幕末の志士、坂本龍馬の人生を三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎の視点から描いたNHK大河ドラマ「龍馬伝」が3日(日曜午後8時~)からスタートする。龍馬を演じるのは歌手、俳優と幅広く活躍する福山雅治さん(40)。不惑にしてNHKドラマ初出演。「水浸しになったり、泥まみれになったり若手芸人さんのよう」と振り返るドラマの撮影現場や、主人公・坂本龍馬について語った。
--出演の話をもらったときの心境は
何でこの話がぼくのところに来たんだろうと思いました。坂本龍馬という方は、(自分よりも)もう少しごつごつした感じのイメージがあって、僕自身はそういうイメージとは違うんじゃないかなと思っていたので、最初は違和感がありました。
--そこから出演を決めたのは
鈴木(圭チーフプロデューサー)さんの熱意にほだされまして。そこまでお誘いいただけるならと。最悪ダメでも鈴木さんのせいにすればいいかなと(笑い)。でも、本当にすごい熱意を感じまして、それにものすごく勇気をもらったという感じですね。
--1年以上の長期の撮影です
「1年」ということについてはあまり考えていないですね。ただ、(龍馬は)割と短い期間にいろいろなことを体験された方だし、今週5~6話を撮ったと思ったら、来週は11話になったりと撮影の順番が結構飛んだりするのが大変でして。(これまでの)連続ドラマは10話、11話くらいで終わっちゃうわけですから、いきなりその最終回を撮ってるようなことになるんですけど、この大河ドラマは48回あるので、ちょっと大変かもな、と思っています。
--共演者はどうでしょう
(岩崎弥太郎役の)香川(照之)さんはすごくエネルギーのある方で、もう爆発するような感情表現を一気にされてくる方なので、すごく刺激になってますね。東北のロケで、大分寒かったんですが、わらじ一つで野山を駆け回ったりしていて、「大変ですね」とうかがったら、「大変であればあるほど芝居をしなくていいんで楽ですよ」とおっしゃっていて……。そんな香川さん流のお芝居に対するお話も聞かせていただいて、非常に勉強させてもらいながらやってるという感じですね。
--龍馬の格好をして演じ、自分で見てみてどうですか?
間違ってもうっとりとかはしてないです……アッハッハッ! 10代の龍馬もやっているんですが、さすがに無理があるなとは思ってるんですけど(笑い)。香川さんも10代には見えないので、まあいいかなと。若さや年齢を描くわけではないので割り切っています。それから、大河ドラマのポスターがあるんですが、今のお芝居の中でやっている雰囲気の方がやっぱり動き始めた坂本龍馬になってまして、この「チーム『龍馬伝』」で作ろうとしている坂本龍馬が少しずつ動き出した感じですね。
--龍馬は福山さんの地元・長崎にもゆかりの深い人物です
長崎にいたころ、(龍馬が設立した)「亀山社中」に行ったことは一回もなかったんですよねえ。本当に何にも知らずに生きてきたなと反省しまして。龍馬さんを通じて自分が全く勉強をしてなかった長崎という町の歴史を改めて知ることができて、感謝してると同時に、何てバカな高校生だったんだろうとびっくりしてるんですけどね(笑い)。
--ドラマでは「誰も見たことのない『福山雅治』がここにいる」とうたっています
感情をバーンと表に出すシーンがいくつかありまして、そういうのは今まであまりなかったと思います。僕自身も見たことがない表情だったり、びっくりするシーンがたくさんありますね。よだれを垂らしてしゃべってたりしてますからねえ。ハイ(笑い)。水浸しになったり、泥まみれになったり若手芸人さんのような状況でやらせてもらってます。
--印象に残っているシーンは?
強烈だったのは緑色の水の池に落ちるシーン。「これに落ちるのか……」と思いました。泥まみれになりながら土のうを担いで運ぶシーンもありまして、(出演する)牛がしているふんと尿が混ざった泥水をずっと浴びせられる状態で、口の中が“ザリザリ”になりながらやったり……。そんなシーンが多々ありますね。
--剣術のトレーニングや役づくりは
殺陣(たて)のけいこは時間が許す限りやっています。初めてのシーンはなかなか難しかったですね。殺陣に関して苦労してます。ジムでウエートトレーニングをやっているお陰が多少あると思うんですが、「すり足」のような動作は割とできているようなので、そこを基本に上半身の動きなどももうちょっと頑張りたいと思っている所存です。
--土佐弁はどうでしょう
当然慣れていないので正直難しいですし、決して完ぺきにはできていないと思います。うまくできてない部分もあると思うので、その点は申し訳ないんですけど。
--音楽的センスを演技にどう生かしたいか
音楽のときは、少しでも疑問や不安があると、それを魚の小骨のように一本一本抜いていくんです。そういう感じで最近はお芝居に取り組むようになりました。疑問に思ったことは、1個ずつ細かいこと、小さいこと全部質問して、芝居場に行くようにしてるんですね。撮影に入る前にかなりしつこく打ち合わせさせていただいてます。
--龍馬が今生きていたら? 逆に自身が幕末に生まれていたら?
役人さんにはなっててほしくない(笑い)。どちらかというとビジネスの方で格好いい仕事をしてもらいたいですね。もし僕が、18、19歳くらいの年齢で幕末を地方都市で迎えていたら、(当時の若者たちと)同じように異人が来たら刀を持って立ち向かうと思います。でも、もし江戸で40歳で開国を迫ってくる異国がいたら……それに乗じてビジネスを考えていたと思います(笑い)。貿易ですかね。やっぱり。
--この時代に坂本龍馬をやる意味とは
時代性とかいうのはあまり考えないんです。龍馬をやるに当たって思っているのは、「見ていて気持ちのいい人を演じられれば」ということ。ドラマというのは、どれだけ見ていて気持ちのいいもの、感動できるものを提供できるかが使命だと思っていますから、そういう人物をチーム一丸となって作り上げていきたいという気持ちですね。
--坂本龍馬に学ぶこと、自分に生かせることは
とにかく一回全部受け入れてみるっていうことなんじゃないかな。(龍馬には)スポンジのように吸収して最後にポトッと絞り出すみたいなところがある気がしています。多くのことに好奇心をもって、なるべくいろんなことを受け入れる。それが、最終的には魅力的であり、人を動かす人になるんじゃないかなと思います。そういうところは見本にしたいですね。
<プロフィル>
ふくやま・まさはる。1969年2月6日生まれ。長崎県出身。シンガー・ソングライター、俳優。「ひとつ屋根の下」で人気を集め、「美女か野獣」「ガリレオ」など多数のドラマに出演。シンガー・ソングライターとしても「HELLO」「桜坂」などヒット曲多数。09年大みそかのNHK紅白歌合戦には93年以来16年ぶりに「はつ恋」で出場した。
1/1 毎日新聞
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--出演の話をもらったときの心境は
何でこの話がぼくのところに来たんだろうと思いました。坂本龍馬という方は、(自分よりも)もう少しごつごつした感じのイメージがあって、僕自身はそういうイメージとは違うんじゃないかなと思っていたので、最初は違和感がありました。
--そこから出演を決めたのは
鈴木(圭チーフプロデューサー)さんの熱意にほだされまして。そこまでお誘いいただけるならと。最悪ダメでも鈴木さんのせいにすればいいかなと(笑い)。でも、本当にすごい熱意を感じまして、それにものすごく勇気をもらったという感じですね。
--1年以上の長期の撮影です
「1年」ということについてはあまり考えていないですね。ただ、(龍馬は)割と短い期間にいろいろなことを体験された方だし、今週5~6話を撮ったと思ったら、来週は11話になったりと撮影の順番が結構飛んだりするのが大変でして。(これまでの)連続ドラマは10話、11話くらいで終わっちゃうわけですから、いきなりその最終回を撮ってるようなことになるんですけど、この大河ドラマは48回あるので、ちょっと大変かもな、と思っています。
--共演者はどうでしょう
(岩崎弥太郎役の)香川(照之)さんはすごくエネルギーのある方で、もう爆発するような感情表現を一気にされてくる方なので、すごく刺激になってますね。東北のロケで、大分寒かったんですが、わらじ一つで野山を駆け回ったりしていて、「大変ですね」とうかがったら、「大変であればあるほど芝居をしなくていいんで楽ですよ」とおっしゃっていて……。そんな香川さん流のお芝居に対するお話も聞かせていただいて、非常に勉強させてもらいながらやってるという感じですね。
--龍馬の格好をして演じ、自分で見てみてどうですか?
間違ってもうっとりとかはしてないです……アッハッハッ! 10代の龍馬もやっているんですが、さすがに無理があるなとは思ってるんですけど(笑い)。香川さんも10代には見えないので、まあいいかなと。若さや年齢を描くわけではないので割り切っています。それから、大河ドラマのポスターがあるんですが、今のお芝居の中でやっている雰囲気の方がやっぱり動き始めた坂本龍馬になってまして、この「チーム『龍馬伝』」で作ろうとしている坂本龍馬が少しずつ動き出した感じですね。
--龍馬は福山さんの地元・長崎にもゆかりの深い人物です
長崎にいたころ、(龍馬が設立した)「亀山社中」に行ったことは一回もなかったんですよねえ。本当に何にも知らずに生きてきたなと反省しまして。龍馬さんを通じて自分が全く勉強をしてなかった長崎という町の歴史を改めて知ることができて、感謝してると同時に、何てバカな高校生だったんだろうとびっくりしてるんですけどね(笑い)。
--ドラマでは「誰も見たことのない『福山雅治』がここにいる」とうたっています
感情をバーンと表に出すシーンがいくつかありまして、そういうのは今まであまりなかったと思います。僕自身も見たことがない表情だったり、びっくりするシーンがたくさんありますね。よだれを垂らしてしゃべってたりしてますからねえ。ハイ(笑い)。水浸しになったり、泥まみれになったり若手芸人さんのような状況でやらせてもらってます。
--印象に残っているシーンは?
強烈だったのは緑色の水の池に落ちるシーン。「これに落ちるのか……」と思いました。泥まみれになりながら土のうを担いで運ぶシーンもありまして、(出演する)牛がしているふんと尿が混ざった泥水をずっと浴びせられる状態で、口の中が“ザリザリ”になりながらやったり……。そんなシーンが多々ありますね。
--剣術のトレーニングや役づくりは
殺陣(たて)のけいこは時間が許す限りやっています。初めてのシーンはなかなか難しかったですね。殺陣に関して苦労してます。ジムでウエートトレーニングをやっているお陰が多少あると思うんですが、「すり足」のような動作は割とできているようなので、そこを基本に上半身の動きなどももうちょっと頑張りたいと思っている所存です。
--土佐弁はどうでしょう
当然慣れていないので正直難しいですし、決して完ぺきにはできていないと思います。うまくできてない部分もあると思うので、その点は申し訳ないんですけど。
--音楽的センスを演技にどう生かしたいか
音楽のときは、少しでも疑問や不安があると、それを魚の小骨のように一本一本抜いていくんです。そういう感じで最近はお芝居に取り組むようになりました。疑問に思ったことは、1個ずつ細かいこと、小さいこと全部質問して、芝居場に行くようにしてるんですね。撮影に入る前にかなりしつこく打ち合わせさせていただいてます。
--龍馬が今生きていたら? 逆に自身が幕末に生まれていたら?
役人さんにはなっててほしくない(笑い)。どちらかというとビジネスの方で格好いい仕事をしてもらいたいですね。もし僕が、18、19歳くらいの年齢で幕末を地方都市で迎えていたら、(当時の若者たちと)同じように異人が来たら刀を持って立ち向かうと思います。でも、もし江戸で40歳で開国を迫ってくる異国がいたら……それに乗じてビジネスを考えていたと思います(笑い)。貿易ですかね。やっぱり。
--この時代に坂本龍馬をやる意味とは
時代性とかいうのはあまり考えないんです。龍馬をやるに当たって思っているのは、「見ていて気持ちのいい人を演じられれば」ということ。ドラマというのは、どれだけ見ていて気持ちのいいもの、感動できるものを提供できるかが使命だと思っていますから、そういう人物をチーム一丸となって作り上げていきたいという気持ちですね。
--坂本龍馬に学ぶこと、自分に生かせることは
とにかく一回全部受け入れてみるっていうことなんじゃないかな。(龍馬には)スポンジのように吸収して最後にポトッと絞り出すみたいなところがある気がしています。多くのことに好奇心をもって、なるべくいろんなことを受け入れる。それが、最終的には魅力的であり、人を動かす人になるんじゃないかなと思います。そういうところは見本にしたいですね。
<プロフィル>
ふくやま・まさはる。1969年2月6日生まれ。長崎県出身。シンガー・ソングライター、俳優。「ひとつ屋根の下」で人気を集め、「美女か野獣」「ガリレオ」など多数のドラマに出演。シンガー・ソングライターとしても「HELLO」「桜坂」などヒット曲多数。09年大みそかのNHK紅白歌合戦には93年以来16年ぶりに「はつ恋」で出場した。
1/1 毎日新聞
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