風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

筑波宇宙センター特別公開 2

2019-12-21 | travel

その1からの続きです。

● その4 環境試験設備ツアー

JAXAの敷地内を歩いて、S-10棟へと向かいました。
11:30から行われる「環境試験設備ツアー~人工衛星の開発現場を見に行こう!」というイベントに友人が応募し、当選したのです。
それが、今回つくばまでやってきた、一番のきっかけになりました。

受付の人に「今回初めて開催されるイベントなので、人気が高くて、当選倍率は6倍でした」と教えてもらいました。
ラッキー! 友よ、どうもありがとう!
 

パンフレット
 
● 厳重な準備

ここS-10棟は、筑波宇宙センターで一番大きな建物。
「総合環境試験棟」といって、人工衛星の組立・システム試験、そして、人工衛星が宇宙環境に耐えうるかのいろいろな環境試験を行う場所です。

中に入る前に、参加者は全員キャップをかぶって髪の毛を隠し、白衣を着て、靴にカバーを付けます。
みんな、給食のおばさんのような格好になり、荷物を置いて、中へと入ります。
撮影は禁止。厳重な管理下にあることが感じられます。

● 高さはガンダム、長さは超大型巨人

中に入ると天井が高く、首を伸ばして見上げる感じ。
「ガンダムが入る高さです」と担当者。ということは18m以上ですね。

棟の真ん中には巨大な廊下がまっすぐ通っており、両側にはいくつもの部屋に通じる巨大なシャッターが閉じています。

「この廊下には、進撃の巨人の超大型巨人が横になれます」との解説。
ということは60m以上の長さがあるんですね。

例えがわかりやすい! そして担当者さんはマンガ好きね! (私も!)

 ● スペースチャンバー

建物内の一番大きな部屋に入りました。
ここにあったのは、人工衛星をマイナス160度の環境でも耐えられるかを調べる、熱真空試験装置。
マイナス160度に調節なんて、できるものでしょうか? いったいどうやって?
きちんと説明してもらいました。

内径13m、奥行16m のチャンバーに衛星を入れて、内部を真空にし、熱環境を模擬して宇宙機の耐環境性を試験するのだそう。
内部を真空にする?さっぱりわからないけど、すごい技術が駆使されているんでしょうね~。

● ロケットの発射音

そのほか、この建物内には、振動試験や、音響試験を行う設備が設置されています。

別の部屋は音響試験をするチャンバーで、ロケットの発射音を聞かせてもらいました。
「種子島宇宙センターまでこれを録音しに行った」とJAXAスタッフが話すと、参加者の中から「私たちも見に行きました」と声が上がりました。
女性二人連れでした。やはり宇宙好きの人が集まっているんですね。

ちなみにロケットの打ち上げは立ち入り制限区域外、つまり発射場から3km以上離れた場所でないと見られないそうです。
 
衛星に縦揺れと横揺れを加える装置もありました。
 
● 質問コーナー

最後の質問コーナーでは、参加者からいろいろな質問が上がりました。
みんな熱心で専門的なことを聞き、スタッフを「おお」とうならせました。

足元にテープの跡が残っているのを「これは何ですか?」と質問した人がいました。
言われてみれば、たしかにどこか不自然で、なんとなく気になります。
「よく気が付きましたね」とスタッフは驚きながらも「宇宙に連れて行くラット(だったかな?)の脱走防止の目張りの跡です」と教えてくれました。
ネズミちゃんが逃げ出して精密機械の中に紛れ込んだら、大騒ぎになってしまいますからね。

説明の中で「鎌倉に実験所がある」と聞き、ちょうど翌日に鎌倉に行く予定の私たちは気になりました。
今回の質問コーナーはハイレベルだったし質問も多かったので、その場ではなく、ツアー終了後に出口へ歩いている時にスタッフに聞いて、三菱の研究所内だと教えてもらいました。

三菱は、だいち2号やこうのとりの初号機〜7号機など、JAXA向け衛星の打ち上げを行っています。

● ラミネート新聞

ツアー終了後、白衣を脱いで建物から出る時に、ラミネート加工されたJAXA新聞をもらいました。
それには、先ほどスペースチャンバー前で記念撮影した写真が載っていました。

わあ、記念になるわ。みんな給食係みたいだけど。

● 体験会の人数制限

ツアーが終わり、外に出て歩きます。
「ロケット打上げ音響体験」に参加したいとの友のリクエストで、会場のC-3棟に行きましたが、体験会は時間が決められており、人数制限もありました。
次の回はもう定員オーバーになっているそうなので、「またあとで来ます」と言って、その場を離れました。

● 宇宙飛行士養成棟

『宇宙兄弟』が好きな友は、敷地内を歩きながら、聖地巡礼をしています。


JAXAが聖地巡礼マップを出しています

C-5棟へ向かうと「そう、ここ!」と興奮しはじめました。
ここには、宇宙飛行士の訓練や閉鎖環境適応訓練を行う設備があります。
ロビーには、歴代宇宙飛行士の写真がずらりと並んでいました。

ちなみに、JAXA宇宙飛行士は、若田光一さん、野口聡一さん、古川聡さん、星出彰彦さん、油井亀美也さん、大西卓哉さん、金井宣茂さんの7名。
4人の元宇宙飛行士、毛利衛さん、向井千秋さん、土井隆雄さん、山崎直子さんの写真も飾られていました。

● 宇宙飛行士の服

入口すぐのところに、宇宙飛行士の服が飾られていました。
アポロ11号時のものでしょうか。これを六太がのぞき込むシーンがありますね。

ほかにも宇宙服が並んで飾られていました。
プロジェクトごとにワッペンが異なり、同じプロジェクトに参加した人たちでもまた一人一人デザインが異なると知りました。

例えば油井飛行士は、亀美也という名前から、亀をデザインしたワッペン。
金井飛行士は、名前に金が入っているので、ゴールドを使ったワッペン。

反転した鏡文字になっているものもありました。

● その5 めぐりあいJAXA

次は、入口すぐの場所にある、総合開発推進棟に行きました。
一番目立って気になる建物です。
ここでは子供たち対象の水ロケット教室や大人対象の、昇級試験クイズラリーなどが行われており、人でごった返しています。

一つの部屋に入り、「めぐりあいJAXA」という映像を眺めました。
球体スクリーンに衛星「だいち」が捉えた地表の画像が投影されます。

何の説明もない無声映画なので、どの辺りの地形なのかわからずにめんくらいましたが、途中で係員の説明が入り、北海道から沖縄まで4か所の土地が映し出されているとわかりました。

● その6.宇宙開発のいま・むかし

建物を出て、お次はS-1棟に入りました。
先ほど歩いている時に金ピカの大きな物体が視界に入って、気になっていたのです。

 
大きい…! そして金ピカ…!

これは、環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II) 。
世界各地での異常気象、南極のオゾンホールなど、地球規模での環境変化の実態把握のための観測をする衛星です。 年に一度の特別公開の日にしか公開されないそうです。
とにかく遠くからでもキラキラと目立ちます。
宇宙を旅していて、これと出逢ったら、驚くでしょうね。

● なぜか民族衣装

宇宙飛行士の宇宙服の隣に並んで、民族衣装が展示されています。
これも、どこぞのアジアの国の宇宙服?

いいえ、中央アジア、カザフスタンの民族衣装でした。
ソユーズ宇宙船(35S)で地上へ帰還した搭乗クルーが、着陸地のカザフスタン共和国で行われた歓迎セレモニーに参加した時に着た服だとのこと。
つまり、ミッション遂行中は左の宇宙服を着て、終了後は右の民族衣装に着替えたということです。

重さは1.7kgもあるそうですが、宇宙服は100キロ以上あるので、クルーたちにとってはまったく問題ないでしょう。 


ロシア船外宇宙服、Orlan-MK space suit

オーラン-MKモデルは現在、国際宇宙ステーションで利用されています。
重さは120㎏(ほらやっぱり重い!)、生命維持は7時間。

● 「あじさい」に感激

見たこともないほど巨大なミラーボールがあると思ったら、人工衛星「あじさい」でした。


人工衛星「あじさい」

観測を担当しているのは、海上保安庁海洋情報部と国土地理院。
1986年に打ち上げられてから30年前、ずっと宇宙に咲き続けている、息の長いあじさいです。

以前、人工衛星図鑑を見ていた時に(マニアック?いやいや)、きれいだなあと思って記憶していた「あじさい」の機体を、実際に見られる日が来るなんて、感激。
とても美しいです。これが時にキラキラと反射しながら、宇宙を渡っている様子を想像すると、ひたすらロマンチックな気持ちになります。

● シャトルバス

そろそろ、宇宙飛行士講演会の時間が近づいてきました。
広い敷地内を歩き回って、足がくたびれてきたし、なにより灼熱の空の下、アスファルトからの照り返しが体力を奪います。
そこで、会場までシャトルバスで行くことにしました。
乗り場には長い列ができていましたが、それほど待たずに乗れました。

 
謎のでっぱり

先ほど内部ツアーに参加したS-1棟の横を通って、敷地の端にあるW-4棟まで快適に移動。
ここにも宇宙飛行士姿の人がいて、写真撮影に応じていました。

● その7 宇宙飛行士の講演会

「大西・金井宇宙飛行士が教える宇宙のリアル!」というタイトルです。
開場してからまっ先に取りに行った券でしたが、通し番号は104番目。
でも、そこそこ前の方でした。

大西さんと金井さんが交代で講演会を行い、私たちは14時の金井飛行士の回を聴講しました。
大西飛行士は元ANAのパイロットで、金井飛行士は元お医者さん。
2人とも、前歴もスゴイ人たちなのね!

国際宇宙ステーションでの過ごし方についての話で、担当のお医者さん(山田生理的対策責任者)も、一緒に登壇して、筋力トレーニングなどの宇宙での運動について語られました。
元海上自衛官でもあった金井さんは、運動はお手の物だそうです。
 
質問コーナーでは、会場の子どもたちから元気に手が上がりました。
ブラックホールが好きだという子供に「私はちょっと怖いかな」と答える彼。
一般人よりもずっと身近でしょうから、リアルに怖いでしょうね!
「宇宙は境目がなく、決して特別なところではない」という言葉が印象的でした。

● その8 こうのとり3D映像

次は、同じ棟内で見られる、3D映像体験ルームへ。
放映中だったので、外で待ちます。7分ほどの映像なので、待つのも苦ではありません。

タイトルは「こうのとり運用の歴史」。宇宙ステーション補給機 「こうのとり」の打ち上げから地球への帰還までの映像を、3Dメガネをかけて鑑賞します。
せまりくるような、大迫力の映像でした。

● その9 回収カプセル公開

ISS補給船「こうのとり」7号機が宇宙から持ち帰り、昨年11月に地球の洋上に落とした、HTV搭載小型回収カプセルの実物が公開されていました。
ちょうど「こうのとり」の映像を見てきたばかりなので、わかりやすいです。

カプセルは直径84cm、高さ約66cmの円錐状で、質量約180kg。重いんですね!
小型回収カプセルによって、宇宙ステーションからの物資回収に成功したのは、日本初の快挙でした。
ここに至るまでには、さまざまな試行錯誤のドラマがあったことでしょう。

 

オレンジ色のフロート・パラシュートはとても大きく、広げられた形で天井から吊るされているのを見ると、小林幸子の衣装のようでした。
 
● その9 ロケット打上げ音響体験

次にC-3棟へ向かいました。
目指すは先ほど定員オーバーで入れなかった「ロケット打上げ音響体験」。
最終回の15:30を残すのみとなっており、その回に入ろうと、並んで待ちます。
これまでずっと人数制限がかかっていましたが、最後の回だけは、希望者を全員中に入れたため、建物内には立ち見の人がごっそりいました。

 

「大変大きな音が出ます。補聴器をご使用の方、大きな音が苦手な方、心臓の弱い方、小さなお子様、年配の方はご注意ください」との注意書きがはじめに出ました。
どれだけ大音響なんでしょう…?

いろいろなロケットの打ち上げ音を聞かせてもらいました。
おなかにズーンと響く音。これが、発射地点から3Km地点で聴く音なんですね。
これはすごいわ・・・!たしかにこれ以上近づいたら、身体に影響ありそうです!

初めのうちこそ、違いがなんとなくわかりましたが、いろいろ聞いていくうちに区別がつかなくなり、しまいにはどれも同じに思えるようになってしまいました。
通の人は、発射音を聞いただけで、何のロケットかわかるのかしら?
きっとわかるんでしょうね~。

● ベジラーメン

音響体験を終えて建物の外に出た時には、15:50になっていました。
JAXAの特別公開は16時に閉門になるため、みんなでぞろぞろと出口へ向かいました。
めいめいに、心地よい疲労感を背負いながら。

もう時間とにらめっこする必要はなくなったので、ゆっくりと帰ります。
東京駅まで戻り、ラーメンストリートにある「ソラノイロNIPPON」へ。
ミシュラン東京に3年連続で載ったお店です。

ラーメン店とは思えない内装で、女子力高めの女の子の部屋に遊びに来たみたい。
店内も、ほかのお店よりも女性率が高かったです。
テーブル調味料に岩塩があるのも、オサレな感じでした。

ここで頼んだのは、特製ベジソバ!
パプリカが織り込まれた平打ち麺の色にびっくり。
オレンジ色の器にオレンジ色のスープと麺なんて、常識をひっくりかえすカラーリング!

 

大きめ野菜はどれも素材の味が活きたおいしさ。スープはマイルドで、野菜のうまみが出ていました。
麺はモチモチとした食感で、トータルでおいしいラーメン。
また食べてみたい味です。

● epilogue

この日は猛暑日で、JAXA内のドリンクは軒並み売り切れ。
暑さを耐えながら、広い敷地内の建物を移動するのはしんどかったですが、例年はこれほど過酷な暑さではないので、もっと快適に動けるはずです。

暑い暑いといいながらも、はりきって早起きし、開門を待って朝一番に入った私たちは、閉門時間までずっと、フルに遊び倒したことになります。

宇宙センターは、日本で一番宇宙に近い場所。
年に一度の大規模特別公開は、宇宙好きにはたまらないイベントですね。
この日の来場者数は、1万人を超えたそうです!

私も開場時間を目いっぱい使って、いくつもの研究棟を見学。
いっそう宇宙に興味が湧きました。

宇宙センターは、まさに夢とロマンと最新技術の宝庫ですね。
とても楽しかったです!

<script type="text/javascript" src="chrome-extension://hhojmcideegachlhfgfdhailpfhgknjm/web_accessible_resources/index.js"></script>

<script type="text/javascript" src="chrome-extension://hhojmcideegachlhfgfdhailpfhgknjm/web_accessible_resources/index.js"></script>

<script type="text/javascript" src="chrome-extension://hhojmcideegachlhfgfdhailpfhgknjm/web_accessible_resources/index.js"></script>

最新の画像もっと見る

post a comment