烏合庵奇譚

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渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

春告魚;ニシンを煮付ける

2010-03-21 20:28:10 | 烏合庵の食卓
二月下旬以降,何かとばたばたした日々.休日の買物にも付合わず厨にも立っていなかったが久しぶり.つれあいと出向いたスーパーで旬(も終わりかな)の道産生鰊を見掛けて思わず手に取った.早速,煮付けることにする.


鱗を引き,ドンと胴切り.上掲画像でお分かりの通り,産卵後の魚体で真子も白子も持ってはいなかったのでワタをざっと外し,流水で洗って水を切る.


白身(殊に一匹付け)ならば,水から炊いて薄味に仕立てるのが拙庵の定法だが,青魚の場合は濃い目の下地でさっと煮付けるのも面白い.昆布を浸しておいた鍋に酒・醤油・味醂・砂糖をあわせて割下より一寸薄めに加減.さっと煮立てたところに鰊を並べ,おまじない(煮崩れを押さえ風味を落着ける)に梅干1個を軽く解して落とし,中火で煮立てる.


煮立ったら弱火にして(あくが気になれば引く),キッチンペーパーで落し蓋.時々お玉で煮汁を廻し掛けながら10分ほど炊いて火を止め,粗熱が取れるまで休ませておく.
食べ際に中火でさっと煮立つ程度に暖めて器に盛り,戻しておいた塩若布を少量の煮汁で和えて添える.針生姜でも天盛りしたかったが,ストックは冷凍しか無かったので割愛.相変らず詰めの甘いオレ (^^;)ゞ


夕餉の献立.胡瓜と芽株(パック品)の三杯酢・野菜炒めウスターソース(Lea & Perrins;チョットだけ)風味・なめこと豆腐の味噌椀,そして鰊の梅煮.
美味いです.産卵直後なので流石に脂のりはもう一つだが,舌の上でほろほろと解ける身の繊維のしなやかさ,そこはかとない甘さと特有の風味が愛しい.小骨の多さが,気にされる方には難点か(煮付ければ,身離れは焼き物よりずっと良いのだけれど ^^;)…
折しも風強く,黄砂がフロントガラスを汚し,挙句小雪まで舞い出す一日だったが,これも手荒な春一番か…
春告たしかに,いただきました.

補追:
下拵えした鰊のワタには,餌のオキアミ類などがしっかり詰まっていた.産卵直前ならば胃袋は概ね空なのでワタは引かずに真子や白子共々炊くのが好いが,子を振った(産卵した)後なら引いた方が賢明だろう.ハタハタなども同じ.個人的には,新鮮な秋刀魚や鰯のワタは美味しく頂いてしまうクチではあるが.
“クセは苦手”な向きならば,頭を落とし腹を割って背ワタ(腎臓;鮭で言えばメフン)までキッチリ掻けば,さらにあっさりとした味わいに仕上がる.
日曜購入のパック品と言うことで今回は見合わせたが,朝獲れの鰊ならば刺身も乙だ.ただ,アニサキス(オキアミ類などが中間宿主)などを宿している可能性もあるので注意はすべきだろう.因みに,今回の3尾の内臓には寄生はみられなかった.
胃袋が満ちていたのは,肥立ちに向け荒喰いしている時期だということだろう.漁獲されなければ生延びて,もう一度は産卵に参加できた魚体だろうが,揚った以上は心して,ありがたく頂きました.

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