時間もない。忙しい日々を送り続けている。世の中おかいしいよね。暇な人ほどお金があって、優雅に何度も海外に出かけることができる。ウイーンかあ、いいなあ。と言っても、音楽や舞踏会には興味はないけど、ドナウ川や古い町並みは見てみたいよなあ。ピラミッドは知っていても自分の目で見たことがない。万里の長城も自由の女神も見たことはない。家族みんなで海外旅行するとなると、5人で100万以上は貯めないとだめだね。豪華な船で世界一周なんて夢だね。世界遺産の宮島を見ることができるだけでも幸せかな。

満男の気持ちがわかる
「おじさんはいいよなあ」って言うと、お母さんのさくらに怒られてしまった。おじさんはまともな生活が送れないのよ、ってさみしそうに言う。確かにみんなが望む生活は送れていないけど、でもだれもがお金さえあればやりたくて仕方ない生活じゃないかな。寅さんは収入が不安定だから、仕方なく駅のベンチで過ごしたりするけど、お金さえあれば、いろんな人と出会い、いろんな人と楽しみ、いろんなところに行ける。おいしいものもたくさん食べて、温泉に入って、のどかに列車で旅を続ける。できればやりたいと思うことを寅さんはやっている。受験から逃げたい満男かもしれないけど、確かにあこがれがある。ただ、お金が安定しないさみしさを抱いた寅さんに、「いいなあ」って言ったら、それは今の自分がそこから逃げたいだけなんだ。

ドナウ川にたたずむ寅さんは似合わない
寅さんと言えば、あの上着に草履、そして帽子、腹巻きにお守り。それ以外の服装はあまり無いし、似合わない。この格好でドナウ川のほとりに立つ寅さんはなんだかぎごちない。やっぱり日本がいいなあって思ってしまう。外国がいけないわけじゃない。日本の風景があまりに似合っているから、都会のビルの谷間に立つ寅さんがさみしそうに見えるように、異国の建物が背景になる寅さんは小さく見える。
日本だったら、沖縄から北海道まで、全国の風土がぴったり。特に日本的な田舎の風景が合う。あの沖縄の熱い気候でさえ、細い木の陰に入って日を避ける格好が寅さんらしい。