窓際日記・福島原発

窓際という仕事の雑感

電王戦FINAL・プロ棋士の研究がいつも外される理由

2015-04-06 13:43:13 | Weblog
COM君は相手の手番の時にも人間同様に「相手はこう指すだろう。そうしたらどうするか?」というように次の自分の手を考えています。

これはCOM君の内部では「自分の手を指し終わるとすぐに始まるプロセス」になっています。


さてプロ棋士さん、貸し出されたCOM君の前で今日も研究に余念がありません。

「序盤が大事、序盤が大事。」

「どうやってうまく局面を誘導するかだ」とね。

「それから時間を後に残す為には、最初はノータイムでリターンだな」との戦術であります。


そうやってCOM君が指すのを待っては、「無慈悲なノータイム リターン」を繰り返します。

そして序盤戦でのCOM君の統計的な思考パターンを理解していきます。


さて、電王戦本番です。

プロ棋士さん、「序盤のCOM君の思考パターンは全てつかんだ」とここでも無慈悲なノータイム リターンをくりだします。

ところが何故かCOM君の思考パターンが事前研究の時と違う様です。

そうしてついにCOM君は「研究で現れたことのない一手」を指すのです。

こうして無残にもプロ棋士さんの「膨大なるご研究」は水の泡となってしまうのでありました。


さてではいったいどこに「間違い」があったのでしょうか?

プロ棋士さんは事前研究の時と全く同じ行動をしたのに、なぜCOM君の思考パターンが再現しないのでしょうか?


それは事前研究の時に「電王手さんの動作時間」と「開発者の手入力時間」を無視していたからですね。

「この二つの時間、合わせるとだいたい40秒ぐらいになる」とはやねさんの観察結果でした。

つまり本戦においてプロ棋士さんは「無慈悲なノータイム」のつもりでしたが、じつはCOM君にとってはいつも「40秒+プロ棋士さんのリターンタイム」になっていたのでした。


このトラップを最初に指摘したのは第3局対局者のやねさんでしたね。(このあたり、さすがであります。)

さてではだれが仕掛けたトラップでしょうか?

ドワンゴですか?

いいえ違います。

電王手くんの登場とともに「人知れず入り込んできたトラップ」なのでありました。

そうして、この40秒はCOM君にとっては「とても大きい」のであります。


それではプロ棋士さんはどうやればよかったのでしょうか?

じつは貸し出されたCOM君との研究ではつねに+40秒ほどの待ち時間を加えてから自分の手を入力すればよかったのです。

そうして、本番では「ノータイム リターン」をすればCOM君の思考パターンは研究の時と同じになるのでした。


「電王戦では実は時計が二つある」と。

「対局者の持ち時間を計る時計」と「COM君の内部クロック」であります。

そうしてプロ棋士さんが本当に意識しなければいけないのは「COM君の内部クロックの方」なのでありましたとさ。


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