1)日銀の追加金融緩和策の発表で、日経平均が戻り高値を超えた。
2)株価と移動平均線の位置関係から、上昇トレンドが続く可能性が出ている。
3)高値警戒感と先高期待が重なるときには、出遅れ銘柄を探す方法がある。
◆日銀の追加金融緩和策の発表で戻り高値を超えた
本日の昼過ぎに、日銀の追加金融緩和策が発表されました。追加の内容は、資産買い入れ基金の10兆円増額(長期国債5兆円、短期国債5兆円)、買い入れ期限を2013年6月末から12月末まで延長するというものでした。
株式市場は、発表を控えていたためにもみ合いでしたが、日銀の発表をきっかけに急上昇となりました。為替市場でも緩和策が好感されて1ドル=79円台まで円安が進んだこともあり、日経平均は8月20日の9222円の高値を超える展開になりました。
日経平均が高値を超えたことで先高期待が強くなりましたが、昨日の段階で日経平均の5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを達成しています。現在の株価と移動平均線の位置関係が何を示しているのかといえば、「株価>短期移動平均線>中期移動平均線>長期移動平均線」となり、一般的には上昇トレンドの強気パターンになったということになります。
今回の株価と移動平均線パターンをもとに、最近の相場で同じような傾向がなかったか調べてみたところ、2010年11月に起きていました。
2010年11月は、奇しくもFRBがQE2を発表したときでした。その後3ヶ月程度の上昇トレンドが続いていますが、だいたい「株価>短期移動平均線>中期移動平均線>長期移動平均線」の傾向が続いています。
◆高値警戒感と先高期待の綱引き
チャートから上昇トレンドになる期待がうかがえるのですが、問題になるのが高値警戒感です。上昇トレンドがはっきりすればするほど「高い水準で買わないといけない」ことになってしまいます。
高値警戒感が強いのは、日経平均よりも欧米市場の方です。米国のNYダウやドイツのDAXともに、上昇トレンドのオーバーバリューに届くほどの上昇になっているからです。
両指数ともに上昇トレンドの上限まで上昇していますので、高値警戒感が強くなっていると考えられます。さらに高値を買うだけの良い材料が出ない限り、いったんは調整する可能性が高まっていると思います。
日経平均も本日の戻り高値超えによって、上昇トレンドになる期待が高まる一方で、短期的な高値警戒感も強くなったと考えられます。
先行して上昇した欧米株が利益確定売りで押し目をつくり、日経平均も連動して調整するかもしれないので、上昇中の高値を追いかけて買うのも警戒感を投資家が感じていると考えられます。
しかしながら、心理的には下値不安もないので、「何か買いたい」という意欲が強くなっていると思われます。こうしたときの投資家としては、「まだ上がっていない出遅れ銘柄を探す」ことを考えると思います。
通常の相場ですと、出遅れている銘柄は、業績が悪かったり、不人気の可能性もありますが、しばらく上昇トレンドが続く可能性があって高値警戒感が強いときには、出遅れている銘柄に資金が回ってくる可能性があります。