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私の日常臨床 Vol,47

2021-01-14 08:38:23 | Weblog

今回は症例を提示しよう。
患者はずっと開口障害に悩み、病院口腔外科にて数年顎関節症治療を
受けていたが、一向に症状がよくならなかったとのこと。
長い時間口を開けていると、あごが震える症状もあるとのこと。
初診時所見では、無痛開口域は2指(35mm)程度、有痛開口域は42㎜であった。
有痛開口域では数分で顎が震える所見がみられた。

初診時、同症状に対して当院で通法に行っている鑑別診断後、
咬合由来であることを確認後、機能的な問題に対して処置を行い
同日にまず最大開口時の疼痛を消失させたあと、スプリント療法に移行した。
また患者には口腔外科にて顎関節症治療で処方されている薬の服用を中止することを話した。

スプリント療法にて顎機能運動の改善を確認したあと
最終的な咬合位の構築を行った。

顎機能を主体に治療を行うことで、以前脱離が繰り返されていた上顎前歯部は
連冠でなくとも、十分に単冠補綴で問題はない。
歯列はイレギュラーな部分はみられるものの、矯正治療を行う必要性もない。
これにも理由がある。

顎関節症治療において、もっとも重要なことは
歯科関連による病態であるかの鑑別診断を行うことが必要である。
やみくもに顎位のエラーという安易な判断で、スタビによるスプリント療法を
行って「顎位の模索」というものを行っても治療は遠回りになってしまう。

本症例は口腔内のある部分が大きな原因で、顎関節症が惹起された事例である。
術前術後の写真でそれははっきりとわかっていただけると思う。