風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

流氷・吹雪・北の果て(猿払、歌登)2

2013-03-01 | 北海道
1日目からの続きです。

○ メンバー集合
○ ノシャップ寒流水族館
○ 南極観測資料館
○ ノシャップ岬
○ 流氷
○ 宗谷岬
○ 猿払の帆立
○ 幻の魚・イトウのレクチャー
○ オホーツクミュージアムえさし
○ 謎のオホーツク人
○ 資料保管倉庫
○ ガマの糸組み体験
○ うたのぼりグリーンパークホテル
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○ メンバー集合

朝食はバイキング。塩辛がでているのを見て、驚きました。
チェックアウト後に集合し、今回のメンバー初顔合わせとなります。
羽田から飛行機で来た人たちと札幌から電車で来た人たち。
羽田組の中に、大阪出身の人がいました。東京まではバスだったそうです。

みんな「スノーシューを楽しみにしている」といい、札幌の人でもあまり体験しないことなんだなあと思います。
ところでスノウシューって、なんだかおいしそうな響きですよね。
六花亭のシュークリームにありそうです。

チャーターバスで出発です。

○ ノシャップ寒流水族館



まずは稚内ノシャップ寒流水族館へ。
入ってすぐにゴマフアザラシたちがたくさんいて、みんなで歓声を上げます。



ゴマちゃんがこんなに大勢!みんな、とっても愛想が良くてプリティー。



ただ、細かい雪が舞っていて、あまり外に長居はできません。
昨日から、北海道では雪が降っても傘は役に立たないと知りました。
風で四方八方に舞い飛ぶため、さしても意味がないのです。
パウダースノウなので、払い落とせて、あまり苦痛ではありません。



水族館の中には、クリオネやドクターフィッシュのほかは、よく見る魚ばかり。
正確に言うと、食卓でよく見る、食べる魚がメインと行った感じです。



上は小さなエイのようなカスベ、下は愛嬌のある顔のフサギンポ。



周囲45mの回遊水槽の中は海水だそうです。ホッケが泳いでいました。
ああ、食卓のお魚さん。おいしいのよね。

最大サイズの淡水魚、イトウもいました。
淡水魚ですが、餌を採りに海にも来るため、この水槽で泳いでいられるんだとか。



顔つきの悪いオオカミウオもいました。
ここの水族館はさかなクンもお気に入りだとのこと。地味で食べる魚ばかりがいますが、そういうものにするのがいいとアドバイスをもらったそうです。
たしかに、元の形を知らずに食べている海のものはかなり多いので、食育水族館というスタイルのものがあったら、嬉しいかも。



エゾメバルはたくさん。ガヤガヤいるからガヤと呼ばれるんだとか。
ニシン、スケトウダラなど、生きている彼らは美しい。
ミズダコも元気いっぱいにくねくね大きな吸盤を見せてくれました。





最後にペンギンが5羽、ちょんと直立していたのがかわいい。
アルビノの白いズワイガニもいました。



○ 南極観測資料館

それから、敷地内にある南極観測資料館へと向かいます。
トドの剥製の巨大さにびっくりしました。大人が3人、まとめて飲み込まれそうな大きさです。



プレハブのような建物で、いる間、ガタガタと風が強く吹き付け、気が気ではありませんでした。
引き戸の開け閉めはもう大変。二人がかりでようやく外へと脱出します。

すぐそばに、紅白のストライプが目を引く灯台が建っています。
高さ42.7mの稚内灯台。全国で第2位(道内1位)の高さだそう。
映画「喜びも悲しみも幾年月」のロケ地になった場所だそうです。



北海道では、こうした紅白の灯台が多いそうですが、それは雪で白い灯台が見えづらいからだそうです。
マリンストライプっぽくていいですね。

○ ノシャップ岬

そこからすぐのノシャップ(野寒布)岬へ行きました。
昨日、ホテルのフロントの人に「ここは夕日がきれいだけれど、今日は天気が今一つなので、夕焼けは望めないでしょう」と言われて行くのを止めていたところ。
つれてきてもらえて、ラッキー。雪の中のイルカさん。



岬を満喫したいのはやまやまですが、すごい風にあおられて、長居はできませんでした。身を縮めるようにしてバスに戻ります。
外にいたのは少しの間なのに、すっかり冷えきって、顔と耳がキンキンになりました。



ハンパない、宗谷の寒さ!
一緒にいた札幌の人もひどく寒がっています。やっぱり寒さの質が違うようです。

○ 流氷

予定では、山沿いのルートを通るはずでしたが、雪が多いということで、バスは海沿いのルートを通ることになりました。
オホーツク海を眺めながら、バスに揺られていきます。
流氷がずっと続いています。



流氷は、網走や紋別の方が有名で、稚内に来ることはめったにないんだそう。
去年赴任したという宗谷局の人も、見るのは初めてだと言っていました。
今年は寒いので、この辺りでも流氷が見られるんだとか。



温暖化が進んでいる昨今、冬になってもそのうち流氷は見られなくなるかもしれないとのこと。
北海道民は見慣れているものかと思っていましたが、札幌組も、初めて見るという人がほとんどでした。
「うわ~、流氷だー!!」と、東京組とリアクションは全く一緒です。
「だって遠いから、そうそうここまで来れないもの」
そんなものなのねー。



生まれて初めて流氷を見て、はじめは感動していましたが、あまりにも氷だらけなので、次第に見飽きてきました。
贅沢な話ですけどね。



○ 宗谷岬

宗谷岬に近づいてきました。さほど遠くないところに、雪で覆われた小さな島が見えます。
弁天島という無人島で、正確にはそこが最北端なんだとか。
でも、そこに記念碑は建てられないため、便宜上、宗谷を最北端にしているんだとか。
ええ?知りませんでした。なかったことにされている弁天島がちょっとかわいそう。
知らないまま、ここを訪れる人も多いんだろうなと思います。



宗谷岬に着きました。感動よりもまず押し寄せたのが、圧倒的な寒さ!
だって海沿いですからね。冷たい北からの海風をもろに浴びて、ふらつきます。
まさか流氷が浮いている海をバックに、最北端での写真を撮ることになろうとは。



宗谷岬の歌が鳴る歌碑もありましたが、あまりの寒さに近寄れませんでした。



そばには、間宮林蔵の銅像がぽつんと立っていました。
伊能忠敬もこの人も好きなので、寒さを忘れて一緒にパチリ。
彼こそが、最北端に立ち続ける銅像ですね。



先ほどのノシャップといい、ここといい、観光客は私たちだけです。
どこかにバスが停まるたび、バスガイドさんに「集合前に必ずトイレをすませてきてください。必ずお願いしますね」といつになく念押しされます。
なぜかというと、冬の北海道では水道管が凍って、使えない公共トイレが多いからだとのこと。
なるほど、そんな切実な理由があったとは。



○ 猿払の帆立

猿払(さるふつ)という村に入りました。
宗谷地方の中での唯一の村で、ほかは稚内市をのぞくと、全て町です。
日本一北端にある村でもあります。



ここは全国でも有名なホタテ王国。
つららの下がる笠井旅館で、帆立御膳の昼食をとりました。



帆立の混ぜご飯に帆立のフライ、帆立の刺身など、ホタテづくしです。
う~ん、厚みがあって大きなホタテ。豪勢です。



でも「今の時期は流氷がきて漁ができないため、出ているホタテはすべて去年の冷凍だ」と聞いてがっかりしました。
それは言わないで~。せっかく名産地まできたのに、冷凍~。
がっくりする私たちに「数週間後の3月中旬には漁取れたてのホタテを出すから、また来て下さいね」と宿のご主人。
それでも十分、味が乗っていておいしかったです。

○ 幻の魚・イトウのレクチャー

食事の後に、ご主人によるビデオ上映会がありました。
「ダーウィンが来た!」のイトウの特集です。
ご主人は、イトウの保護に取り組んでおり、この番組に撮影協力しているんだとか。
イントロに、ボートの舳先が映り、川を進んでいく映像から始まりますが、そのボートを漕いでいるのがご主人なんだそうです。
イトウは、魚へんに鬼と書くと初めて知りました。
なんだかおっかない字です。鬼ですかー。
確かに獰猛さがあり、鬼のよう。顔はナマズにも似ています。
巨大な口。何でも食べるんだそう。天敵もおらず、川の王者というかギャングの風格です。
20年も生きて、どんどん大きくなり、2m以上になる成魚もいるそうです。

産卵時、オスは体半分がきれいに赤くなります。鯉のぼりのよう。メスじゃないのが不思議。
サケに似ていますが、サケのように産卵しても死なず、成長しながら何回も産卵します。
それは、春に産卵して、栄養がたくさんあるからで、秋に産卵するサケとはそこが違うのだそうです。

イトウについて、これまで「幻の魚」ということしか知りませんでしたが、なんだかわかってきました。
スズキにも名前が似ているし、いったい味はどんなだろう?と思いましたが、イトウの保護活動中のご主人にとっては、食べるなんてもってのほかという感じ。
それでも、一度宿のお客さんがもってきたイトウを、おっかなびっくり裁いたことがあるそうです。
中身は肌色だったそうです。

ちょっと意外ですが、ワカサギや鮎も、鮭科だそうです。
それらの川魚の頂点に立つイトウ。
時々猛禽類に食べられるほかは、敵がいない天下無双の魚だそうですが、それでも幻といわれるのはなぜでしょう?

それは、そもそもの産卵数が少なく、さらにその数%しか生存できないため、絶対的個体数が少ないせいだそうです。
食物連鎖のピラミッドはよくできているものですね。

ここの地名は鬼志別。その隣の知来別(チライベツ)は、イトウが住む川という意味なんだそうです。
あと、猿払の地名は猿とは関係ないようです。
東京の猿楽町は関係あるのにね。

ほかに、アイリスのような愛らしい花が画像に映し出されましたが、それはエゾトリカブトの花だそうです。
う、うーん、見てみたい気はしますが…。

流氷がくると海の仕事ができなくなるということを、教えてもらって気が付きました。
北海道の漁業にとって大きな打撃なんですね。

稚内のFMわっぴーの人が取材に見えており、インタビューを受けました。

○ オホーツクミュージアムえさし

猿払を離れ、枝幸(えさし)へと向かいました。
ここは、夏は30度、冬はー40度になるという、寒暖の差が激しい町です。
道南の江差をつい思い出してしまいますが、この近くには、神威岬もあります。
道南の方も訪れたことがあります。



この辺りは日高山脈がオホーツク海に沈み込んで終わる地形となっており、そこが神威岬と言われるそうです。
私たちは、トンネルを抜け、その上を通ってきました。



オホーツクミュージアムえさしに着きました。
バスを降りてから入り口まで、外を歩くのはほんのちょっとだけなので、誰ひとり傘をさしていません。
ただ、吹きすさぶ雪にあおられ、外にいる時間がとても長く感じます。



オホーツク海は、太平洋や大西洋に比べて浅く囲まれた地形になっているため、凍りやすく流氷ができると知りました。

このあたりの海岸には、年に数回鯨が打ち上げられことがあり、絶命していれば新鮮なうちに肉をいただくという、鯨食文化です。
鯨を食べる文化は、枝幸含めて太平洋眼の町村にあるそうです。



この辺りで見かける動物たちの剥製が飾られていました。
その中にモモンガ発見。
生まれて初めてついたあだ名が「モモンガ」だった私は、グループから一人離れて、パチリ。
今ごろは冬眠中でしょうね。

司馬遼太郎がここのミュージアムを見学している写真がありました。
後に彼は「オホーツク街道」を執筆したそうです。
まさに自分の足で歩いて確かめる作家。

○ 謎のオホーツク人

学芸員の方の解説で、3世紀から13世紀まで、この辺りには、オホーツク人が住んでいたことを知りました。
なんと、日本人でもアイヌ人でもない、古代北方民族だそうです。
先年前に、このあたりで数百年間という短い期間だけ、文化を築いていたとのこと。知りませんでした。
死人に土器をかぶせて埋葬したそうで、子供の遺体には体に合わせた小さな土器がかぶせられていたんだそうな。



大きな縦穴式住居が復元されており、中にも入れました。
登呂遺跡の縦穴式住居よりも、なんだか進んでいる感じがします。
驚くことに、柱を上って上から出入りしていたんだとか。斬新!
雪対策だそうです。雪の重みで家がつぶれることもないし、暖を取れるので、考えましたね。
目梨泊遺跡が発掘されて、千年前の国際交流がわかったとのこと。。
彼らはクマを信仰しており、住居にはクマの頭蓋骨が無数に飾られていたそうです。

オホーツク人が姿を消した理由は謎につつまれていますが、彼らは擦文式文化人に吸収されていったのではないかと言われているそう。
さつもん式とは初めて聞きましたが、縄文ではなく擦って模様をつける文化だそうです。

3年前に、ゴメ島という無人島で、千年前の土器が見つかったそうです。
またこの辺りでは砂金も出て、今のお金に換算して100-150億円もの金が採れたそうな。

ほかに、北海道を代表する化石である謎の巨大哺乳類、デスモスチルスの話も聞きました。
ナウマンゾウだけではないんですね。

○ 資料保管倉庫

その後、通常は非公開の、資料保管倉庫を見学させてもらえました。
ギギギ…と、ゆっくり開かれていく分厚い扉を前に、司書としてテンションがあがります。
いつか展示されるものたちがひっそりと保管されていました。





ここでも学芸員さんが解説をしてくれます。
その話の中で、松浦武四郎という人の名前が何度か出てきました。
誰かわからず質問したら、三重出身の江戸時代の探検家で、北海道の名付け親なんだとか。
へえ、北海道の父のような人なんですね。民間アドバイザーとしていろいろ活躍したそうです。



枝幸は江差と響きが同じ為、松浦さんが「北見枝幸」にすればいいと命名したそうです。
北を見ると樺太が見えるから、宗谷+枝幸で北見、という意味で、特に北見市とは関係ないんだとか。
興浜本線の名残のプレートなども保管されており、(鉄道ファンにはたまらないだろうな)と思いました。



○ ガマの糸組み体験

そのあと、体験部屋に通されて、みんなでコースターをつくりました。
ガマの穂を使います。因幡の白兎気分。
ガマの穂綿でくるまれと~♪



ガマの穂を割いて並べ、そこに糸を組みながらコースターに仕上げていきました。
しめっているため、なかなかうまく進められず、みんな四苦八苦。



時間が足りなくなり、コースターまで仕上げられない人が続出しましたが、私は最後まで粘って何とか終了。
みんなに待ってもらい、記念写真も撮ってもらいました。



その後、今日宿泊するホテルに向かいますが、夜になるにつれてどんどん吹雪はひどくなってきています。
この日のホテルは歌登。四方を山に囲まれた山の中で、周囲に店は全くないとのことで、バスは西條スーパーに泊まり、みんな買い出しをしました。
ここは、道北にしかない店だそうです。
夜のつまみの買い出しというよりも、万が一雪に閉じ込められた時のための籠城用です。
そうはいっても、この時はまだ誰もがのんびり構えており、その日の夜のデザートくらいしか選んでいませんでした。

○ うたのぼりグリーンパークホテル

そうしてホテルへと着きました。
昨日は狭い部屋でしたが、うって変わって今回は広々とした部屋。
すぐに夕食になりました。
今回のツアーのために料理長が考案したメニューとのことで、料理長から説明があります。
山女魚の塩焼き、毒のない河豚の唐揚げ、鮭の三平汁など。
ホヤの塩辛というのが珍味。フグの揚げ物も初めてでした。



明日の早朝のダイヤモンドダストは、天候不良のため中止となったと言われ、肩を落とす私たち。
「ストッキングにドライアイスを入れてぶんぶん振れば、ダイヤモンドダストができますよ」と添乗員さんに教えてもらってびっくり。
自分でも作り出せるものなの?
でもなんかちがーう。
しかも、寒くないとできないため、北海道でないと無理だそうです。

明日のハイライトである鍾乳洞探検もどうなるかわからないとのこと。
鍾乳洞までのアクセスの道が除雪されないと無理のようです。

そんな、明日の予定がはっきりしないまま、当日の雪次第と言うことで解散。
のんびりしてから大浴場へと向かいます。温泉なのが嬉しいところ。
温泉は重曹炭酸水でした。湯峯温泉のつぼ湯のようにとても小さいです。なぜ?
自然の中なのに無線LANがつながるのも嬉しいところでした。

今回の同行者は、宗谷局の方3名にJTB旭川から3名、JTB札幌から1名。
札幌の添乗員さんは利尻島出身と聞いて驚きました。
利尻の人に会うのは初めて。
結構遅くなり、この日は2時半に就寝しました。

3日目に続きます。


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