香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

大幸運食堂

2012-02-05 18:41:45 | 本のこと
本屋さんをうろうろとして偶然手に取った本
明川哲也さんの『大幸運食堂』


川辺にある小さな食堂。そこは、寂しかったり、
傷ついていたりする人にエールを送る場所――。

 本書は、月刊誌『PHP』の人気連載「川辺の町の物語」を
単行本化した連作短編小説集。

 人生は、いつもうまくいくときばかりではない。野菜の無人販売所を
始めたものの、そのストレスと、ぎくしゃくした家族関係に溜め息ばか
りの雅代さん(「黒猫のミーコ」)。ひそかに思いを寄せる三姉妹に、
変質者と思われてしまった洋平さん(「三姉妹」)。機嫌が悪く、何か
とどなりつける母親を振り切って家を飛び出した克之君(「明滅」)。
裏方の仕事に嫌気が差し、映画撮影所を辞めようとする隆之さん(「本
番、スタート」)。食堂の客足が途絶え、何もかもが面倒になっている
継治さん(「花丼」)等、“大幸運食堂”をめぐる各短篇の主人公は、人
生につまずいてしまっている人たちである。

 「ツライばかりの毎日。でも、前を向いていこう」
――そんなメッセージが込められた、元気が出る一冊。


読み終わって著者略歴を読んでびっくり
明川哲也さんは、ドリアン助川さんだったのですね
この本は、何の先入観も情報も無く、本の帯を読んで
1ページ目を読んで、購入することを決めた本です
買ってよかったです わたしも元気をもらったひとり
実は、「黒猫のミーコ」と「三姉妹」を読んだ後、
違う本を読むためにしばらく机の上に置きっぱなしになってました
短編だけど、それぞれの登場人物が重なっていたり縁があったり
生きていれば辛いことたくさんあるよねって、ほろ苦い思いの中
だからこそのちょっとだけの輝きや楽しさ嬉しさが身にしみるようなお話
現実の人生は、誰もがちょっとしたことでふさぎこむ
でも、自分の人生の主役は自分なんだよ
とても元気つけられました

今日、NHKアーカイブスで朝ドラ「カーネーション」のモデル
小篠綾子さんの特集をやっていたのですが
娘さんのコシノヒロコさんが母から教えられたことや
綾子さんが書き留めていたノートなどから
「何を始めるにも遅いことは無い いくつからでも始められる」
「続けていくことが大切」
「自分のためだけじゃなく、人の笑顔のために頑張れる」という言葉
年を取ってたくさんの同年代の友人が亡くなってしまっても
自分から色々なコミュニケーションの場を作っていく綾子さんを知り
今日は、テレビからも本からも元気をたくさんもらった日だなと思います

親不孝通りディテクティブ

2012-02-04 21:31:05 | 本のこと
北森鴻さんの『親不孝通りディテクティブ』

 タクシー強盗と、湊の火事、そしてスーパーの警報騒ぎ、
 同時に起こった事件の意外な関連とは・・・。中州の屋
 台でバーを営む鴨志田鉄樹と、結婚相談書の調査員・根
 岸球太。腐れ縁の通称「鴨ネギコンビ」が、どういうわ
 けか、物騒な事件に関わっていく。博多を舞台に大揺れ
 ! ハードボイルド・ストーリー。


テッキとキュータ二人それぞれの独白で交互に進むお話
冷静だけど心の底に熱いものを持つテッキと
軽くて浅はかで正直で憎めないキュータの
物事の捉え方の違いに、少し笑って
二人の誠実さと頑張りに元気をもらい
事件の切なさややるせなさが少し哀しい
新聞に『親不孝通りラプソディー』文庫新刊の広告が出て
北森鴻さんの小説にこのシリーズがあったことを知ったのです
やっぱり、裏切ることは無くいい本でした

そういえば、Twitterで作家の道尾秀介さんをフォローしていて
道尾さんが、芥川賞、直木賞の選考をぶった切りしている
面白いラジオがあると行っていて知ったのが
ラジカントロプス2.0での
『大森南と豊崎由美の文学賞メッタ切り」がちょっと笑えます
いやいや、不良テルニストであっても真面目に聞いちゃだめな番組
笑って「ほうほう」と聞けるのです
今回の芥川賞・直木賞の【予想編】、【結果編】、笑えました
豊崎由美さんのことは、太田光さんが『文明の子』の宣伝で
色々な番組に出て、『まぼろしの鳥』の時にめちゃめちゃに言われたと
文句を言っていましたが、悪く言うのがお仕事なのかな
小説はそれぞれの人のそれぞれの受け止め方があるので
目くじらたてることじゃないから
ちょっとだけ文学界の裏話てきなお話を、
真義を問わず聞けるのが面白かったな

トイレット

2012-02-04 11:28:50 | 映画のこと
荻上直子監督、もたいまさこ主演『トイレット』見ました


荻上直子監督の『かもめ食堂』も『めがね』も大好きな映画
そして、その大好きの中に『トイレット』も入りました
アメリカ人が言う「バアチャン」という響きの可愛さ
もっさり憎々しく、さびしけなもたいさん
不器用だけど、繊細でやさしい孫たち
最後はさびしい気持ちで終わっちゃうのかなぁと思ったら
ふふっと笑って終わる素敵な映画でした

『トイレット』もWOWOW放送だったのだけど、
『プール』『マザーウォーター』も放送されていて見ていました
両方ともDVDレンタルして見ていた映画だったけど、また楽しめました

今週は日本が冷えきったような気候でしたが
節分を過ぎ、春が少しずつ近づいていいるのかな
さっぽろ雪まつりが6日から始まります
まだ札幌は寒い日が続くでしょうが、
元気に、雪まつり見に行こうかなぁと思います

蜩ノ記

2012-02-01 03:44:55 | 本のこと
今回の直木賞を受賞された
葉室麟さんの『蜩(ヒグラシ)ノ記』


命を区切られたとき、人は何を思い、
        いかに生きるのか?


 豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、場内で刀傷沙汰に及んだ末、
 からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田
 秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を
 犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎に
 は編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、
 向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるよ
 うになり・・・・・。


少しの時間でちょっとづつ読み進めて3/4位読に終わり
今日も寝る前に読もうと思っていたら、やめられなくなりこの時間
そして、たくさん泣いてしまって すぐに寝たら目が腫れそう

帯に「心ふるわす、感涙の傑作」とありますが
本当に、心がふるえて、つらくて、でもやさしくて、あたたかくて
後半は涙が止まりません
たくさんの付箋をつけた箇所があって、紹介したいけれど
これから読む人の楽しみを取ることになりそうなので、
とても素晴らしい本だと思うので、ぜひぜひ読んでみて
そして、語り合いたいなぁと思います
読みごたえのある、素晴らしい本にまた出会えてよかった