ジョージのソロ3枚目、Dark Horseが1974年に発売された。
それまでの作品よりもっとアメリカのルーツ・ミュージックに根ざした作品だと思う。
当時北米ツアー(Dark Horse Tour)を企画し、Jazz-Funk色の強いトム・スコット率いるLA ExpressとSoul-R&B系のビリー・プレストンとウィリー・ウィークスをバックに起用し一味違う脱ビートルズ化を図っていたのだと…
当時離婚問題や色々なプロジェクトを抱え込みかなりお疲れ気味だったジョージ、その影響は別人とでも言えるそのしわがれた彼のボーカルが物語っている。
声の不調にも関わらずなんとかツアー前にレコーディングを完了させアルバムを発売させたかったのだが、それも叶わずアルバムはツアー終了後の発売となる。
ジョージの声が出ないとの不評、オリジナルの音源にノスタルジーを非常に感じるビートル・マニアにとってはツアーでの斬新なアレンジは言語道断、更にノーモア・バングラデッシュ・コンサート・パート2と言うか正統派インド・ミュージックを奏でるラビ・シャンカールに退屈さを感じる不満などなどでツアーは散々だった様で、これ以降ジョージはコンサートから一旦撤退。
そのためその後の正式なソロ・ツアーは90年代の日本ツアーとなる。
英国ではチャートインしなかった。ただ今回色々な問題が重なりあったとは言えそこはEx-ビートルズ、また内容的にアメリカ志向の作品だったことからか全米4位を獲得したのはご立派。
個人的にはシングル・ヒットがあまり期待出来ない地味さは感じるものの、個々の曲はよく出来ているし特にソウル調のFar East Manなんか結構きますね。
ポールの同時期のアルバム、Band On The RunやVenus & Mars、ジョンのWalls & Bridgesあたりと比べるとビートルズ色はかなり退色傾向に…
解散して4年、いつまでもビートルズ・ブランドで括られる事を良しとしないジョージは、このアルバムや北米ツアーで彼のソロとしての新たな立ち位置を示したいと思っていたのではないか?
そう考えれば、ジョージは旧メンバー間での脱ビートルズ・レースに於いてはDark Horse的存在だったと思えてくる。
かってのカミさんへの惜別の歌としてBye Bye,Loveのカバー・バージョンがアルバムに収録されているが、レコードのレーベルには何と新しいカミさんのお姿が!
流石仕事が早い!