風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

天空の郷、吊り橋三昧(白浜、飛鳥)3-2

2013-02-11 | 近畿(奈良・和歌山)

3-1からの続きです。

○ さわれる電話線
○ ⑪鹿淵(かぶち)橋(橋長150m、高さ24m)
○ 168→311
○ ⑫大川宮前橋
○ 中辺路の春日神社
○ 梅の里
○ 白浜
○ 特急くろしお
○ 天王寺
○ ふたつの道明寺
○ 橿原神宮前
○ 民宿北村

○ さわれる電話線

ダムを後にして、さらにR168を南下しました。
昨日、新宮から十津川に入って最初に見た吊り橋を探します。 つまり、和歌山との県境近くにある橋です。

十津川にあるのは、細いくねくね道だけではありません。
五条新宮道路と呼ばれるR168には、きれいに整備された、広い七色高架橋もあります。
川沿いのドライブラインで、とっても気持ちがよく、山に囲まれながらもサザンなんてかけてみたくなったりします。

この道路の下にあるようなんだけど… 地図を頼りに、ちらちら見え隠れする川を必死に眺めます。
あっ、発見!
ただ、整備道路のため、停める場所が見当たらずに、和歌山まで行ってしまいました。
もう一度戻って、駐車できる場所を探します。 うろうろした挙句に、少し離れた場所にようやく停めることができ、車から降りました。

そうしている間に、再び八木新宮線がやってきます。
あ、今日2台目の奈良交通バス! どちらも新宮発八木行きでした。ユンケルさ~ん!

十津川を走っていると、道路沿いの山肌をつたって、ずっと黒いコードが張られていることに気が付きます。
「あれはなんでしょう? 答えは電話線でーす」とpino。
えーっ、びっくり。電話線がさわれちゃうの?
これまで、電話線は地下にあるものと思っていた私には、大きなカルチャーショックでした。

風雨にさらされて、すぐに摩耗しないのかしら?
すさんだ気持ちになった誰かがハサミでチョッキンしたら、えらい騒ぎになってしまいます。
まあ、日本一親切な村には、そんな悪さをする人はいないんでしょうけれど。

店はどこも閉まっていて、動いているのは行き交う車だけ。 シーンとしている中で、貴重な人の姿を見かけました。
おばあちゃまが、石段を休みながら、ゆっくりゆっくり上がって行きます。 おばあちゃん、がんばって。
でもここに住む人たちは、私たちよりはるかに基礎体力があるんでしょうね。
辺りに相変わらずひとけがないのは、この日も変わりません。 車道の脇をひたひたと歩いていくため、通り過ぎる車から視線を感じます。
「地元民じゃなさそうな人間発見!なぜこんなところを歩いてるんだろう?」と思っていることでしょう。

○ ⑪鹿淵(かぶち)橋(橋長150m、高さ24m)

細道に逸れ、どんどん下って橋へと近づいていきます。
途中、見たことが無いものがありました。 どうやら、対岸へものを運ぶワイヤー吊りのバスケットです。

野猿の荷物版といったところでしょうか。
こういうのがまだ現役で使われているんですね。本当にすごいところです。

橋に辿り着きました。ここは足場に鉄板が渡されていて、安心して目をつぶっても歩けます。
これまでずっと、ギシギシ鳴る木板の上をそろりそろりと歩いてきた身には、安定感が頼もしいけれど、この強靭さがどうにも物足りないわー。

よく見ると黒いコードが伸びています。「これは電話線や電気線」とpinoに教えてもらいます。
つまり、橋向こうに住んでいる人がいるということですね。
くねくねしたコードは均一的で美しく、おちる影がアーティスティックで、張った人の美意識が見えました。


反対側まで行くと、集落への細道がありましたが、今回は時間があまりないため、そこで戻ることにします。
帰りには、今車で通ってきた、R168の七色高架橋が真上に見えました。
新旧の橋の交差がドラマチック。
 

七色高架橋って、名前がすてきですね。この辺りが七色という地名なのですが、まるで虹を意味しているようです。
近代的で、アーチカーブはありませんが、遠くまで続く白い線は、山々に映えてとてもきれいです。

○ 168→311

これで十津川の吊り橋巡りは終了。 十津川、今はさようなら~。
短い滞在でしたが、素敵な体験がたくさんできました。 忘れられない場所になるでしょう。
廃道・酷道好きのpinoは、酷道と名高いR425や、そこを並走する県道735号を通って龍神温泉に行きたかったようです。
ただ、酷道すぎて425号は冬季閉鎖。 それに、この辺りは普通道でも十分ハイレベル。
もうこれ以上のレベルアップは望みません!
というわけで、R311を通って田辺方面へと向かいました。
道路が広くてカーブも少なくて、「なんていい道!最高!!」と、二人で口々にほめそやします。
でもちょっと待って、普段、道路っていったら、こういう道があたりまえなのよね?
十津川ロードは本当にすごかったです。サバイバー資質をいろいろと試される場所でした。


トンネルをいくつも通っていきます。まだまだ山間部。吊り橋巡りで時間がなくなり、pino希望の途中の立ち寄り温泉は無念の素通り。
ごめんねー。でも、初めは私の吊り橋熱に押されてながら、いつしかその魅力に目覚めて、最後にはノリノリだったので、結果オーライです。

途中、材木を運ぶトラックを見ました。 (北海道で、積み藁を運ぶトラックの後ろについた時には、藁が後ろにたくさん飛んできたなあ)と思い出します。
今回は、藁で視界不良になることはないだろうと思いましたが、よく見るとやっぱり、細かい木の皮が後ろに飛んできていました。

○ ⑫大川宮前橋(橋長46m、高さ9m)

ドライブ途中、吊り橋を見かけました。
「あっ、吊り橋!」
すぐに車を止めてそばまで行ってみる行動が、もうすっかり定着しています。
橋を見かけたら通り過ぎない、これはもう、今回の旅の鉄則です。

最寄りのバス停は、大川の吊り橋。 旧中辺路町を通る川に架かる橋です。

十津川の吊り橋は、中央部分にのみ板が張られていましたが、これは歩道スペース全てに横板が張られており、スリリング感はありません。
これまで、よく渡り慣れている橋のパターン。 辺りを見回しながら快適に、足元に気を配ることなく渡れました。

○ 中辺路の春日神社

吊り橋を渡ったところには、小さな神社がありました。 中辺路町の春日神社です。
真っ黄色の鳥居が人目を引きます。
めずらしいなと思ってよく見てみると、色のはげたところからは、朱色がのぞいていました。
前は普通の朱鳥居だったのが、なにかの理由で黄色く塗り替えたようです。

本殿は春日造。3つの神殿に、主祭神の天児屋根命、配祀神の誉田別命(応神天皇)、そして比売大神、神功皇后、菅原道真が祀られています。
三本の巨木に守らて、古めかしい静けさが漂う、歴史を感じる神社でした。

また吊り橋を渡って戻ります。
今回の旅では、12個の吊り橋を訪れました。
そのうち一つ(中原橋)は渡れませんでしたが、こんなに一度にたくさんの吊り橋を渡るのは初めてのことで、大満足。
「吊り橋天国」を存分に堪能しました。

○ 梅の里

しばらく車を走らせると、もうすっかり山岳地帯からは離れています。 梅の木がそこここに見られるようになりました。

そう、ここは梅の産地、紀伊。 ちょうど季節ですし、梅林に行きたかったのですが、時間が無くて行けません。
残念でしたが、でもさすがは梅の里。あちこちに梅の木があり、どれもつぼみがほころびかけているため、ドライブをしながらも、充分お花見を楽しめました。

○ 白浜

快適に白浜に到着。目指すレンタカー屋が廃墟になっていて(もしや浦島太郎?)と慌てましたが、電話をしたら、駅前に移転していました。 カーナビは古いまま。予定通り1時半に返却。
とうとう白浜に辿り着きました。予定よりも早めに駅前にレンタカーを返却します。
ピノちゃん、お世話になりました!
しらはまー!和歌山に戻ってきました。
海が近くなり、パームツリーを見かけ、一気にリゾートムードが高まります。
ここはアドベンチャーワールドの最寄り駅なので、とにかくパンダ一色。
パンダは四川の厳しい寒さの中にいると思っているのに、温暖な白浜がもこもこパンダの町になっているのが、なんだか不思議。

これは顔ハメパネル?身体が隠れないー(笑)。

これも顔ハメパネルですが、顔を出すところがもはやよくわからなーい(笑)。
ここからは電車で移動になります。 出発まで1時間近くあり、ふらふらうろつきたい私とゆっくりしたいpinoは、出発まで別行動をとりました。
初めて訪れる白浜をさっそく散策しようと思いましたが、駅前には何もありません。
海岸までは結構距離があり、近くに白い浜辺があるわけではないとわかって、がっかり。
白浜まで来たのに、白浜を見られないなんて―。
駅前の土産物屋のパンダグッズを見て歩きました。 


○ 特急くろしお

発車時間が近づき、京都行きの特急くろしおに乗り込みました。

今回の旅行で始めての電車。車窓を楽しみながら、駅弁を広げます。
pinoは手毬唄弁当、私はパンダ弁当にしました。

手毬唄弁当の箱には「鞠と殿様」歌詞が書かれています。
てんてんてんまり てんてまり~♪
そういえば、この歌、紀州の殿様の参勤交代の話だったわ!
ここから江戸へと徒歩(かち)で向かうなんて、考えただけでも大変。お国の一大事だったでしょうね。

やっぱりパンダ好きとしてははずせない、パンダ弁当。
パンダ焼きののぼりを初めて見た子供の頃は、「なんて残酷な!」と泣きそうになりましたが、今ではもちろんお弁当にパンダが入っているなんて思いません。
からあげ弁当でした。土地の名産南高梅がとてもおいしかったです。
どこがパンダなのかは、気にしないことにして、おいしくいただきました。

田辺の辺りでは、車窓からも梅園が見えます。ぜいたくな梅特急です。
電車は海岸沿いを通って行き、夏に訪れた高知の海景色を思い出しました。

○ 天王寺

気がつくと、車両には関西弁が飛び交っています。
ほぼ全員が喋っているような感じ。関西度100%。
和歌山は関西からのアクセスがいいからでしょう。
逆に関東からは行きづらいんですが。

明るい車内も、しばらくするとみんな眠りだし、シーンと静かになりました。 私もうつらうつら。
しばらくすると、老いも若きもみんな起き出して、車内は再びニギヤカになります。
眠るのと起きるタイミングが、なぜかピッタリ一緒という感じに、修学旅行のバスを思い出しました。
初めは誰もが興奮してワイワイ元気だけれど、しばらくするとみんな寝落ちして、シーンと静かになっていましたね。

どういうわけか電車はどんどん遅れていきます。
途中、何度もアナウンスが流れましたが、最後まで原因をはっきり教えてくれませんでした。 それが関西流かしら?
乗り換え接続できなくなった長距離電車も何本かあるようでしたが、車内は特に殺気立ったムードはありません。
みんな、平気なの?
「切符の払い戻しできるんやもんな」という声が聞こえますが、それでいいのかしら?
2時間の予定が、天王寺に20分遅れで着きました。
ここから大阪阿部野橋に移動します。
地表に出たら、ビルが立ち並ぶ大都会で、クラクラしました。
こんなコンクリジャングル、人は住めないわ!(東京を忘れている)

さらに春には、「あべのハルカス」という日本初のスーパートール(高さ300メートル以上の超高層ビル)ができるんだそうな。
えーっ、ちっとも知りませんでした。 われらが横浜ランドマークタワーが抜かされちゃうなんてショックー。
概観は、渋谷ヒカリエに似ていました。

出発まで少し時間があったため、ちょっと中を散策してみます。
近鉄百貨店と隣接しているため、(大阪のデパ地下ってどんな感じかな?)とわくわく入ってみると、女子たちでビリビリ殺気立っており、大荷物の私は(お、およびでない・・・)と早々に退散しました。
そういえばもうすぐバレンタイン。中は戦場だった…。
ホームへ上がると、「長野」行きの電車が停まっていました。
えー、この電車、ながのまで行くの??

びっくりして固まっていたら、pinoが「河内長野でしょう」と言いました。
え?でも、これじゃあ誤解するわー!(私だけ?まさかね)
なぜ「河内長野」ってちゃんと書かないんでしょう?これは長野行きに違いない!
pinoに近鉄路線図を見せてもらっても、まだ疑いを解いていない私です。

○ ふたつの道明寺

近鉄吉野線に乗りました。
窓の外にはきれいな夕焼けが見え、少しずつ日が陰っていきます。 ああ、もうすぐ夜になるわ。
途中、道明寺駅を通りました。 和歌山でも道明寺近くを通っています。
あれ、でも、べつよね?
道明寺といえば、「恩讐の彼方に」を地でいった、安珍清姫物語。
とんとんお寺の道成寺~♪
子供の頃に覚えた歌を、今でも全部歌えます。
これ「かまくら」の歌と同じく、詣でる時の道案内歌なんですね。
大阪の道成寺は…和菓子の方かしら?(間違ってるかな?) 

○ 橿原神宮前

目指す橿原神宮前駅に着いた時には、6時になっており、もうとっぷり日が暮れていました。
不思議な構造の駅で、線路を越えて反対側の口へと向かいます。
タクシーに乗り、今日の宿に向かいました。 運転手さんはとてもおしゃべり。
どうも冷え込むと思ったら、さっきみぞれが降ったんだそうです。
明日は雨だと聞いて、がっかりする私たち。
飛鳥村に続く道が細くてびっくりします。やはり昔ながらの道なのでしょうか。

○ 民宿北村

明日香村の宿に着きました。この地方の雰囲気によく合った、感じのいい民宿です。
優しそうなおかみさんに、出迎えてもらいます。
この日の宿泊客は私たちだけ。夕食は、リクエストを出していた飛鳥鍋。

もともと飛鳥地方に伝わる鍋料理ということで、恩田陸もかつて、取材のためにこの宿に宿泊したことがあるとのこと。
とても興味がありました。 牛乳をベースにした、素朴で優しい食べやすい味でした。

いろいろ調達をしに、コンビニへ行こうと道を聞いたら、最寄りの店まで10分以上道を戻ることになりました。
少し距離があるとはいえ、数日ぶりに見るコンビニは、やっぱり便利。
歩いていった辺りは、かつてゴルフ場で、その土地に1000戸家が建ったと、先ほどタクシーの運転手さんが話してくれました。
帰り道、迷いそうもない場所なのに、星空に見とれていたら、道を間違えてしまいました。
うっかりいにしえの世界に入り込みそうになりながら、迷って帰宅。
宿の人はいい感じにほっておいてくれて、気楽です。 のんびり就寝しました。

4-1に続きます。



最新の画像もっと見る

post a comment