鞦韆院落
北京で過ごすインディペンデント映画な日常
 

楽隊  


以前に息子を紹介してきたL監督のことです。
あのときは、日本語を教えてやってほしいと頼まれたのですが、息子はもう日本語への興味は無くなり、今は英語を勉強しているらしいです。
そんな彼女から微信が来て、ちょっとこの曲を聞いてくれないかと言います。
素人のバンドが演奏しているような曲で、怪しげな日本語で歌っています。
もしかして……。

「日本語、変じゃない?」とL監督は聞いてきます。
6割くらいは聞き取れると返事をしたら、「息子のバンドが歌ってるんだけど、日本語指導してやってくれない?」と言うのです。
やっぱり。

指導はいいけど、何のために歌うの?コンテストにでも出場するの?と尋ねたら、「趣味でレコーディングする」とのこと。
デモテープとかでもなくて、ただ録音するみたいです。ちょっと不思議。
わざわざ日本語指導など必要なのか疑問を感じつつ、とりあえず会いに行くことにしました。

地下鉄の駅で待ち合わせ、連れて行かれたリハーサル室は北新橋のビルの地下。
廊下には、私でも知っている歌手のサインがたくさん並んでいます。
こんな場所を借りるだけでも、かなり金がかかりそう。

狭い部屋に入ると、大音量の中、6人の若者が演奏中でした。
高校生ばかりで、でもドラムだけ20代半ばといったところ。
L監督の紹介によれば、このドラムの人は先生なのだそうです。
クラスメイト5人でバンドを結成し、週末になるとここに集まり、もう1年近くプロの指導のもとで練習を重ねてきたのだとか。
そして、夏休みの集大成として、スタジオで1曲レコーディングすることにしたとのこと。
レコーディング費用は約10万円。
なるほど、持つべきものは金持ちの同級生ですな。

彼らが歌う曲は、デジモンアドベンチャーの主題歌「Butter-Fly」。
彼らによれば、幼い頃からテレビでこの曲を聞いて育ったので、みんなのお気に入りらしいです。
私が、アニメも見たことがないし知らないと言ったら驚いてました。
すみませんね、オッサンで。

彼らは日本語を当然わからないので、ネットでローマ字で書かれている歌詞を探して、それを適当に歌っているのだけど、そもそもネット上のものが間違っていたりするので、私が聞いてもあまり聞き取れません。
ボーカル(L監督の息子はギター担当)に歌詞を読んで聞かせたり、間違いを指摘したりして、20分くらい指導してやりました。
この程度で上達するかどうか不明だけど、べつに誰かに聴かせるわけでなし、本人たちが良ければそれでいいので、歌詞さえ間違えなければ、あとは自由に歌えばいいと言ってやりました。

今時の北京の高校生って、こんな生活してるんですね。
もちろん、富裕層に限ったことだとは思うけど、ちょっと驚きました。
そして、彼らの活動にここまで関わるL監督も、いかにも中国の母親といった感じで面白かったです。

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中継  


北京はこのところ連日雨で、ジメジメしています。
北京というとカラッとしているイメージがあるかもしれませんが、実は毎年こういう時期があって、いろんなものにカビが生えたりします。
大雨も降って、地下にある顧桃の仕事場は浸水してしまったそうです。
中国各地では洪水で死者も出ているし、村の半分が床上浸水したことがある宋荘の住民としては、とても気になるところです。

そんな折、王宏偉は香港へ行ってしまい、私はまた留守番です。

彼は西寧で行われている某映画祭で主演男優賞にノミネートされていましたが、行きませんでした。
昨日あたりから、この映画祭に行ってる人もたくさんいるようですけどね。
私も興味が無いので行きません。

この映画祭は新人監督のための映画祭だと銘打っていながら、ドキュメンタリーのコンペには黎小鋒や范倹のようなベテランが入っていて、基準がよくわかりません。
更には、ドキュメンタリーのコンペに入選しているのに、ノミネート作品でない、つまりコンペ対象外の作品が半分を占めているのです。
じゃあ、何をもってコンペ部門と呼んでいるのか、まったく理解に苦しむ映画祭です。


私は宋荘にいて、毎日訪ねてくる誰かしらと会っています。
先日はある若手監督と一元電影院で会って、一晩中話をしていました。

翌日になって、一元電影院はネット中継をやっていると知り、アプリをダウンロードして見てみたら、店の中が映っていて、客の会話もみんな聞き取れるので、すごく焦りました。
もしかして、昨晩話してたことは全部筒抜けになってたんじゃないかと。
さんざん、いろんな人の悪口言いましたからね。
でも、どうやら前の晩は中継をしてなかったらしいので、安心しました。
今後、あの店に行くときは気をつけるようにします。

それにしても、ネット中継流行ってますね。
あれって、かなり収入になるみたいで、特に若い女性が厚化粧して頑張ってます。
かつて優酷とかで見たことがあったのは、ラジオのスタジオみたいなマイクを付けて、部屋を豪華に飾り、自分でしゃべりに笑い声を足したりしながら、歌を歌って聞かせたりしているのがほとんどでした。

一元電影院がやっている「映客直播」というアプリのものは、自分で携帯を手に持って、何も言わずにただ画面を眺めてるだけみたいな人がたくさんいます。
それでも顔が良いと1000人くらいは視聴者がいて、換金可能なアイテムを贈ってあげたりしているのです。
べつに露出したりするわけでもないのに。
不思議な世界ですね。
中には数万人の視聴者がいて、一晩で何千元稼ぐ人もいるみたいです。

たしかに、驚くほどの美人もいるのです。
私も美人は好きですが、ただ歌ってるのを見て金を払ってあげる気にはなりません。
そんな私はケチなんでしょうか。
歌っているだけでは能が無いから、どうせなら内容のある番組にすればいいのにと思うのは、考えが古いんでしょうかね。

ちなみに、一元電影院は一晩店内中継をして、稼ぎは5元だったそうです。

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知り合いの独立映画監督が日本人俳優を募集しています。

[条件]
性別:男性
年齢:60〜70歳(メイクでそれくらいに見えれば可)
言語:中国語でのコミュニケーションが可能な方
俳優経験:不問

撮影時期:2017年春
撮影場所:広東省

おそらく報酬はあっても少ないと思われますが、応相談です。
興味のある方はご連絡下さい。
ちなみに私は制作には一切関わっておりません。

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KFC  


いよいよ各地で反KFCの動きが出てきました。
一昨日くらいからネットにKFC前で騒いでる画像などが出始めて、昨日はさらに拡大していた模様。
今日も小学生たちが動員されている様子などが出ています。

中国は不思議な国で、どこかの国と政治的な摩擦が起こったりすると、民衆は中国国内の店を攻撃します。
フランスならカフルール、日本なら日系スーパーや日本料理店、アメリカだとKFCがターゲットになります。
アメリカ資本のものは他にいくらでもあるのだけど、彼らにとってKFCが一番身近で、アメリカの象徴なのでしょう。

かつて99年にユーゴで中国大使館が米軍によって爆破されたとき、KFCに人々がなだれ込んで破壊したことがあり、それ以降アメリカと何かがあるたびにKFCボイコット運動が起こります。
今回は南シナ海での仲裁裁判所の結果への不満が、このような動きになったのです。
各地のKFCに愛国者たちが集まり、横断幕をあげてスローガンを叫んだり、店に出入りする客に文句をつけたりしています。
もっとも、中国に無数にあるKFCのうち、被害にあっているのはごく一部ですが。

彼らのあげる横断幕には、アメリカだけでなく、日本、韓国、フィリピンもボイコットしようと書かれていますが、ターゲットはなぜかKFCだけ(韓国についてはミサイル防衛システムが絡んでのこと)。
警察が出動して現場をコントロールしているところもあるようで、見たところではどこも店を壊したりはしていません。
以前と違うのは、彼らの多くが自ら携帯で動画を撮影し、その様子をネットにアップしていることです。
動画の中には、KFCの客から「その携帯だってiPhoneじゃないか」と言われているものもあります。
結局彼らのやっていることはただのポーズですから、本気でアメリカ製品をボイコットするつもりはないのでしょう。
動画も誰へのアピールなんだか。
でも、小さな子供は大人の言うことを信じてしまうでしょうね。
可哀想なことです。

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急増  


前回の記事が話題になっていたらしく、このブログへのアクセスが急増していました。
あまり日本のメディアは報じていなかったようなので、ここにたどり着いたのかもしれません。

一部メディアではこの件に関する報道もあるようですが、『没有別的愛』の件も含めて報道しているところは少なかったようです。
今回の件で責められていたのは『没有別的愛』や監督の趙薇でもあったので、彼女個人の問題として伝えるのは不十分でしょう。

水原希子の微博を見ればわかるけど、彼女はかなり積極的に中国に売り込みをかけています。
中国映画の市場規模は数年以内にアメリカを抜くと言われていて、スターならギャラは数億円レベルです。
日本とは比べ物にならない額だし、今後中国へ進出したいと考える日本人俳優もたくさんいるはず。
実際、日本の映画やドラマはネットで多くのファンを集めているので、市場は十分にあるのです。
ただ、気になるのは政治的な摩擦で、日中の外交が友好的でなくなれば、出演シーンをカットせざるを得なくなったり、公開できなくなったりするリスクがあるため、日本人俳優は韓国人俳優に比べても起用される数が少ないようです。
今回のはまさに典型的な失敗例と言えます。

中国人の友人から、日本では芸能人が政治的なことで謝罪をすることがあるのかと聞かれたので、政治ではないけど不倫とか麻薬とかならあると答えたら驚いていました。
たしかに、中国で不倫の謝罪会見なんて見たことないですもんね。

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謝罪  


南シナ海の問題もあって、このところ中国ではナショナリズムが台頭しつつあります。
ネットには他国への非難や、愛国について語る文がたくさん。
私の周りには冷静な人が多いし、メディアなどに批判的な意見を持つ人が多いけれど、世間ではそういう人はやはり少数のようです。

そんな中、趙薇が制作中の新作にも世間からケチがつきました。
先月クランクアップした『没有別的愛』という作品で、主な出演者である台湾人俳優の戴立忍と、水原希子がターゲットになったのです。
戴立忍が台湾独立分子だとする書き込みや、水原希子がかつてインスタグラムでアイ・ウェイウェイの作品(天安門に中指を立てている写真)に「いいね」しているとして、中国を侮辱しているという非難が飛び交いました。
水原希子については、彼女が靖国神社を参拝しているとする写真(女性の後姿)も出回りました。

先月末、戴立忍は微博で、自分は台湾独立分子ではないしネットで書かれていることはデマだとする文を掲載しました。
また同日、映画の制作側も公式微博で、ネットでの非難は事実に反するとして、戴立忍や趙薇の名誉のために、弁護士を立てて法的な対応も取るという声明を出しました。

その後、今月6日に「共青団中央」の微博が映画を批判するような文章を載せたことで、メディアも記事にするようになって、だんだん事が大きくなってきました。
そしてこの数日、世間のナショナリズムの高揚と連動するかのようにこの映画への非難が強まり、ついに本日、映画の制作側が主演の戴立忍を替えるとの声明を発表。
戴立忍の態度が曖昧であったため、監督と全ての出資者で決めたことだとし、「国家利益高于一切」だと書いています。

そして、水原希子は夜になって自身の微博に中国語を交えた英語の謝罪コメントを映像で出しました。
靖国神社の写真は自分でないと説明し、また天安門の画像については間違って“いいね”を押してしまい、すぐに取り消したとした上で、謝罪して頭を下げています。
でも、趙薇の微博によると水原希子は『没有別的愛』には関わっていないといい、では以前に映画宣伝で使われていた彼女の写真は何なのか、そもそもこの謝罪はどういう意味なのか、よくわかりません。


戴立忍はこれまでにも中国映画に出ているし、水原希子だって中国の広告に出ているのに、ここにきて問題視されるのは、やはり世間の空気が変わってきているということでしょう。
映画の撮り直しなんてことになれば大変な損害ですから、映画会社は今後俳優などを選ぶ上でより慎重になるはずで、香港や台湾の芸能人も中国を意識したらだんだん物が言えなくなりますね。

それにしても、国家の利益を第一に考えるなどと表明しなければならないのだから、中国の商業映画は情けないです。
金儲けのためなら何でもするという開き直りにも受け取れるけど。
日本も今後はどうなるか分からないから、気をつけないといけませんね。

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近況  


ペマ・ツェテン(万瑪才旦)が、事件後初めて微博でコメントを出しました。

まだ病院にいて、酸素吸入をしたり、点滴を受けたりしているものの、状態は良くなってきているそうです。
当局は再調査をしているところだといい、彼は、もし再び拘置所に戻されようと、納得のいく説明を求めるとのこと。
病院でベッドに横になっている写真も添えられています。

事件から17日が経過し、皆が心配しているところだったので、コメントが出たことでひとまずホッとしていますが、体調が依然として良くないことが気がかりです。

再調査を始めたというのは、事件が大きく取り上げられたことで変化があったのでしょう。
我々が声援をあげることが、プラスに働いてくれたら良いのですが。
早く元気な姿を見たいものです。

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中止  


顧桃が数年前にフフホトで上映会を開いていたことは、このブログでも触れたことがあります。
毎月1回の開催を目指していたはずでしたが、わずか4回程度でこの上映会は終わってしまいました。
理由は彼の根気が続かなかったためで、自分の映画の撮影だとか、他にやるべきことがあるからといって途中で投げてしまったのです。
もともとあまり計画性のあるタイプではないし、作品選びから宣伝までいろいろやらないといけない仕事なので、彼にはあまり向いていないのだけど、独立電影を上映する場がまったく無い地元の内モンゴルで、自らが何かをやりたいと思ったのでしょう。
私は早いうちから、地元の人たちに運営をゆだねていくことを提案していたのですが、彼は自分でやることにこだわっていたようで、結局誰も地元の人は加入せず、彼のやる気とともに上映イベントも消滅したのでした。

そんな彼が、今年はフフホトで映画祭をやるのだと言って張り切っています。
内モンゴルの人による、または内モンゴルと関わりのある作品を公募し、内モンゴルをテーマとした映画祭にするのだそうで、すでに作品の募集は始まっています。
彼は、去年から制作を手伝う若いアシスタントがいて、その人に映画祭の仕事を任せているようです。
彼が自分でやるよりはマシかもしれないけど、不安を覚えます。

一方、彼は最近北京で上映会を始めました。
通州区内に仕事場として大きな地下室を借りて、そこの一角に上映コーナーを設けたので、友人などを招いて上映会をやっています。
はじめのうちは身内のパーティーみたいなもので、私も呼ばれて行ったことがありました。
最近は外部にも告知していて、一般の観客も募っているようです。
とはいえ、これまではあまり魅力的な作品は上映していなかったし、観客も全部で10人くらいしかいなかったようですが。

数日前に、「7月9日は趙亮をゲストに『ベヒモス』を上映する」という告知が微信で流れてきました。
趙亮と顧桃はかつては隣人だったこともあって、とても仲が良いのです。
『ベヒモス』はすでに海賊版が出回っていますが、監督が来るとあって、期待していた人も多いと思います。

ちなみにこの『ベヒモス』は、ベネチア映画祭に選ばれたとき、メディアは一切報道しませんでした。
政府からメディアに対して、この作品に触れてはならないと報道規制がひかれたのです。
誰も作品を観ていたわけではなかったのですが、内モンゴルの炭鉱労働者のじん肺問題を扱った作品だという情報だけが出回って、政府が焦ったようです。
ただ、そのことで余計に注目され、独立電影のドキュメンタリーにしては珍しく海賊版DVDが市場に出回ったり、ネットでベヒモスグッズが出回ったりするくらい人気となりました。

昨日、顧桃のアシスタントが、自分の流した微信の告知が削除されているのに気づきました。
そして、携帯に電話がかかってきて、上映会場にしている地下室の衛生状況を検査すると伝えてきました。
アシスタントが、なぜ携帯番号を知っているのか尋ねると、「お前には関係ない」と言われたとか。

そして今日、「停電のため上映は中止します」との告知が流れました。
趙亮も微信で「ある理由で今日の上映も、飲み会も中止」と流しています。

やはり『ベヒモス』は特別扱いされてるんですね。

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巴士  


日本に戻っています。

最近、日本と行き来するとき上海を経由しています。
北京の航空券が高くて、上海まで移動して宿泊してもまだ金額が安いためです。
やはり上海はときどき行くべき都市だと思うので、どうせなら行ったほうがいいと思っています。

ただ、今回はちょっと疲れましました。
というのは、夏休みで学生が帰省する時期でもあり、高速鉄道が非常に混んでいるのです。
うっかり事前にチケットを購入せずに駅に行ったら、まだ昼だったのに、17時すぎに出発する列車しか残ってませんでした。
これって、上海の虹橋駅に23時ごろ着くのですが、もう地下鉄が終わっている時刻なので、タクシー乗り場に人が集中し、1時間以上並ばされました。
列に割り込む人も多いし(白人のおばさんたちが割り込もうとして怒られていた)、イライラします。

結局ホテルに着いたのが深夜だったので、何もできずに寝るだけ。
翌日も朝から空港へ移動でした。

今回は春秋航空を使いました。
ここのチェックインカウンターが、離陸1時間前になっても1ヶ所しか開いてないのです。
長蛇の列ができているのに、1人ずつだからすごく遅い。
私はてっきりフライトが遅れているからだと思ったけど、搭乗券を受け取ったら、もう搭乗時刻だったので驚きました。
そして、イミグレは激混み。
並んでいたら間に合うはずもないので、係員に優先レーンに案内してもらいます。
でも、そんな優先レーンも混んでいます。
ほかの乗客も同様ですから、当然フライトは遅れました。
満席で茨城空港へ。

空港から東京までバスが出ていて、500円で乗れるのだけど、これが早々に予約で埋まっていたので、私はつくば駅へバスで行くことになりました。
1日に2往復しか運航していない茨城空港-つくばセンターのバスに乗ると、なんと乗客は私だけ。

バスが走り出し、運転手が車内アナウンスを始めます。
私にだけ話していることになるので、返事したほうがいいのかな、というくらい気まずい感じ。
「狭い車内ですが、ごゆっくりおくつろぎ下さい」とか言われても、一人で乗る大型バスはむしろ広すぎます。

これでは1030円の運賃でも大赤字でしょうね。
空港側が補てんしない限り、バスが廃止されても不思議ではありません。
茨城空港って、最近は少し便が増えたはずなのに、まだこんな状況なんですね。

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ペマ・ツェテン(万瑪才旦)が警察に拘束されたニュースはご存知でしょうか。
『タルロ』や『オールド・ドッグ』で日本でも知られるチベット人監督で、今月行われた上海国際映画祭で審査員を務めるなど、中国映画界でも一目置かれている人です。

私が事件の第一報を見たのは、今日の午前10時前でした。
彼と一緒に映画を作っているスタッフの一人が、微博で簡単に状況説明を書いていました。
この書き込みは現在削除されており、見ることが出来ません。
内容は大体以下のようなものです。

25日夜、北京から青海省西寧の空港に到着したペマ・ツェテンは、空港を出る時、荷物を忘れた事に気づいて取りに戻ったが、警察に無理やり手錠をかけられて暴力的に派出所に連れて行かれた。夜通し尋問された後、26日に公共の秩序を乱した罪で勾留された。27日に目まいや胸の苦しみ、手の麻痺など身体の不調を訴え、病院に送られた。現在は治療中。検査で体に多くの傷やアザが見つかった。警察の暴行によるものと思われる。

これに対する世間の反応は早く、中でも彼が所属する中国電影導演協会は午後には声明を出しました。
微信などでは、この声明を掲載した書き込みも削除されてしまっています。
内容は「拘束されて4日が経とうというのに、警察は公式発表を出していない。協会は、事件についての当局の速やかな回答や、法の執行に暴力などの問題がなかったかに強い関心をもっている」といったものです。

これがニュースになってから、謝飛や賈樟柯など映画界の人々を始め、著名なチベット族歌手の韓紅なども微博などに書き込みをしました。
続いてメディアも警察や監督周辺に取材をし、報道が出始めました。
新浪は、手を掴まれた時にできたとされる彼の傷の写真を掲載。
幾つかの記事を総合すると、勾留された彼に会ったという関係者の話として、以下のように説明しています。

彼は、制限区域を出た後に荷物を忘れたことに気づいて、制限区域に行って係員に説明をしようとしたが、係員は非常に悪い態度で「出て行け」と言い、チケットを見せて説明しても「チケットがあれば偉いのか」などと言った。それでも説明しようとすると警察を呼ばれた。警察が来るときには作業員が荷物を持ってきていたので、警察にはもう済んだから出て行くと言ったが、警察は手錠をかけ、無理やり連れて行った。警察署では手枷足枷をされて老虎凳(拷問用の椅子)に座らされて尋問を受けた。27日になり、もともと糖尿病などの疾患がある彼は、体の不調を訴え、病院に送られた。血圧や血糖に異常がみられたため、今も病院で点滴を受けている。
 
一方、警察側も遅れて18時に微博で情報を出しました。
原文はこちらにありますが、以下の様なものです。

万某(ペマ・ツェテンのこと)は、制限区域に入って荷物を探そうとした。係員が何度も止めたが聞かず、争いになって警察を呼んだ。警察は制限区域から出るよう、また荷物は係員が届けると伝えたが聞かず、制限区域から出ようとせずに、大声で騒ぎ始めた。警察は忍耐強く教育し、政策の説明をしたが、万某は従わず、尋問に答えることも拒否したため、公共の秩序を乱した罪で逮捕した。取り調べは厳格に法に則って行われ、全て録画録音もしている。傷は連れだそうとするときに協力しなかったために付いた手錠の傷で、本人も認めてサインしている。

彼のことを知る人間なら、彼が大声で騒いだりする人でないことは誰でもわかります。
彼ほど穏やかな人は、そういません。
録画があるというなら、全部出してみろ、と言いたいです。
もちろん、出てくるわけはないのですが。
録画は警察のためであって、人民のためではありませんから。

もしかしたら、彼を知らない人は警察の発表を鵜呑みにするかもしれません。
ただ、警察が如何に乱暴かはみなが知るところだし、最近も深センの警察が無理やり女性2人を連行したときの動画がネットに出て、世間から批判が集まったばかり。
警察が本当に法に則って公務を執行していると信じている人は、まずいないでしょう。
とはいえ、警察の発表が出た以上、党に従って報道するのが中国メディアなので、報道は警察寄りになってしまうかもしれません。
この記事では当初、警官が彼を逮捕するときに“整的就是你们这些讲道理不听话的人”(お前たちみたいに、理屈をいって言うことを聞かない奴らこそ、とっちめなきゃダメなんだ)と言ったと書いてありましたが、この部分はその後削除されてました。

彼は芯の強い人で、だからこそ警察にも屈せず、勾留がこれほど長引いているのだと思います。
警察としてはこれ以上騒ぎを大きくしたくないだろうし、そもそも大した罪にも問えないので、5日間の勾留期限が来たら釈放されることでしょう(入院中は日数にカウントされないそうです)。
ただ、体のこともあるし、気がかりです。

それにしても、中国ではいつどこで警察の暴力に晒されるか分からないから恐ろしいです。
彼のように多くの人が声をあげてくれなかったら、もっと酷い目にあわされるのかもと思うと、おちおち街も歩けません。

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