ringoのつぶやき

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DJ-【コラム】米政界で広がる「部族主義」、分断の中に分断

2017年04月04日 09時47分48秒 | 政治

 

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJチーフコメンテーター

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 ワシントンにおける問題はもはや、政治のまひを引き起こす単なる党派主義ではない。ワシントンはある種の部族主義に滑り落ちかねない危険にひんしている。

 医療保険制度改革法(オバマケア)や連邦最高裁判所判事の指名を巡る争いは、分断が共和・民主党の間にとどまらないことを示唆している。各党の内部にも分断があり、場合によっては分断の中に分断があるのだ。

 ドナルド・トランプ大統領とその政権運営が持つ二極化の性質がこの分断に拍車を掛けている。ただし根はもっと深い。ベテラン政治家のトム・コール下院議員(共和、オクラホマ州)は「私からみると、これらの分断の大半はトランプ大統領以前からある」と述べ、「彼は分断を作ったのではなく、そこに踏み込んだのだ」と説明
した。確かに分断は、政治・イデオロギー的な再調整が進んでいる兆しとも考えられる。

 オバマケア代替法案は、共和党内のイデオロギー的対立のなかで撤回された。一方、民主党は最高裁判事に指名されたニール・ゴーサッチ氏の承認阻止を目指す過程で、上院規則変更にまで共和党を追い込むどうかで意見が分かれている。税制改革やインフラ支出についても同じ運命が待ち受けているかもしれない。ホワイトハウス
がそれを避けるには、境界線を曖昧にして「部族横断的」な政権運営基盤を形成することだ。

 ワシントンは今のところ以下5つの部族に分断されている。

<トランプ族>

 このグループはトランプ大統領と顧問、それ以外の政権関係者からなる。トランプ氏は基本的に独立した勢力であり、共和党指導部から限られた支持しか得ずに政権を勝ち取った。ホワイトハウスで彼を取り巻くのは限られた政治経験しかない人々が大半だ。

 政権当局者の忠誠心は議会を運営する党よりもむしろ大統領に向けられており、共和党議員の多くも政権当局者に対して限られた忠誠心しか感じていないようだ。このことは、オバマケア代替法案の惨敗が物語っている。


 トランプ氏自身の忠誠心は主にワシントンの外の有権者に向けられている。そして、それらの有権者はトランプ氏の味方だ。ギャラップが2、3月に実施した世論調査をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のダンテ・チニ記者が分析したところ、トランプ氏の支持率は全国的には下がったが、労働者層および同氏の基盤をなす
アパラチア山脈周辺地域では上昇していた。

 

<議会をコントロールする共和党議員>

 政府を全面的にコントロールする機会を数年間待った経験を経て、たとえ妥協を意味しても党が何かを実現できることを示さなければならないと考える共和党議員。

 コール氏は、このグループに属するのは下院共和党議員237人のうち約70人だったが、オバマケア代替法案の失敗が警鐘となって増加したと推測。現在では100人かそれ以上だとみている。上院議員も多い。

<フリーダム・コーカスの共和党議員>

 このグループの中核をなすのは下院で最も保守的な共和党議員40人ほどだ(正確な人数は分からないうえに変動もある)。掲げる原則にかなわないと考えたことから、オバマケア代替法案に反対した。

 過去にフリーダム・コーカスに同調した上院議員に、テッド・クルーズ氏、マイク・リー氏、ランド・ポール氏がいる。トランプ氏がここ数日フリーダム・コーカスに矛先を向けてきたのを受け、メンバーは反発している

<ネバー・トランプの民主党議員>

 一部の民主党議員は、何についてもトランプ氏には協力しないと心に決めているようだ。正確な人数は把握しづらいが、バーニー・サンダース上院議員は彼らのそうした感情をよく代弁する。3月31日には、トランプ氏を「詐欺師」と呼んで、同氏を支持した有権者を弁護した。

 民主党支持者の激しい反トランプ感情もそうした面を増幅させている。共和党側から言及があったように、民主党全国委員会のトム・ペレス委員長は先週、集会で演説し、反トランプ氏の民主党支持者は同氏が「大統領選に勝たなかった」と感じていると述べた。

<トランプ氏支持もあり得る民主党議員>

 中道から保守の民主党議員。多くはトランプ氏が制した州を地元とし、案件によってはトランプ政権と協力することにやぶさかでない。例えばハイディ・ハイトキャンプ氏(ノースダコタ州)、ジョー・マンチン氏(ウェストバージニア州)、ジョー・ドネリー氏(インディアナ州)の上院議員3人は、ゴーサッチ氏の最高裁判事指名を支持する意向を示してきた。同僚議員の大多数が反対しているにもかかわらずだ。

 こうした民主党議員がホワイトハウスに協力する可能性は「ひとえに案件が何かで決まる」とハイトキャンプ氏は話す。「何もできないほど井戸が汚染されているのか否かの問題だ。答えはノーだと思う」

 実際、上院をコントロールする共和党議員と、協力する姿勢のある民主党議員の組み合わせは、部族主義のワシントンで法律を成立させる道として最も可能性が高い。民主党のハイトキャンプ、マンチン、マーク・ウォーナー、クレア・マカスキル上院議員、共和党のボブ・コーカー、ジョン・マケイン、ロブ・ポートマン、ラマー
・アレクサンダー上院議員といった面々が鍵を握る。

 彼らが最高裁判事の指名を巡る対立を防ぐことはできないかもしれない。だが税制改革という次の大きな試練も控えている。
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