今回提示する症例はVol59と似た様な事例。
奥歯がかけたことが主訴であったが、開閉口運動の所見に違和感を感じた私が
問診したことから顎口腔機能に異常があることが判明した症例である。
慢性的な偏頭痛をもっているため歯科的要因との関連の有無をまず鑑別することと
(ほぼ確実に歯科的要因であるが)、要因となっている部位の特定を行うために
まずスプリント療法から行った。
スプリント療法により、頭痛や開口運動の改善がみられ、また原因部位の特定も
行うことができたので、得られた情報を基に処置を行った。
状態安定後、あとは最終的な処置を行った。
治療後も顎機能の安定は見られている。
この症例も前回の症例同様、スプリント療法、咬合治療、修復治療など
すべてを保険診療で行った。
因みに近年、顎機能障害と診断された事例に「理想的な顆頭の位置での咬合治療」を掲げ
CBCTの画像を用い、理想と思われる顆頭位に顎位を誘導し、その顎位で
咬合再構成を行うデジタルな治療がトレンドとされているが、
顆頭位を誘導しなければならないような症例は、臨床ではとても少ないと考える。
特に本症例やVol59の様な事例に対して、この発想自体を考えてほしくないため加筆しておく。