風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

秋の京都ときどき登山 4-(1)

2016-02-05 | 近畿(京都・滋賀)
3日目からの続きです。

11月23日、旅の最終日。
昨日がんばった身体をいたわって、朝はゆっくり過ごします。
もしかしたら全身筋肉痛で動けない日かもしれないと思い、特に予定を決めていませんでしたが、思ったよりも身体はダメージを受けていません。
やったあ。いやいや、もっと後で来るのかも…。
10時にチェックアウトして、宇治の町を散策します。

○ 京阪のトーマス

三室戸駅を、カラフルな列車が通過していきました。
小さなホームからはるかにはみだした長ーい車両。
トーマスです。目立ちます。通り過ぎていくトーマスたちと次々に目線が合ってこわいわ!
静岡の大井川鉄道でも、トーマス機関車は大人気だそうですね。
かなり迫力があるらしいので、見てみたいような、見たくないような(笑)。



朝の散歩がてら、宇治川を渡って宇治駅へ。
はー、雅ですね。宇治を訪れるたびに、この町を流れる落ち着いた空気に、癒されます。



宇治駅名物の茶壺ポスト。
余裕で人が入れるくらいに大きいです。
郵便局員が集荷をサボっても、しばらくの間はあふれなさそう。



○ さあどこに行こう

京都駅に荷物を預けて、さてどこに行こうかと考えます。
本当に何も決めていなかったので。
去年の京都旅行で、最後に向かったわら天神にしようと決めました。
到着が5時すぎてしまい、閉門になって参拝できなかったのです。

バスの中から西本願寺。まだ平成の大修復中です。



まず、バスを降りてすぐ目の前にある、金攫(きんかく)八幡宮を参拝。
お金をさらうとは、なんだかご利益がありそうですね。
去年、わら天神に向かう途中でお参りした場所で、夕暮れ時の暗闇に隠れつつある迫力が半端なかったです。
寺社は、明るいうちの参拝がいいんですが、旅行中だと欲張って、ついぎりぎりまで回ろうとしちゃうんですよね。



明るい時に訪れると、なかなか広さを感じる境内でした。
境内には、大きなモチノキがありました。

○ わら天神

不思議な名前のわら天神。これは通称で、正式名称は敷地神社といいます。
前から気になっていたものの、なかなかお参りできずにいました。



ご祭神は、宇治の県神社と同じ、木花咲耶姫。
安産の守り神で、妊婦さんの参拝が多く、藁の護符を授ける場所なのだとか。



私がいる間も小さい子供を抱えたお母さんがお参りにきていました。
ご祈祷でしょうか。お札を返しに来たのでしょうか。

○ 広沢池行きバス

次はどこへ行こうかと、バスの路線図を見ると、広沢池行きのバスが来るようです。
嵯峨野の大覚寺には、風情たっぷりの大沢池があります。
その割と近くに、もっと大きな広沢池があるのは知っており、これまでにも何度か訪れようとしました。
大沢池から直線距離だと、そう遠くはなさそうですが、池同士を結ぶバスはなく、歩いて行くにはちょっと距離がありそうなので、まだ行ったことがないまま。
このバスに乗ったらたどり着けるのなら、行ってみよう。

金閣寺や竜安寺を通る観光ルートなので、社内はぎゅうぎゅうに混雑していましたが、二つのお寺を通りすぎると、一気にがらんと空きました。



仁和寺を車窓から見ます。仁王様を間近で見たのに、シャッターチャンスを逃してしまいました。

○ 池すぎちゃった

終点に着いてみると、そこは別のバス停発着所になっています。
あれ?
運転手さんに「広沢池はどこですか?」と聞いたら、「その道をまっすぐ行って、交差点を左折してください。すみませんねー」と言われました。

(通り過ぎちゃったのかな?ずっと起きていたはずなのに、意識を失っていたのかな?)と思って路線図をよく見てみると、広沢池のバス停のところに小さい文字で「変更あり」と書かれていました。
バス停が変更することってあるのー?
まあでも道を教えてもらったので、その通りにてくてく歩いていきます。



地図を見ると大きそうですが、観光ガイドブックには載っていない池。
とりたてて目立つわけではないシンプルな場所なんだろうと思います。
そこで飽きるまでのんびり景色を眺めていようと考えていましたが、池のほとりに行くと「秋の特別公開」とかかれた看板が掲げられており、なんだかにぎやか。

○ 庭園発見

なんだろうと近寄ってみると、そこではどうやら庭園を公開しているようでした。
え、庭園があるのね?知りませんでした。



予想外の状況に驚きながらも、入り口に向かってみます。
そこは、聖地平安郷というところでした。
普段は非公開の場所ですが、この日ちょうど一般公開をしていたのです。



え~、なに?
平安京じゃなくて平安郷。
世界救世教の敷地と知って、(知らない宗教だ。大丈夫かな)と緊張しましたが、熱海のMOA美術館を建てたところと知って、ちょっとほっとし ます。
中にいるのは、みんな信者の方々なのでしょうか。

○ 入るかよすか

「君主危うきに近寄らず」
「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」

一瞬、両方の言葉が頭の中でせめぎあいましたが、(ま、君主じゃないもんね)と、あっさり腹は決まります。
特に怪しい雰囲気はなかったし、中の庭園が見たいので、拝見させてもらうことにしました。
馬がいたら乗ってみるタイプ(=慎重じゃない)。



途中、こんな表示を発見。
イノシシが出るんですか!出るんですね!
かなり具体的な内容なので、通常モードで出るようです。

○ おさんぽタイム

敷地内は、とても美しく整備された庭園になっていました。
すばらしいわ。







今回は、残念ながら京都の紅葉は不作の年。
ずっと暖かい日が続いて、寒さで赤くなるタイミングがなかったようです。



紅葉狩りをするには、ちょっと物足りませんでしたが、最終日に思わぬところできれいな庭園を見られたので、嬉しくなりまし た。
まあ、ここも紅葉の最盛期ではありませんが、近くの嵐山もまだ赤くなっていないことを考えると、十分すぎるくらいです。



実がなっている木がありました。
かりん?なんだろう?
そう思って見ていたら、「食べられるのかなあ」とそばのおじさんもつぶやいていました。
おいしそうでした。





ここ数年は、京都市内に出るたびに、中国語と韓国語を耳にしますが、ここではいっさい聞こえてきません。
ほぼ日本人ばかりのよう。
会話はみんな京都弁なので、地元の人ばかりのようです。
ガイドブックなどに載っていないからでしょう。
前日の愛宕山とこの日の平安郷は、日本語オンリー、そしてほぼ土地の人のみのようです。和の国ニッポン!

○ 観光客より信者向け

その割に、トイレの注意書きは、中国語でも韓国語でもない、謎の言語でした。
上はタイ語?下はポルトガル語のようです。



普段開放していない場所なので、観光客向けではないでしょう。
信者さんに、タイ人とブラジル人が多いのかもしれません。

○ 野外de野点

竹林の前でたたずむ和服の女性。
なにかしら~?気になるわ~。



彼女が案内する先には、野点が行われていました。
着物姿の人もちらほら見えます。
広大な敷地の中で、緑に囲まれていただくお茶。とても気持ちがよさそうです。

でも、勇気がない私は、遠くから眺めるだけでした。
(きれいだな~)と思って辺りを楽しみながらも、よく知らないこの土地の持ち主のことを、やはりどこかで警戒しています。
何かあったら、すぐに懐刀で立ち回るわ!持ってないけど。



橋のたもとに一輪咲いているのは、カキツバタ?



花一輪。一輪ほどのあたたかさ。



○ cozy Japanese garden

敷地内には藁ぶき屋根の日本家屋がいくつもあります。
これは茶屋。管理は大変でしょうけれど、全てが美しく行き届いています。



竹林もありました。
手をかけていないようで実はかけている、これぞ日本の美ですね。



○ 石割の松

この岩の前で立ち止まって、しげしげと眺めました。
岩の中から、松が枝を伸ばしています。
みずみずしい自然の力ですね。
見ているだけで、力が湧いてくるようです。



盛岡地方裁判所にある石割桜を見た時にも感動しましたが、こちらも大きな存在感でした。
慣れない場所にドキドキしながらも、散策はその2に続きます。


秋の京都ときどき登山 3-(2)

2016-02-03 | 近畿(京都・滋賀)
3-1からの続きです。

念願の愛宕さん詣でが叶って、ほっと一安心。
チカラがタイムキーパーをしてくれており、予定通りのペースで登れました。
あまりにゆっくりしすぎると、下山の時間には暗くなってしまい、遭難する恐れがあるからです。



じゃあ休憩しようと、少し降りたところにあるベンチスペースで、お昼にしました。
参拝を済ませた人たちが昼食を食べていて、ハイキングのようです。
さっきまでの修行の雰囲気はなくなり、みんななごやかで楽しげ。
誰にとっても、頑張った末のミッションクリアですからね。

「夕べ、河原町で人と会ったけど、先斗町はどこも混んでいたから、に行ったんだ」と話したら、「えっ、普段使いしてる店だよ」とちょっとびっくりされました。
よそものだって、地元民の集う店に入るのよ~。

お弁当休憩をしてひと息つくと、自分を取り巻く辺りの空気が寒く感じられました。
麓と10度気温差があるということを、肌で感じます。

○ 登ったら降りる

じゃあ、下山しましょう。
まだ行程は半分残っています。行った分、戻らなくては帰れません。



さっきふうふう言いながら一段一段登ってきた石段。
降りるのも、それはそれで気を使います。
私は登山の後、安心による油断と疲れから、下る時に足を滑らせてよく尻もちをつくので、足場確認に気をつけなくてはなりません。

上から見ても「こんな急な坂道、よく登ってきたよね」というような道ばかり。
まだお昼を過ぎたばかりの時間ですが、もしこの山で遭難したら、えらいことになりそう。
登山道であるとともに、巡礼道なんですよね。
「山伏が出てきそう」とつぶやいたら、「なに、それ?」とチカラ。
「えっ、山伏を知らないの?」
びっくりです。
「ええとね、『勧進帳』でみんなが山伏の変装をするよ」
「え?」
それも知らないのね?
う~ん、今どきの若者だからでしょうか?
羽黒山にいる知り合いの山伏がここにいたらいいのに!でも山形はちょっと遠いですね。



○ やってきた登山ランナー

下から、軽快なステップで石段を駆け上がってくる人がいました。
(ええ、駆け登っているの?夢?蜃気楼?すごいなあ)と思っているうちに、どんどん近づいてきます。
「あれっ」とチカラが言ったのと同時に、その人が立ち止まりました。
「わあ、こんなところで会うなんて!」
突然盛り上がる二人。何が起こったの?
前の職場で一緒だった人だそうです。なんて偶然!



久しぶりの再会だそうですが、サクッと挨拶を交わした後は「じゃっ!」とその人は石段を軽快に駆け上っていきました。
疲れはみじんも見えません。
麓から神社まで、駆け上がるのでしょうか。
タフです。京都人、恐るべし。

「ええと、山伏は、ああいう人」と、かなりアバウトな説明で締めました。
「なるほど」と言っていたけれど、わかってもらえたかな…?



彼を見て、私たちも刺激されて、走りだし・・・ませんよ、ムリムリ。
明日は筋肉痛まちがいなしですが、なるべく痛みがひどくならないように、無理をせずにゆっくり降りていきます。
チカラも同じペースなので、気楽です。



○ 山と渓谷

片側が山、片側が深い渓谷といった細道は、注意が必要ですが、遠くに見える景色がきれい。
行きには周りの景色を楽しむ余裕がなかったので、帰りの道すがら、ちょこちょこと休憩を取って、景色を楽しみます。
横では、登りの人たちが死にそうな顔でゼイゼイいいながら休んでいます。さっきの私たちも、そんな感じでした。



ここは京都市で一番高い山ですからね~。
もちろん、京都駅よりも京都タワーよりも、伏見桃山城よりも高いのです。
どこよりも遠くまで見渡せるでしょう。



帰りも、私たちの周りには、ほかに人々がいたかと思うといなくなったり…。
休憩しているのかな?
実は蜃気楼のようにふっと消えてしまっているんじゃないかと思うと、かなりこわいので、口に出さずにいます。


大杉権現


○ 登山ランナー再びあらわる

しばらく歩いていたら、さっきの彼が後ろから走ってきました。
忘れ物をして戻ってきた・・・わけじゃありませんね。
しっかり登頂を果たし、参拝を終えてきたのです。
う~ん、並みの体力ではありません。
そして再び私たちを追い越して、みるみるうちに下っていきました。
本当にタフ!彼なら間違いなく、山伏になれるでしょう。



分岐点の水尾別れに差し掛かり、清滝方面を選びます。
さっき歩いてきた道なのか、もうわからなくなっています。
でもほかに分かれ道はないので、迷うことはありません。



ごつごつした木の根が地表に出ている場所に差し掛かります。
趣がありますが、歩くにはやっかいな道です。
上に乗るとバランスを崩しそうだし、引っかけてつまづいたら、転んでしまいそう。

○ お助け水

途中、「お助け水」という湧き水スポットがありました。
「あれ、ここ通ったっけ?」「通ったよ」
全く記憶にありません。
参拝者の喉の渇きを潤すお助け水。愛宕山の恵みを味わいました。



○ とうとう帰還!

狭い歩幅で慎重に急坂を降りていき、ようやく、元来たところへと戻ってきました。
最後の鳥居を出たところで、二人でハイタッチ。
やったねー!
お互い、感無量です。



「自分の力で登って降りてきたけど、3歳で登った時の記憶はかけらも思い出せなかったよ」とチカラ。
きっとお父さんの背中で、眠っていたのよ!"おとうさんありがとう"よ!



○ 愛宕さんへは月参り

昔からの言い伝えでは「愛宕は月参り」と言われているのだそう。
ムリムリ、ムーリー!
現代人間は軟弱なんですよ。
それでも、参拝する人は思っていたよりも大勢いました。
みんな、夢か蜃気楼でなければね!



車に乗り込んで、「フー」と大きく息を吐きます。
麓に戻って、刺すような寒さはなくなったとはいえ、やはりもう冬の気候。
登山中は味わえなかった暖房をつけて、ほっとします。

○ 心霊スポットその2

帰りは、違う清滝トンネルを通りました。心霊スポットを通らないときいて安心したら、「こっちにもあるからね、フフフ」とのこと。
ガードレール沿いに、真上から見下ろすように設置された、どう見ても不自然なミラーがありました。
「ミラーに自分の顔、映ってない?」
言われて、おそるおそるのぞき込みましたが、まるで映っていません。
「全然」と言ったら、「普通は写らない角度になっているから、自分の顔が見えたらダメ」なんだそうです。
もちろん、写真には撮っていませんよ。自分が写ったら、こうしてブログを上げなかったでしょうし。

行きも帰りもひやっと怖がらせてくれて、ありがとう~~(笑)

○ 祝か呪か

そのお礼・・・ではなく、日本一周ヒッチハイク終了記念に、祝い金太郎飴をプレゼント。
接写がうまくいかず、ピンボケしちゃいました。
「呪」じゃないですよ、「祝」ですからね。

それから疲れを取ろうと、カカオ濃度が高いチョコレートをつまみました。
2人で「うーん、苦い!」と顔をしかめます。
身体にいいのはわかりますが、本格的すぎて、薬レベルの苦さでした。
お口直しに、再び祝キャンデー。



嵐山のそばを通ると、一気に道路が混み出しました。
こんなに観光地に近いのに、完全に一線が引かれている、地元民の愛宕山。
なにか見えない結界でもあるのでしょうか。



○ 鴨川ふもとで解散

京阪の神宮丸太町駅のところで車から下りました。
チカラ君、どうもありがとう!今度は横浜に遊びに来てね。
この日のお返しに、とっておきの心霊スポットにご案内するわ、フフフ・・・。



彼は年が明けたら、海外に語学の武者修行に行くのだそう。
行ってらっしゃ~い。和装姿で旅立つのかしら。
山伏を広めてきてねー(結局ちゃんと説明できなかったけど)。



京阪の駅の隣を、鴨川が流れています。
辺りを散策しようかと思いましたが、宇治を散策することにして、そのまま京阪線に乗りました。
近いようで遠い宇治。移動に1時間くらいかかるのです。

宿に荷物を置き、レンタル中の自転車に乗って、宇治橋へ向かいました。
もう4時半。日が沈むまで、あと30分くらいしかありません。

○ 宇治サイクリング



まずは、夕暮れ時の橋姫神社を参拝しました。
ここのご祭神は、瀬織津姫。



紫式部の『源氏物語』宇治十帖にも登場します。
いつしか瀬織津姫ゆかりの神社を巡っている、今回の旅です。

○ あがた神社



平等院を守護する県(あがた)神社にも行きました。
ここのご祭神は、木花開耶姫命。
女神さまが多く祀られているので、宇治は優しげな雰囲気の土地なのでしょうか。



写真を撮るには明かりが足りなくなっていますが、実際はまだそう暗くはなく、空はきれいな青色。
名木百選に選ばれている、樹齢500年以上の大きな椋(むく)のご神木を見上げながら。

浮島十三重石塔のあたりでは、まだ普通に撮影できました。



ただ、平等院に着いた頃には、辺りはかげり始めてきました。
当時の色に塗り替えたので、見てみたかったのですが、拝観時間はもうおしまい。
まあ、また宇治には来られるでしょう。



○ 夜になりました

宇治川の欄干から、つながれた和船を眺めます。
風流だわ。
この日の日中、うっそうとした山の中にいたからか、先ほどの鴨川といい、この宇治川といい、今日はとみに大河に惹かれます。
「山」といえば「川」ですからね!?



本格的に夜になる前に、帰宅しました。
部屋に戻ったら、もう脚が疲れて動けません。
チカラに、「あの後宇治に帰って町の観光をした」と連絡したら、「ウソー!」と驚かれました。
自転車だったからね。歩きでは無理だったわー。
ゆっくり夜を過ごしました。

最終日に続きます。