そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

LOFT ロフト

2006年09月25日 | ホラー

2005年 日本 115分
2006.9.25 サロンシネマ2
■監督 黒沢清
■出演 中谷美紀(春名礼子)  豊川悦司(吉岡誠)  西島秀俊(木島幸一)  安達祐実(亜矢)  鈴木砂羽(野々村めぐみ)

《story》

「その女は永遠の美を求めてミイラとなった。千年の後、彼女は目覚め、そして私に呪いをかけた。恐るべき永遠の愛という呪いを」

女性作家の礼子は、将来を期待され、新しい分野の恋愛小説に挑んでいた。しかし、思うように進まず、担当編集者の紹介で郊外の家に移り住む。その家の前に建っている大学の古い倉庫に、ある夜一人の男がシートにくるまった遺体らしきものを運び込む。それがミイラだと知り、その大学の教授吉岡と次第に深く接するようになる。ミイラの記事を調べていくうち、礼子は女性の霊に取り憑かれていく。そして吉岡とその女性の霊の関係が次第にあきらかになっていく。

◎メンズデーなので見てみようかと、そんな気持ちで見た映画でした。悪くも良くもないかな。ホラーに感動的なホラーはないかもしれないね。ミイラと殺された亜矢とが重なるのだと思うけど、千年前のミイラは具体的にどんな因縁があったのだろう。語られるだけでなく、もっと本題に結びついた確かな軌跡がほしかった。たぶん、教授がミイラに関わったから、呪われたということなのかな。自分が殺人を犯していることすらわからなくなっていたけど、礼子が現れなかったらそれも気づかなかったかもね。
中谷美紀は好きな女優の一人だ。「電車男」と「まつ子の一生」と雰囲気ががらりとかわってしまう。そこがおもしろい。亜矢の安達祐実は適役かもしれない。子どもっぽいところが余計に不気味さを出している。豊川悦司って、いつも「演じている」って感じがする。「北の零年」は自然な感じがしたけど、フラガールとこれは役を演じている。

公式サイト「LOFT ロフト」

フラガール

2006年09月25日 | 人間/社会派ドラマ

2006年 日本 120分
2006.9.25 シネツイン2
■監督 李相日
■出演 松雪泰子(平山まどか)  豊川悦司(谷川洋次郎)  蒼井優(谷川紀美子)  山崎静代(熊野小百合)  岸辺一徳(吉本紀夫) 池津祥子

《story》

「未来をあきらめない」

「人生には降りられない舞台がある。まちのため、家族のため、友のため、そして自分の人生のために。少女たちはフラダンスにいどむ。」

1965年(昭和40年)、福島県いわき市の炭坑町。石炭の時代が終わりに近づき、閉山の波が押し寄せ、リストラが始まろうとしていた。そこで、会社側は少しでも雇用の場を作ろうと、「ハワイアンセンターの計画を立てる。東京からSKD(松竹歌劇団)で踊っていた平山まどか先生を呼び、炭坑の町の中でダンサー募集の公告を出した。早苗の誘いで説明会に出かけた紀美子は、母も兄も炭坑で働いていた。説明会に来た多くの女性は、初めて見るフラダンスに驚き、ヘソを出して裸同然で踊ることに抵抗し会場を出ていった。早苗と紀美子と、父親に連れて来られた大柄な小百合、そして子持ちの初子の4人だけが残った。平山まどか先生も、借金を背に気持ちがのらないレッスン指導に入るのだが・・・。

◎懐かしい日本、生活にあえいでいた日本、それでも生きることに活気があった日本。背景的には今と同じかもしれないけど、貧しいながらも生きることに必死で充実していたような感じがするのは、その場にいないからかな。炭坑の時代はすでに終わった。でも、ひとつの町を作り上げるくらいのかつて巨大な産業があったんだと、今さらのように思う。
あの長屋の人々は、みんなで助け合って生きていたんだろうな。ストーブをみんなでかき集める場面が心に残った。みんなで力を合わせれば何とかなる。フラダンスに大反対だった母が、必死で踊りの練習をしている娘の姿を見て、考えが変わった。時代は動いている。よくも悪くも変化している。
「フラダンス」と聞いただけでは、見たくはならなかった。炭坑の町でなぜフラダンスなのか、一昔の時代の変化の一場面なんだとわかったら、見たくなった。蒼井優も見たかった。演技というものはすごいと思った。泣いて笑ってしゃべってだけでなく、実際にフラダンスを踊って見せなければいけない。そのための練習も大変だったのだろうなと思いながら、最後のオープンの踊りの場面を見た。

公式サイト「フラガール」

バタフライ・エフェクト

2006年09月25日 | サスペンス/ミステリー


「バタフライ・エフェクト   ディレクターズ・カット版」
■2006.6.25  wowow
「バタフライ・エフェクト」
■2006.9.25  wowow

2004年 アメリカ 120分
■原題「The Butterfly Effect」
■監督 エリック・ブレス  J・マッキー・グルーバー
■出演 :アシュトン・カッチャー(エヴァン) エイミー・スマート(ケイリー) ウィリアム・リー・スコット(トミー) エリック・ストルツ(ジョージ) エルデン・ヘンソン(レニー) メローラ・ウォルターズ(アンドレア)

《story》

「君を救うため、ぼくは何度でも過去に戻る」
「それは、神でも許されない行為」


エヴァンは、少年時代、時折記憶を失った。そこで、日記をつけることにした。記憶を失う前の出来事などを書き込んだ。ケイリーの家での映画撮影、ポストの爆発など、何が起こったのか覚えていなかった。エヴァンはケイリーと再開を約束し、街を出ることになった。その後、記憶を失うことはなかった。大学生になったエヴァンは、少年時代に書いた日記を見つけ、読んでいるうち、記憶を失った過去に戻った。そして、過去を変えることで「今」が変わることを発見する。しかし、思わぬことも変わり、人をも変えてしまうのだった。自分が望む姿にはならなかった。
「バタフライ・エフェクト」とは、ある場所で蝶がはばたけば、地球の反対側で竜巻が起こる。初めのちょっとしたちがいは、のちに大きなちがいを産む、ということだそうだ。

◎おもしろい映画だった。思うように変えたようで、実際には予期せぬ変化が別なところで起こっている。最初の小さなズレは、後に大きなちがいに変わっていく。過去は変えない方がいいのか、悪いことはできるだけいい方向にもっていった方がいいのか。選択の余地がなければ、もっと気は楽かもしれない。しかし、変えることができるということが、ある意味では不幸だったのかもしれない。「変える」それは自分を中心に周りを変えるということ。自分以外のすべての者が、本人の意識はなくとも、コロコロと変えられていくのだ。他人の人生を変えていく、傲慢な能力なのかもしれない。
ラストは公開版とはちがうようだ。正直言ってよくわからなかった。自分がいなければみんな幸せになるということだったのか。父も同じ能力を持っていて、自分が存在すること自体別な過去なのかもしれない。とすると、何が本物の過去で、何が意図的に変えられた過去なのかわからなくなってしまう。
公開版を見て、もう一度考えてみたいと思う。

◎ディレクターズ・カット版との違いはラストだった。見知らぬ二人にもどった。出会ったところで、初めから突き放した。だから、ともに行動することもなく、彼女は悪の根元だった父親と暮らさずにすんだ。みんなハッピーエンド。こんな人生を大きく分ける分岐点のようなところがあるだろうか。私は、どんな道に進もうと、今以上によくはならないと思う。今以上に悪くなることはあるかもしれない。兄のトミーのようにひどい悪人になったり、人を大切にする善人になったり、全くちがう人生だ。これは映画の中の話だから、私はこれからの残り少ない人生をできるだけ開き直って生きていくしかないのだ。もし、あんな日記のノートがあったら、やっぱり使ってしまうな。

公式サイト「バタフライ・エフェクト」