CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

移住者のミュージック

2015年09月06日 | BRITISH ROCK
現在、数多くの日本のミュージシャンが、クラッシック、ジャズ、ポップそしてロックとジャンルを問わず世界で活躍しているが、特別な例外を除いて、ボーカルを含まないインスト・ナンバーに限られる。

他国でボーカルの能力を認められるには、歌が上手いだけでなくその国の言語をネイティブ・スピーカー並みに話す能力がなければ難しいと思う。その点英語圏の国々では、もちろん土地によって発音や単語の用法など異なる場合もあるが、意思の疎通に関してはほとんど問題がないと言える。

世界で6番目に大きい国土を持つオーストラリアの人口は現在2200万人を超えているが、1980年当時は1500万人弱で、国内のマーケットは国 土の広さと比べると非常に小さいものとなり、音楽で成功を収めるには、アメリカやイギリスに移住する必要があった。

そのためポップやロックで成功したオーストラリア出身のミュージシャンは結構いる。60年代末から80年代初旬にかけては、THE SEEKERS、AC/DC、 MIDNIGT OIL、 INXS、AIR SUPPLY、LITTLE RIVER BAND、MEN AT THE WORK、RICK SPRINGFIELD、 OLIVIA NEWTON-JOHN などなど多くのアーチストが思い浮かぶ。

その中で忘れてはならないのが、パイオニア的存在のBEE GEES。

イギリスに移住し1967年にオリジナル・アルバム(ファースト)を出してから、2001年に20作目の最後のオリジナル・アルバム THIS IS WHERE I CAME INを出すに至った。これ以外にも、大ヒットしたSATURDAY NIGHT FIVERを含むサントラ、ライブ盤やコンピ盤など数多く出してきたのは周知の通りである。

デビュー当初はメロディアスなフォーク・ロックもしくはソフト・ロックのサウンドで、アメリカに移住した中期にはディスコ系サウンドに変化、その後3人ボーカルを強調しアレンジもさらに進化した独特のポップ・サウンドとなる。

THIS IS WHERE I CAME INは、一般に60年代のBEE GEESサウンドに回帰したと言われている。まあ実験作のようなものと個人的には思うのだが。

“このアルバムのどこが60年代に回帰したのだ?”と言う方もいるかも知れないが、実際よく聴いてみると、7曲目のTECHINICALOR DREAMS(この曲はもっと古い時代の曲調である)を除いては、甘目のファルセット・ボーカルやまたファルセットを強調したコーラスが排され60年代の頃のシンプルなプロダクションとなっている。多分、曲のアレンジが60年代と比べて現代風であるため異なった印象を受けるのかもしれない。

全米16位、全英6位とまずまずの売れ行きであり、及第点の出来と言える。惜しむらくは、MASSACHUSETTSやLOVE TO SOMEBODYのようなシングル・カットすれば必ず大ヒット間違いなしのようなキラー・チューンが収録されていなかったことから、地味に感じるのは致し方ないこと。

2003年のモーリスの死去で活動は一旦停止、2009年再活動を開始したものの、2012年のロビンの死去により、BEE GEESとしての活動は完全に終わってしまった。

オーストラリアでのローカル・デビューから50年以上経つ偉大なバンドであるが、何故か日本ではビートルズやストーンズのような人気はない。

最近安価でボックッス・セットが出ているので、これを機にしてBEE GEES聴いてみてはいかが? ディスコ系の曲がヒットする前に出した、MR. NATURALは売れ行きも悪く地味かもしれないが、個人的にはなかなかよくできたアルバムと思う。

MR. NATURAL