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東芝142年の歴史にひび 内輪の論理が仇 時価総額4分の1

2017年08月09日 08時33分49秒 | 気になる株

 

2017/08/09 07:28  日経速報ニュース    1367文字  
 今年で設立142年の東芝。米原子力発電事業の巨額損失を巡る会計問題のゴタゴタの末、ようやく財務局に提出する2017年3月期の有価証券報告書には監査人から「限定付き適正」という不名誉な意見が付けられる見通しになった。監査法人を代える代えないでもめた揚げ句に得た結論は上場廃止リスクをひとまず後退させたが、市場で大きな不信を買い、1875年以来の歴史にひびが入った。東芝の再生への道のりは険しい。

 「経営者の力量不足だ」。東芝の失敗の本質を、大半の市場関係者はこう断じる。

 日本企業の失敗のタイプには、山一証券や旧日本航空のような問題先送り型のほか、シャープや総合スーパー、マイカル(現イオンリテール)といった過剰投資型などがあるが、東芝はこの2つの側面を併せ持つ。

 野心的な挑戦が責められるのは筋違いだ。ただ、国の支援もよりどころに原発事業に前のめりになり、将来性が怪しくなっても責任の所在をあいまいにした。内輪の論理を優先した結果の経営悪化は日本的組織運営にありがちな末路ともいえる。

 「からくり儀右衛門」と呼ばれた発明家、田中久重が東京・銀座に工場を創設したのは、文明開化初期の1873年。その2年後に田中は東京芝浦電気(東芝)の前身となる電信設備メーカー、田中製造所を設立した。1963年には日本初の原子力用タービン発電機を完成。84年の「東芝」への社名変更後は半導体がけん引役となり、89年に株式時価総額は4兆6000億円に達した。しかしいまは、その四分の一だ。

 「第二・第三の東芝をつかまないようにするには、どこをチェックすればよいか」。こんな海外投資家の問い合わせに、あるアナリストは次のように答えるという。「まず海外で買収した事業の収益性。さらには会計基準が米国か否か」。

 東芝が採用するのと同じ米国会計基準を挙げるのは、日本基準と異なり「のれん」の定期償却が必要ない分、今回の東芝のように買収先の業績が悪化すると一気に損失処理しなければならないからだ。

 ただし、仮に東芝が米国会計基準でなかったとしても、経営の失敗が未来永劫(えいごう)、封印されるわけではない。隠蔽体質、無責任体制が生むうみで、いずれ経営は行き詰まる。

 QUICKによれば、今年で設立100年を超える日本の上場企業数は137に上る。このうち継続的にデータがとれる113社について、1984年から直近までの株価パフォーマンスを調べたところ、東芝やNECなど39社は下落していた。コングロマリットで経営資源が分散したり、産業構造の変化への対応が遅れたりした企業が目に付く。

 事実上、東証しか株式売買の場がないのも問題だ。東証が流動性を意識しすぎるあまり、上場企業の新陳代謝を妨げている可能性がある。

 ドル箱の半導体事業を手放し、廃炉事業の展望も描きにくい東芝に現時点で明るい未来を描くのは難しい。一筋の希望は、IBMやインテルなど80年代に日本企業との競争でコテンパンにやられた米企業が、その後、IT(情報技術)という新種の武器を手にして復活したという前例だ。東芝には、これを機に過去を一切断ち切って、豊富な技術力と知見を武器に自由な発想で、見たことのないサービスや商品を打ち出すことに期待したい。〔日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一〕


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