鞦韆院落
北京で過ごすインディペンデント映画な日常
 

学院  


賈樟柯が院長をしている上海バンクーバー電影学院が、3月入学の学生募集をしているというニュースを見ました。

今年6月に賈樟柯が上海バンクーバー電影学院の院長になったというニュースがあり、いったい上海なのかバンクーバーなのかわけわからんと思っていましたが、どうやら上海大学がバンクーバー・フィルムスクールと組んで上海に作った学校らしいです。
教員の8割はバンクーバーから来ているそうで、英語で授業を行い、中国人のアシスタントがつくのだとか。
映画制作、3D視覚効果、メイク、音声デザイン、演技、脚本などのコースがあって、高卒程度の学生を16〜20名募集しています。
どれも1年制で、公的な学歴にはならないそうです。

驚いたのは学費で、なんと17.8万元もします。
今日のレートだと約290万円。
(ちなみに北京電影学院は年間1万元程度)
これでも多くの応募がくるのだろうから、ボロい商売ですね。
中国にも金持ちが増えたということでしょう。
最近、王宏偉が学校経営に興味を持ってるのも頷けます。

日本だと、卒業後に映画で食べていける人はわずかなわけで、映画学校に高い学費を払う価値がどれほどあるかは微妙ですが、中国は映画産業が儲かっているし、人材はまだまだ必要とされているので、もしかすると学費分はもとが取れるかもしれません。
映画のスタッフのギャラは日本より高そうですからね。

入試は15分の面接(ネット面接も可)と、中国語と英語による筆記試験があるそうです。
外国人も応募可能らしいので、興味と金のある人はどうぞ。
賈樟柯院長がどれくらい学校に来るのかは知りませんが。

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榴蓮  




友人から榴蓮包が送られてきました。
榴蓮はドリアン、包は肉包(肉まん)とか菜包(野菜まん)などの包子のことで、つまり「ドリアンまん」です。
中国に長く居るけど、ドリアンまんは初めてです。

もっとも、これはポピュラーなものではなく、この友人が自分の店で作って売っている商品です。
通常の包子が蒸すのに対し、これはオーブンで焼いているので、正確にはドリアン・パンですね。
箱を開けるなりドリアンの匂いが凄いです。
温めて食べると美味いというので、オーブンで少し熱してみたら、部屋中がドリアンくさくなりました。
中の餡は、ほぼドリアンそのもので濃厚。
ドリアン好きにはたまりません。
癖になりますよね、ドリアンて。

中国では、どこのスーパーでもドリアンを売っています。
多くがタイからの輸入品で、100gあたり十数元なので安い果物とは言えませんが、日本に比べたらかなり安いでしょうね。
日本では売ってるのを見たことがないので、いくらするのか知らないけど。

ドリアンは、海外から日本に持ち込みが許されている数少ない果物のひとつで、関税は10%ほど。
そう考えれば、もっと日本で流通していてもおかしくない気がするのに、2015年で65トンしか輸入されていないとのこと。
それに比べて、中国は2014年のデータで31万トン
なんじゃ、この差は。

価格が高いとか、スーパーなどが臭いを嫌がって置きたがらないとか、そもそも日本では臭いが強すぎて売れないといった理由もあるかもしれないけど、これだけ流通が少ないと、匂いを嗅いだこともない人のほうが多いんじゃないでしょうか。
東南アジアに旅行に行った時に食べたことがある、という程度かもしれません。
中国の消費量から考えたら、日本でももっと売れていいはずで、食べれば好きになる人も多いと思うんですけどね。

ただ気になるのは、日本での消費はどんどん低下しているんですよね。
2003年の15%程しかない。
人気が落ちたってことでしょうか。
日本で「ドリアンまん」を広めて、ひと儲けしようなんてのは無理ですかね。

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上課  


北京は大気汚染がまた一段と悪化しています。
それでも街でマスクをしている人は1〜2割ですかね。気にしてない人も多いです。
気にしてたら北京で暮らせない、というのはありますが。

遠く台湾からは金馬奨で『八月』が最優秀作品賞と最優秀新人俳優賞の二冠を獲ったとか、日本からはフィルメックスで『よみがえりの樹』が最優秀作品賞を獲ったというニュースが入ってきて、嬉しい限りです。

私はといえば、今日は人民大学で授業をしてくれと言われて、出かけてきました。
以前にも人民大学のイベントで話をしたことはありますが、今回は2コマ連続の授業ということで、3時間ひとりで喋らなければなりません。
中国の独立電影について話すつもりでいたら、依頼主の郭先生に「それはちょっと……」と難色を示されてしまいました。
え、そうなの?
私から独立電影を抜いたら何が残るというのやら。

郭先生は、日本のインディペンデント映画について話してくれと言います。
私なんぞが話すのは、日本にいる数々の専門家には恐れ多いけど、これまで中国で日本のインディペンデント映画の上映などに携わってきた身としては断るわけにもいかず、語ることになったのでした。

今回のは学部の授業ではなくて、土日だけ来る二年制の研修班というやつで、学生は若い人から40代くらいまでバラバラ。
地方から土日だけ北京に来て受講する人も結構いるそうです。
調べたら、学費は2.4万元でした。
中国の学費も上がってきましたね。

大きめな教室に入ると、受講生は20人ほどしかおらず、かなりバラけて座っていました。
一番前の席に、髪の長い、スラッとした若い女子がひとりで座っていました。
授業が始まる前に化粧を直していて、なんだか香水の匂いも漂ってきます。
やっぱり研修班は違うなあと思いつつ、授業を始めました。

映画の授業だから、影像を流せばいいわけで、ネットで拾った古い映画などを流しながら、拙い授業を3時間もやり、ちょっと疲れました。
まあ私がとにかく強調したのは、「濱口竜介を観ろ」ということです。
郭先生はいたく興味を持っていました。
とりあえず一安心。

授業の後で、数名の学生が質問に来ました。
こういうのは嬉しいものです。
最前列にいた例の女子学生も来て、「微信を交換してください」と言ってきました。
後で彼女の微信を見たら、なんとプロのファッションモデルでした。
すげーな、研修班。
こんな授業なら毎週やってもいいかも。

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動画  


映画館の前を通ったら、『ONE PIECE FILM GOLD』のポスターがありました。
現在公開中みたいです。
ONE PIECEは中国でも海賊王と呼ばれていて人気がありますが、映画が中国で公開されるのは初めて。
何らタイアップなどもせず、大した宣伝も行わず、ただ公開しただけで最初の週末に6000万元以上の売り上げを叩き出したというから凄いことです。
私の友人にも行った人がいたので聞いてみたら、声は吹き替えじゃなくて日本の声優の声だったと言ってました。
もともと日本版をネットで見てきた人たちにとっては、中国語の吹き替えだと違和感があるでしょうからね。
この映画も日本で公開されてすぐにネットで違法コピーが出回ったそうですが、ファンはそれでも映画館で見たがるようです。
とはいえ第二週になるとガタ落ちしており、1億元には届かないかもしれません。

ちなみに中国語のタイトルは『航海王之黄金城』。
みなが慣れ親しんでいる海賊王という名ではなく、航海王となっているのは、海賊が主人公とあっては教育に良くないということでしょうか。
正規の単行本では以前から航海王という名前が使われていたようですが、まったく浸透しておらず、いまだに海賊王が一般的です。
このあたりからも正規版と海賊版の影響力の差が見て取れる気がします。

映画館では『君の名は。』の予告編も流れていました。
12月2日から公開されるのです。
これも中国では早くから海賊版がネットに流れていて、見た人も少なくないようですが、今はかなり削除されています。
配給会社がクレームをつけているのでしょう。
中国では同じ新海誠監督の『秒速5センチメートル』もネットでかなり知られており、『君の名は。』がヒットする可能性もありますが、果たしてどうでしょう。

実は、今年は中国で日本アニメがたくさん公開されている、記念すべき年です。
なんと以下の6本が公開。

2月18日『BORUTO-NARUTO THE MOVIE』1.03億元
2月26日『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』0.37億元
7月22日『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』1.03億元
9月23日『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年 』0.25億元
11月11日『ONE PIECE FILM GOLD』
12月2日『君の名は。』

これまで実写を含めた日本映画全体で1年に2,3本でしたから、アニメがこれだけ公開されるというのは異例です。
ちなみに今年は実写の『寄生獣』(0.48億元)、『ビリギャル』(0.37億元)もありました。
日本映画が8本も公開されたのはもちろん初めてで、外交関係の問題で数年前まで日本映画が公開できなかったことを考えるとウソのような展開です。
しかも、ちびまる子ちゃん以外は現時点での今年の映画興行成績ベスト100に入っています。
年間の海外映画の輸入枠が60本ほどですから、合格しているといえます。
ただ、『ズートピア』が15.3億元、『カンフー・パンダ3』が10億元、中国国産アニメ『大鱼海棠』が5.64億元だったことを考えると、まだまだ大ヒットとは言えないでしょう。

ともかく、日本映画がたくさん見られるのは良いことです。

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済南  


しばらくブログを放置しておりましたが、日本での滞在を終えて中国に戻ってきています。
帰りは安い上海便を利用し、普段なら上海から直接北京へ行くところを、今回は済南に寄ってみました。

済南は山東省の省都で、それなりに大きな都市ですが、同じく山東省にある青島に比べると知名度も低いし、観光地としての魅力もいまひとつ。
なので、私も今まで興味を持ったことがありませんでした。
でも、中国の省都はだいたい行っているのに済南を知らないというのもどうかと思って、訪ねることにしたわけです。
幸い知り合いもいるので。

ホテルを予約すべくネットで探しました。
北京や上海が200元〜なのにくらべ、ここは100元代前半からあります。
物価は少し安いみたい。
でも、外国人が泊まれるホテルがとても少ないのです。
なんで?省都なのに。
やっぱり、外国人あんまり来ないんですかね。

済南は上海から高速鉄道で4時間ほど。ここから北京までは2時間です。
油断して事前に高速鉄道を予約せずに駅に行ったら、どれも売り切れで3時間あとの列車しかチケットが取れませんでした。
普段からこんなに混んでいるとは。
毎日ほぼすべての列車が乗車率100%って、考えたら凄いことですよね。
おかげで、夕方に着くつもりがすっかり遅くなってしまい、友人との食事の予定も無くなってしまいました。

一晩明けて今日、どこか見て周ろうかと思ったのだけど、これといった観光地もありません。
世間的には、済南は泉がたくさん湧く街として知られていて、泉城とも呼ばれています。
なので、泉が湧いている池が公園になったりしていて、そういうところが有名らしいのですが、わざわざ40元のチケットを買って泉が湧いてるところを見る気にもなれず、私はパス。
ただ、大明湖という湖は見ておけと言われていたので、歩いて行ってみました。
湖までの小道は、湧き水が流れる運河があったりして良い雰囲気です。



湖に着くと、スモッグがすごいので、ビルがひとつも見えず、湖の向こうに塔がぼんやり霞んで見えて、情緒があると言えばあります。



済南は中国でも大気汚染ワースト10に入っている都市なので、みんなマスクをしています。
北京よりもずっと深刻なのです。
うーん、こんな都市には住めん。

湖から歩いていける所に、有名な肉まんの店があるということなので、行ってみました。



1斤40元とあります。
肉まんはふつう1個とか、せいろ1つとかが単位なので、斤と言われてもピンときません。
テーブルを見わたすと、せいろで食べてる人が多かったので、せいろ1つぶん頼んでみました。
宋荘では、せいろで出る肉まん(小籠包的なものとは違う、ミニ肉まん)は一口大のが8個くらい入って6元とかです。
ここのは20元と少し高め。
でも15個もありました。



一人で食べるにはちょっと多すぎます。
味は悪くないのだけど、かなり塩気が強め。
済南料理は塩辛いことで全国的にも有名です。
こんなの毎日大量に食ってたら、寿命が縮みますね。

天気も良くないので、屋内で過ごしたいと思い、洪家楼天主堂へ行ってみることにしました。
ここは中国三大天主堂と呼ばれるもので、110年以上の歴史があります。
私はイタリアで各地の教会を見てまわっていたので、中国のカトリック教会がどんなものか興味を持ちました。

バスを乗り継いで洪家楼へ行くと、道路から大きな教会が見えました。
なかなか立派なものです。



正面から見ると高い塔が2つそびえています。
真ん中のマークはイエズス会のものですね。





中ではミサが行われていました。
観光客もいっぱいいて、係員は「自由に写真を撮ってください。きれいでしょ」と言ってました。
こういう対応をする教会は中国では珍しいかも。
なるほど、確かにきれいです。
ここも文革のころはメチャクチャに壊されていたんでしょうね(20年間閉鎖していたそうです)。

教会前から山東省博物館に行く路線バスがあったので、博物館にも行ってみることにしました。
ただ、山東は歴史ある省なので、それなりの文物があるだろうと期待していたのだけど、目ぼしい物はありませんでした。
愛国教育コーナーがえらく場所を取っていて、また自分たちの仕事である考古学を解説するコーナーも広すぎるくらいあって、目的が需要とズレてる博物館という感じでした。
ミュージアムショップもつまらないし、ガキが走り回ってるし、もうがっかり。



夜になって、知人と食事をしました。
知人は店をやっているので、週末は忙しいのに、時間を作ってくれたのです。
知人はひとり友人を伴っていて、3人で済南料理の店に行きました。
地元の名物と言われるものを頼んでくれて、どれも食べたことのないものばかりで興味深かったです。
アヒルの卵の黄身が入った獅子頭とか、なかなか美味しいのですが、とにかくどれも味が濃くて、塩辛かったです。
北京も塩辛いけど、それ以上ですね。
中国を旅していて困るのが、独りだと現地の名物料理を食べたくても量が多すぎて注文しにくというのがありますが、こうして何人かで食べることが出来るのはありがたいです。

もう見るべき所は見た気がするので、明日北京へ戻ります。
済南の印象は、青島に比べるとちょっと垢抜けなくて、やや大きめな華北の小汚い街という感じですね(失礼)。
正確には山東省は華北ではなく華東ですが、イメージとしては河北省とかに近いです。
運河のある辺りだけは素敵でした。

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西安  


一時帰国するため、東京への航空便を探していました。

北京ー東京の便は、上海ー東京の便に比べて金額が高めです。
上海だとLCCが多く、Peachも就航したりしてかなり選べるようになりました。
ただ、深夜に羽田に着くものが多く、やはり不便です。
LCCでなくてもデルタとか往復2000元以内で買えるチケットもわりとあります。
それに比べ、北京は安くても2900元とかです。

私は最近上海から飛ぶことが多いのですが、たまには違うところに行くのもいいかと、いろいろ探してみたところ、西安ー成田が片道約900元で売ってました。
海南航空が昨年末に就航させた路線です。
海南航空は西安(厳密には咸陽空港)をハブ空港にしていて、国際線を数多く飛ばしています。
2月にイタリアへ行ったときも西安経由でした。

早朝のフライトではありますが、この値段なら北京から西安への移動や宿泊を入れても安くつくので、ついでに西安観光もできます。
10年以上西安を訪れていなかったので、行ってみることにしました。

観光で有名な西安ですが、最近はいくつか映画祭もやっていたり、大学も多いし、文化都市でもあります。
第五世代を有名にした西安電影製片廠もあるし、独立電影の監督の中にも杜海濱など西安出身者がいます。
ただ、知り合いの監督にいま西安に住んでいる人はいません。
知り合いといえば、『春夢』に主演していた趙思源くらい。
ということで、さっそく彼女に連絡を取りました。

彼女の本業は女優というより大学教授で、西安外事学院影視芸術学院の院長(学部長)をしています。
傍らで舞台の演出などもやっていて、最近は演出兼主演をつとめる「白鹿原」が好評で、全国で公演をしているところ。
大変忙しい人なのですが、わざわざ時間を作ってくれて、会うことができました。
地元の人しか知らないという裏路地の店についれて行ってもらったり、美味しいものをいろいろ紹介してもらいました。

ところで、東京行きの便は朝8:10に飛びます。
空港までは1時間ほどかかるので、遅くとも6時前の空港バスに乗らなければなりません。
ところが、西安から空港までのバスはほとんどが7時以降で、5時台から出ているのは西稍門から出る路線のみ。
というわけで、西稍門の近くのホテルを取らなければなりません。
西安の安いホテルの多くは外国人を泊めることができず、西稍門にある如家や漢庭はどこも泊まれません。
しかたなく、バス乗り場から1キロほど離れた全季酒店に泊まりました。
全季は漢庭グループの高級版ですが、西安はホテルの相場が安いので、予約サイトで取れば200元ほどです。
部屋やサービスは申し分ありません。

早朝にホテルをチェックアウトし、暗い道を歩いていると、タクシーの運転手から声をかけられました。
「空港のバスにのるんだろ。30元で行くから乗れ」
乗り合いとはいえ、30元は随分安いです。
バスより少し高いだけだし、バスよりは早く空港に着くので、乗ることにしました。
ほかに3人の客を乗せ、出発。
途中、運転手は屋台のあるところで降りて、菜夹饃を買ってました。
まさに西安という感じ。

空港に6時半に到着したものの、チェックインカウンターが開いていません。
イタリアに行ったときと同様、ギリギリになるまで開かないようです。
それでもみんな並んでいて、ほとんどが中国人のよう。
しばらくして職員がやって来て、受付が始まりました。
私の番になり、パスポートを出すと、「1列目は200元です」と言います。
何のことかと思えば、200元払えば最前列にアップグレードしてもらえるということのようです。
もちろんそんな必要は無いので断りましたが。

イミグレはほとんど人がおらず、いたってスムーズ。
ヘタに北京とかの空港を使うより、ストレスがなくていいかもしれません。
ただ、セキュリティーチェックではこれでもかというくらい体をまさぐられました。

飛行機はB737-800でした。
飛距離の割には小さめの機体で、液晶モニタもありませんが、本でも読んでいれば4時間で着くのでまあいいです。
後ろの方の席はかなり空いていて、ゆっくりもできました。
このフライトにしてまずまずだったと思います。

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再会  


栗憲庭電影基金の上映が復活したことは、以前にもお伝えしました。

国慶節の休みでしばらく休んではいましたが、また毎週末に上映をするようになっています。
ここのところはずっとドキュメンタリーで、15日は范倹の『吾土』、栄光栄の『孩子不惧怕死亡,但害怕魔鬼』が上映されました。

『吾土』はベルリン国際映画祭や釜山国際映画祭でも上映された、注目されている作品です。
家の立ち退きを迫られながらも、頑として留まっている家族を何年にも渡って撮ったもの。
いわゆる釘子戸というやつで、このテーマの作品は『鉄西区』をはじめ数々が撮られてきたので、今更感は否めません。
それでも、よくこれほど長期間撮ったなという感じはするし、よく出来ています。
監督は来てませんでした。

『孩子不惧怕死亡,但害怕魔鬼』は貴州省で起こった児童4人の服毒自殺事件に触発されて作られた作品。
ただ、思いだけが空回りしているところがあって、気持ちは分からなくはないのだけど、よく出来ているとは言いがたかったです。


そして、22日には黎小鋒、賈愷の『昨日狂想曲』と沙青の『独自存在』が上映され、黎小鋒と沙青も来ました。

黎小鋒は、2013年に山形国際ドキュメンタリー映画祭にも来ていて、私にとってはそれ以来の再会でした。
彼は、普段上海の同済大学で映画を教えながら、夫婦でドキュメンタリーを作っています。
作品が多い方ではないですが、同時進行で幾つもの作品を撮っていて、長期に渡って撮影している作品も多いです。



『昨日狂想曲』も長期間に渡って撮られた作品。
2007年、たまたま彼は街で「雷鋒に学べ」という宣伝活動を独りでやっている老劉という人に出会い、取材を始めます。
老劉はボロい車に乗って全国を回りながら、無料で靴磨きをして、誰に頼まれるわけでもなく雷鋒精神の宣伝をしています。
数百のメディアの取材を受け、時には国に表彰されたりもしながら、何の仕事に就くでもなく、休みなく「長征」を続けている老劉を、監督は距離を保ちながら撮り続けます。
一体何がこの人をそれほどまでにつき動かすのか、こうなるまでに何があったのか、好奇心から始まった撮影だったけど、やがて利用したりされたりしながら二人の関係も複雑になっていきます。

最初は『少年*小趙』のような感じかなと思いながら観ていたのですが、この老劉は筋金入りで、かなり食えない感じなのです。
監督も度々ケンカをしては、撮影を止めようかとも考えます。
それでも2014年まで撮影は続き、天安門までやってきた老劉は衝撃的な過去を語ります。

この作品がこれまでの黎小鋒と賈愷の作品と違うのは、客観的な視点で撮るのではなく、対象とのやり取りや監督の思いなどが出て来るところです。
また、砂絵(サンドアートアニメみたいなやつ)を挿入したり、音楽を入れたりと、前作までと作り方も変わっています。
その分、大衆化されているというか、多くの人が受け入れやすくなっていると思います。
CNEXが製作に加わっているし、配給もするようだから、今後いろんなところで上映されるのではないでしょうか。
ヤマガタでもやってほしいです。

沙青は、だいぶ前に『一緒の時』という作品を作った人です。
プロデューサーとして、パートナーでもあった季丹が今回も名を連ねています。



『独自存在』はいくつかのパートに分かれていますが、最初は陝西省の田舎町で、やがて彼の生活する部屋や、近くの公園などで撮られた映像が出てきて、さらに生死感など、ちょっと引きこもり的な、あるいは鬱のような字幕も出てきて、怖くもあります。
特に何かストーリーがあるわけでもなく、面白いものが映っているわけでもなく、淡々とした映像です。
観客の中には、深読みしようと頑張って、Q&Aで自分の読みが当たっているか答え合わせをしたがっている人もいましたが、そういう映画ではないですね。
面白いと感じられればそうだし、つまらないと思えばそれだけの、非常に詩的な作品です。
私は無理なく最後まで観られたけど、それは自分とどこかで重ねる事ができたからで、そうでなければ難しいかもしれません。
あるいは、個人的に監督のことを知っているか否かで大きく感想も異なると思います。
個人的には、最初の田舎町はとても良かったし、その後もヒリヒリさせられるところがいろいろあって、刺激になりました。

ベテランの黎小鋒と沙青が来たとあって、会場には季丹や馮艶、蘇青&米娜など、紀録片界の老朋友たちが集まりました。
なんと雲南の和淵も来ています。たまたま北京に来ていたのだそうです。
宋荘にいる叢豊なども加わって、みんなで賑やかな食事をしました。
なんだか、みんなヤマガタに行ったことのある人ばかりです。

黎小鋒は「北京にいる監督たちは毎月のように会ってるのかと思った」と言ってましたが、実際には北京にいても会うことはほとんどありません。
季丹だって北京にいるらしいけど、私が会ったのは3年ぶりくらい。
宋荘で上映会をするといったって、監督たちは滅多に集まらないのです。
こんな機会は滅多にないこと。

夜は一元電影院に行き、遅くまで話をしました。
季丹と馮艶は、一緒にいると漫才をしているみたいで私は好きなのですが、二人揃って来年のヤマガタに応募すると言ってました。
コンペの審査員もやった人が応募って……とも思うけど、編集中だという新作は是非観てみたいところ。

上映は今後も毎週末やるようです。
興味のある方は、是非来てみてください。

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掃除  


ここ数日、北京は大気汚染がひどくて、街ではマスクをしている人が久しぶりに増えました。
外にいると、鼻の穴まで真っ黒になります。
家の中にもススが積もって、非常に汚れています。

今日は、王宏偉が清掃サービスの人たちを呼んでいます。
村のオバサン4人が来て、部屋の中から庭まで掃除をするのです。
彼は、数カ月に一度はこの人たちを呼んでいます。

中国人は掃除が嫌いです。
たぶん、掃除をしたら負けだと思っているのです。

中国では掃除は身分の卑しい人がするものだという感覚があって、例えばどんな小さな職場でも必ず掃除は専門の人を雇い、自分たちで掃除をするということがありません。
マクドナルドなどでも、掃除は清掃員がするものであって、普通のアルバイトは片付けなどをしません。
もし普通の社員やバイトに掃除を要求すれば、怒って辞めてしまうでしょう。

私がかつて基金で働きはじめた頃、職場があまりに汚くて驚きました。
猫を何匹も飼っていて、事務所の床にフンが落ちていたりするのだけど、誰も気にしません。
庭もゴミだらけ。
スタッフになんでこんなに汚いんだと聞くと、「だって掃除の人を雇わないから仕方がない」と言います。
わずかスタッフ5名弱の小さな事務所でも、自分たちで掃除をしようという意識はまるでなく、清掃員を雇うのが組織の責任だと考えるのです。
私が床を掃いていたら、スタッフはバカじゃないかという顔で見ているし、自分の机の下を掃けと箒を渡したら、「それは私の仕事じゃない」と言い出す始末。
しかも、その後本当に住み込みの掃除係を雇っていました。
もちろん、「汚いと思うか」「汚いことに耐えられるか」が根本的に日本人と差があるというのが前提としてあります。
ただ、どれだけ汚くても掃除するのは自分じゃない、という意地のようなものも持っています。

自宅でもそうで、家政婦を雇うほどの余裕がなくても、何かのときは外部の清掃サービスを呼ぶ人が多いです。
私は引っ越しのつど家探しで数十件の家を見るけど、どの物件もとても散らかっているし、台所などはひどい汚れです。
掃除をしてから家を明け渡すという習慣がなく、大家や不動産屋が掃除をすることもありません。
きれいにしたければ借りてから自分でやればいいし、汚れたまま出ていっても構わないというのが彼らの常識。

友人の家に行っても、台所やトイレは汚れています。
王宏偉や趙大勇は中国では潔癖の類と言えますが、日本ならごく普通のレベル。

観光地などでは、ゴミは管理会社が片付ければいいという考え方で、そのコストとして山でも湖でも入場料を取っているし、観光客はゴミを持ち帰りません。
その辺にゴミを投げ捨てる人は、「だってゴミ箱が無いんだからしょうがないじゃん」と言い訳をします。
中国ではそれも十分に説得力があると考えられているのです。

さて、王宏偉が呼んだオバサンたちは、掃除のプロというより、近所のおせっかいな人というレベルです。
ゴミかどうかを彼女たちが判断して、勝手に捨ててしまいます。
なので、ビニール袋などを勝手に開けて、中身を確認したりします。
掃除道具は持参せず、その家にあるものを使います。
トイレの床を拭いたモップで、そのままリビングの床を拭いています。
いや、拭くというより濡らすといった感じで、もうビショビショです。

普段から戸締まりにはとても気を付けている王宏偉なのに、知らないオバサンたちを家に残して、外に食事に行ったりします。
この辺の感覚もちょっと理解しがたいところがあります。
ただ、中国でも多少経済的に余裕のある人なら家政婦を雇うし、王宏偉も香港ではフィリピン人のメイドを雇ったりしているので、感覚としては同じなのでしょう。

私は人に掃除されるのも嫌だし、食器などは自分で洗い直してしまうタイプなので無理です。

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毎年行われている中国独立動画電影論壇(China Independent Animation Film Forum)が今年も開催されました。
中国でフラッシュアニメの第一人者とされている皮三が代表をしているイベントで、今年が5回目となります。
今回は、798にある前沿芸術展演中心で10月13日から16日までの日程で行われました。





私はこれまでチャンスがなくて、今回初めて行くことができました。
初日に行ったところ、私は少し遅れてしまったので、すでに上映が始まっていました。
会場の入口には皮三が立っていて、中に入れてくれました。
でも、席はすでに満席で、通路に立って観ることに。



皮三はこのブログでも何度か言及したことがありますが、賈樟柯や王宏偉と学生時代に電影小組を作っていたメンバーの一人で、その後も『世界』でフラッシュアニメのパートを担当するなど、付き合いが続いています。
今は泡芙小姐というネットのアニメシリーズが人気で、798に自身の制作会社を構えて多くのスタッフを抱えているようです。

2010年の宋荘の映画祭のとき、アニメ特集を組んだことがあり、そのときに皮三にプログラマーをしてもらいました。
それがきっかけだったかどうかは知りませんが、その後彼は自分で映画祭を企画するようになりました。
毎回、コンペ部門をはじめ、国内外の優秀作品をたくさん上映しています。

第一回は劉健の『ピアシングⅠ』が参加した年で、いくつもの賞を獲りました。
ただ、インディペンデントの長編アニメはほとんど作られていないので、大部分は短編です。

中国では、大きな総合大学ならだいたいアニメ専攻があるくらいで、アニメ制作を学んでいる学生はたくさんいます。
なので、この映画祭にも卒業制作などがたくさん応募されてきます。
ただ、卒業後も引き続いてアニメをインディペンデントで作り続ける人は少ないので、コンペ部門の大半は学生作品となっていて、レベルが高い作品ばかりではありません。
でも勢いのある中国アニメですから、注目すべき作品もあります。
残念ながら、私が初日に見た作品の中には気になるものはありませんでしたが……。

中二日は用事があって行けなかったので、最終日に再び訪問しました。

今度は、入口のセキュリティチェック(空港のように手持ちの金属探知機で探られます)のところで、「腕輪はあるか」と聞かれました。
腕輪って?と聞いたら、チケットが腕輪になっているそうで、入場するにはそれを買わないと入れないのだそうです。
初日は皮三が入れてくれたので、買わなくても何も言われなかったわけです。

外にチケットを売ってる所があるというので、改めて買いに行ったのですが、チケットはなんと160元。
1日券とはいえ、かなり思い切った値段です。
学生チケットはもう少し安いそうですが、それでも半額にもらないようで、なのに超満員になるのだからちょっと驚きです。
チケットを買わずに入れる人もたくさんいるのでしょうけど。



中に入ると、今敏について語るトークショーをやってました。
この映画祭では、第一回から日本のアニメ作家の今敏氏を記念した今敏賞というのがあって、日本から招いた今敏の関係者であるゲストたちが審査員となって選ばれています。
第一回は『ピアシングⅠ』が受賞しました。
王宏偉曰く、皮三が一番好きなアニメ作家が今敏なのだそうです。

今回は、雷磊と陳蓮華がキュレーターをしていて、オランダアニメーション映画祭特集、韓国インディペンデント・アニメ特集、東京芸術大学作品部門や、山村浩二特集などの上映がありました。
また、午前中には各種の講座も開かれ、学生たちが多く参加していたようです。



私はこの日、山村浩二特集とオランダアニメーション映画祭特集を観ました。
そのあと閉幕式があって、各賞の受賞式があったのですが、あまりに段取りが悪くてビックリました。
全然リハーサルもしてないようだし、グダグダなんです。
これに比べたら、内モンゴルの映画祭のほうがよほど立派でした。
途中から見てられなくなって(どうせエントリー作品もほとんど観てなかったので)、退場してしまいました。
不思議なのは、授賞式に来ている観客もあまりいないのです。
授賞式って、あんまり重視されてないんでしょうか。

映画祭の印象としては、毎回上映では超満員だし、とても盛況です。
観客はほとんどが学生のようです。
私のような年齢の観客はほとんどいなくて、いても関係者。
ちょっと居心地が悪くなるくらい、若い人で溢れています。
前回まではあまり会場も良くなかったと聞きますが、今回は会場の環境も含め、非常に良かったと思います。
まあ、作品によっては上映素材に問題があったりしましたが。
ゲストのトークやQ&Aも充実していて、質問も盛んに出ていたし、学生にとっては身になる内容だったと思われます。

ただ、気になったのは通訳です。
もう少し経験のある通訳を用意すべきですね。
たぶん、海外でアニメを学んだ経験のある人とか、それなりの人を選んだつもりなのだろうけど、英語にせよ日本語にせよ、通訳がお粗末で残念でした。
今敏トークショーでは中国人の司会者が通訳を兼ねていて、ゲストと司会者が5分くらい日本語で話した後で、司会が何を話していたか1分くらいで説明するという流れが続いて、観客にとってはかなり退屈な進行だったと思います。
やはり通訳は大事です。
せっかく良いゲストが来ているのに、話の半分も伝わってなかった感じで、勿体なかったです。

ところで今回のキュレーターの一人である陳蓮華が、今度札幌で開かれる新千歳空港国際アニメーション映画祭2016で中国のインディペンデントアニメを紹介するようなので、興味のある人は是非足を運んでみてください。

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鶏丼  


中国の人々は、あまり現金を持ちたがりません。
かつて、買い物では少額でもデビットカードを使っている人が多かったですが、最近はもっぱら微信で支払われるようになりました。
ほとんどの店が微信に対応しているので、現金はほとんど持たずに、あらゆる買い物を微信で済ませる人が増えています。
気がつけば、レストランでも微信で払ったほうが安くなるなど、微信に依存する社会になりつつあります(微信だけでなく、支付宝なども同様ですが)。

友人とその場で金のやり取りをするときも、現金ではなく微信を使うことが当たり前になっています。
私はあまり微信を使ってこなかったのですが、周りから微信で金を支払われることが多くなり、使わざるを得なくなってきました。

昨日、マクドナルドの前を通ったら、機械でオーダーするシステムが設置されてました。



日本では牛丼やラーメンを食べるとき自動券売機で購入するのは当たり前ですが、機械より人件費の方が安かった中国では、こういった機械はあまり普及していません。
ただ、マクドナルドのようにいつも並ばされる店だと、こうした機械を置くことで客はストレスなく購入できます。
この店では、カウンターでオーダーすることもできる一方で、こうした機械が4台置いてありました。
そのおかげか、並んでいる客もいません。

試しに使ってみると、タッチパネルで商品を選択した後、支払い方法を選ぶようになっていて、デビットカードか微信、支付宝かを選ばされます。
現金には対応していません。
微信で支払うと、受付番号が書かれたレシートが出てきて、それを持ってカウンターに行って商品を受け取るという仕組み。

日本にはないチキンカツ丼(正式には那么大鸡排满碗饭)を頼んでみることに。
私は、飲み物をコーラから紅茶に変えてみました。
カウンターだと、飲み物の差額がいくらになるか聞かないとわかりませんが、タッチパネルだと飲み物ごとに差額が表示されて選択できるようになっているので分かりやすいです。



これがチキンカツ丼、20.5元。
カウンターのメニューからはなぜか消えていますが、半年前から販売され続けているようです。
ただ、評判が悪いのか、食べている人はあまりいません。

味は、思っていた以上に不味いです。
いかにも体に悪い添加物がいっぱい入ってる感じ。
KFCのカレーライスより不味いかも。
メニューから消すほどなら、売らなきゃ良いのに。

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