どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)61 『妖葉記』

2011-11-26 04:10:59 | 短編小説
     (妖葉記)  薄暗い公園の横を通ると、薄暗い樹の間からガクアジサイの白い花が、あたりを窺うように顔を覗かせていた。 確かめると白いのはガクのほうで、そのガクに囲まれて小さな花がぶつぶつと虫のようにたかっていた。 もっともらしく観察はしたけれど、辰夫が気にかけたのはガクでも花でもなかった。 覗きこんだとたんにワーっと掌を広げたアジサイの葉っぱのほうだった。 辰夫は、正直たじろいだ。 その瞬 . . . 本文を読む
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