どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(短編小説)『ジャコビニ流星雨が見えない夜』(1)

2019-03-30 01:06:19 | 短編小説
 神も仏もあるものか。神があるならもう少しマシな人生をよこしそうなものだし、仏があるなら一片の情けをかけてくれたっていいじゃないかというのが、その朝三上慎介が抱いた最初の感想であった。  もっとも、彼はまだ完全に目覚めたわけではなくて、妻の声に頭をガンと叩かれたきり、瞼のバネが壊れて開かなくなった状態に置かれていて、きのうといいけさといい、まったく何を手がかりに生きたらいいのかと、半ば自棄気味に . . . 本文を読む
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